人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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東響 東京オペラシティシリーズ第44回

2008-06-21 09:12:16 | 音楽
6月18日(水)、東京オペラシティコンサートホールに東響を聴いた。指揮は東響
常任指揮者の大友直人。大友は桐朋学園大学出身、22歳でN響を指揮してデビュ
ー。今年50歳。日本人指揮者としては、年齢的に高関健と大野和士の間である。
評判がいい。

プログラムは、
1.ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」
2.アレンスキー:ピアノ協奏曲
3.ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」

先日の新日フィルは全ステージ20世紀の音楽だったが、当夜はすべて19世紀後半の
作品だった。

午後7時にオーケストラのメンバーが入場。最後に当夜のコンサートマスター大谷
康子が拍手で迎えられ、ニコニコしながら入ってきた。そして、大友直人が大きな
拍手に迎えられ登場。大友は178cm(?)の長身である。

第1ステージのボロディン。中学時代、音楽の時間に聴いて以来かしら。指揮棒を
持たず(この日は全ステージ指揮棒なし。)、譜面(スコア)を見ながら指揮をし
ていたが、インテンポを基本にメロディーが流れ、「肩慣らし」以上の演奏でなか
なかよかった。カーテンコールではフルートの甲藤さん(女性)が真っ先に立たさ
れていた。

第2ステージのアレンスキーは初めて聴く曲。ソリストはセルゲイ・クドリャコフ
という30歳のロシア人。180cmはあろうかという長身、ちょっとかたくなった表
情で登場した。
第1楽章、ショパン、チャイコフスキー等どこかで聴いた響きがきこえた。第2楽章
はロマンチックな映画音楽であった。
そして最終第3楽章はイチニ・イチニッサンの5拍子。(これもチャイコフスキーの
交響曲第6番「悲愴」を思わせる。)フィナーレの盛り上がりで終わると、クドリ
ャコフは「どうだ、俺はやったぞっ」という表情を見せた。(座席がステージ右横
上なのでピアニストを正面から見えるのである。)

クドリャコフのアンコールはリスト編曲のシューベルト「セレナーデ」。思い入れ
があり、弱音が美しいシューベルト。これだけで十分心に残るものであった。

メインの第3ステージは耳慣れた「新世界より」。--以前にも書いた、"from" が
付くので「新世界」ではなく「新世界より」である。「新世界」とはアメリカ合衆
国のことである。ドヴォルザークはNYの音楽院の院長に招かれ、ボヘミア(チェ
コ)からNYへ渡り、この曲を作曲したのである。

「耳慣れた」といえば、たしか吉田秀和が、この曲は聞き飽きて、ラジオ、テレビ
から流れてくるとスイッチを切ってしまうことがあったという趣旨のことを書いて
いた。

それはともかく、当夜の「新世界より」は、熱い、すばらしい(ブンダバー)演奏
だった。(本ステージのみ指揮者は暗譜だった。)
第1楽章では始まって3分ほどで熱くなった。弦が揺れており、5分くらいでは(-
-CDのタイム表示のようであるが。)大友も指揮台上で盛んに動いてきた。メリ
ハリがあり、トレ・ビアン!である。

第2楽章、注目の「家路」のメロディー、イングリッシュ・ホルンもきれいな音
色。全体の弱音もなんともいえず、録音にはすべては入りきらないだろう。トロン
ボーンが結構活躍する楽章であることに気付いた。

第3楽章はティンパニーである。(「第3楽章 is ティンパニー」ではない。「ぼく
は鰻だ」と似た表現である。)元気を与えてくれる。
終楽章は本当に指揮者が動き回り、熱い演奏となった。始まって5分くらいのとこ
ろでは燃えに燃えた。「これはそうそうない演奏だぞ」と思いながら聴いていた。

第3ステージ始まって40分余り、最後が弱音で終わると、案の定ブラボーの嵐とな
った。大友が3回の出入りを繰り返す間、私も5回も(!)ブラボーを叫んだ。カー
テンコールではまずイングリッシュホルン。そしてフルート、オーボエ・・・・・・と順
に立たされた。クラリネット、トランペットも負けず劣らずよかった。

拍手が続く中、9時も回り客席では帰る人もいたが、大友がいい声で「最後に第8番
第3楽章を」。大サービスである。これがまたよかった!気持ちゆったりとしたテ
ンポ。中間部のフルートとオーボエの合奏では涙が出てきた。第3楽章だけ聴くの
もいいものであった。

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