人生ブンダバー

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110周年記念 78th 関西学院グリークラブリサイタル(東京公演)

2010-02-14 05:05:27 | 音楽
ちょうど10年前、東京オペラシティコンサートホールで関学グリー100周年記念リ
サイタルを聴いた。学生指揮者のほか林雄一郎、北村協一、広瀬康夫、太田務先生
による感動的なステージだった。林先生のはんなりとした「ペーチカ」は忘れられ
ない。

2月11日(木・祝)、大田区民ホール・アプリコ大ホールで関学グリーリサイタルを聴
いた。今回も10年前と同様、チケットは関学グリーOBのMさんにお世話になった。あ
れから「もう」10年である。その間、関学グリーは平成16(2004)年には林先生、平成
18(2006)年には北村先生をなくした。いずれもつい先日のことのように思われる。

大田区民ホール・アプリコは平成10(1998)年に竣工した、定員1500人弱のクラシッ
ク・ホールである。たしかここで聴くのは初めてではないかしらん。

<プログラム>
1.「吹雪の街を」(学生指揮;隈 寛昭)
2.ミュージカル「南太平洋」(指揮;広瀬康夫、ピアノ;細見真理子)
3.「いつからか野に立って」(指揮;本山秀毅--客演)
4.E.Desderi「戦時のミサ」(指揮;広瀬康夫)(新月会合同ステージ)

午後2時過ぎ、緞帳(どんちょう)のないステージ、下手から一列にメンバーが入場し
てきた。寒い中の遠征、ようこそ東京へ!温かい拍手で迎えられる。4段、55人(以
上)による「A Song for Kwansei」から始まった。関学グリーも一時メンバーが40人
くらいになったことがあったが、「A Song for Kwansei」は柔らかな曲だけに55人い
るとハーモニーの厚みがあってよかった。メンバーが増えつつあり、今後が楽しみだ。
ちなみに「A Song for Kwansei」は昭和24(1949)年学院創立60周年を記念して作ら
れた校歌である。

1.「吹雪の街を」(学生指揮;隈 寛昭)
 学生指揮者によるステージ。「吹雪の街を」は伊藤整作詩、多田武彦作曲。同じ伊
 藤作詩多田作曲の「雪明りの路」から20年後、小樽商大グリークラブ創部60周年
 記念に委嘱されたものである。第1曲「忍路」から終曲「吹雪の街を」まで、20歳前
 後の思い出が春夏秋冬に並べられている。

 第1ステージということもあって、第1曲は一瞬硬くなった入りかと思ったが、すぐに
 練習のペースを取り戻したようだった。1曲目と2曲目は一瞬のポーズの後、アタッ
 カで続けられた。第3曲「夏になれば」のソロはやや疲れ気味(?)の声だったが、
 明るい発声で歌い上げ、拍手が起きた。
 
 指揮者の隈さんは、3回生から指揮していたようだが、さすが関学、「夜の霰(あら
 れ)」などのリズム感もよく、安定した(--反面パッションはやや抑えた。)見事な
 曲作りだった。
 
 抒情的な詩に抒情的な曲--(どちらかといえば)シンプルな生活を目指す今の私
 には、涙が出そうになるほど大変「甘く」感じた。また伊藤整を読んでみよう。文学
 者は「複雑」な心情の持ち主である。(--それが詩となって現れる。)


2.ミュージカル「南太平洋」(指揮;広瀬康夫、ピアノ;細見真理子)
 ステージ中央に置かれた1台のピアノ。広瀬さんと細見さんに譜めくりの3人。前奏
 とともに水兵帽(?)をかぶったカジュアル・ルックのグリーメンが登場。北村先生の
 名編曲「南太平洋」のナンバーを次々と歌っていく。「南太平洋」は1949(昭24)年
 の作品である。終戦後にこのような物語(ミュージカル)が生まれていた。広瀬さん
 の指揮はよりメロディーに重点を置いたもの、幾人かのソロにも温かい拍手が送ら
 れた。 


3.「いつからか野に立って」(指揮;本山秀毅--客演)
 本山さんは京都市立芸大音楽科卒業。バッハの「専門家」として知られている。今
 指揮に審査員に引っ張りだこのようだ。長身で折り目正しいステージマナー。拍を
 振らない、やや膝を使った、見事な指揮振りである。ハーモニーの作り方がうまい
 のは関西の伝統なのであろう。バッハでいえば、リヒターというよりはリリングで
 あろうか。(リリンクは本山さんの先生でもある。)

 アンコールには「心の四季」より第1曲「風が」がカラヤンばりの美しいレガート奏法
 で歌われた。(--俗にいえば全国コンクール入賞間違いなし。)本当にうまい。し
 かし、私にはそれ以上のものであってほしかった。(このあたりもロマン派よりもバッ
 ハに近いのかしらん。)


4.E.Desderi「戦時のミサ」(指揮;広瀬康夫)(新月会合同ステージ)
 現役、OBが入りまじって入場。左右5段、中央6段、100人を超えていよう。アタッカ
 で、地味だが、玄人好みかキッチリと歌い上げられた。クレッシェンド、デクレッシェン
 ドはいつ聴いてもすばらしい。

 プログラムp8ミサ曲の説明(--どなたも読まない?(笑))は、分かりやすく大変
 勉強になった!
 アンコールは、英語の宗教曲?一言でいって大変よかった。ブラーボッ!なんとい
 う曲かしらん?

 学生指揮者にバトンタッチされた「ウ・ボイ」はこれぞ関学。リズム感たっぷり、何回
 聴いてもうまい!


終演後、関学グリーOBのMさんは「あれっ、オンステしなかったの?」と声を掛けられ
ていた。





大田区民ホール・アプリコ


大ホールのステージ

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3 コメント

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一人突っ込み (katsura1125)
2010-02-15 20:58:02
関学グリーの演奏に刺激され、北村先生の名演「吹雪の街を」を繰り返し聴いています。北村先生60歳、メンネルコール広友会の演奏(東芝盤)です。
「夏になれば」のテナーソロはどなたなんでしょう?とろけそうに甘い声です。(平成4年-1992年の録音)
返信する
バンザーイ、ブンダバー!! (OBMSAN)
2010-02-21 14:25:37
遅くなりましたが、関学OBとして、ご講評いただき感謝いたします。関西学院グリークラブは、1899年に神戸原田の森に誕生し、今年110周年を迎えました。ご案内にもあるとおり、林雄一郎(ミサ曲の巨匠)北村協一(日本語解釈、特に多田作品のスペシャリスト)両先生を相次いで失いました。生前、北村先生は、昨今の部員数の減少に心を傷めておられ4学年併せて80名を目指す様に、学生諸君の自立心とOBである新月会に支援を求められ、ようやく今日の姿になってきました。今、オリンピックで話題の男子フィギアスケートの高橋選手と織田選手(二人は共に関大ですが)の様に、もうすぐ110周年を迎えるワグネルと共に切磋琢磨して、男性合唱界を、今後も引っ張っていってもらいたいものです。
返信する
まいど、おおきに! (katsura1125)
2010-02-21 20:08:47
OBMSAN、コメント有難うございます。
人数はどうしても80人はほしいですね~。

大学合唱団--①なぜW大グリー(男声)は人数が多いのか?②なぜR大やH大の混声は人数が多いのか?③なぜオーケストラは人数が多いのか?④付属校からの入部率はどうなのか?等々多面的に原因分析をブレーンストーミングする必要があるでしょう。
それにしても、今の大学生はずいぶん勉強する(させられる)ようですね~。
OBMSANにつられて真面目なコメントになってしまいました(笑)。
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