今年は言うまでもなく三島由紀夫没後45年、生誕90年である。それ
を記念してか、黛敏郎(1929-1997)作曲オペラ『金閣寺』の新制
作公演が第22回神奈川芸術フェスティバル、神奈川県民ホール40
周年記念、神奈川県民ホールオペラ2015として12月5日(土)、6日
(日)と神奈川県民ホールで開催された。
オペラ鑑賞が『仮面舞踏会』と2日連続となってしまい、きついので、
しばらく考えたが、オペラ『金閣寺』を観ることは二度とできないかも
しれないので、6日(日)の公演に足を運んだ。
黛敏郎作曲
三島由紀夫原作
クラウス・H・ヘンネベルク台本
全3幕 新制作、ドイツ語上演、日本語字幕付き
指揮;下野竜也
演出;田尾下 哲
溝口;宮本益光
父;黒田 博
母;飯田みち代
若い男;高田正人
道詮和尚;三戸大久
鶴川;与那城 敬
女;吉原圭子
柏木;鈴木 准
娼婦;谷口睦美
有為子;嘉目真木子
合唱;東京オペラシンガーズ
管弦楽;神奈川フィルハーモニー管弦楽団
以下、ややアットランダムとなるが、思いつくままに書いてみよう。
小説『金閣寺』は昭和31年、したがって三島由紀夫31歳の作品で
ある。昭和25年(--私の生まれた)の金閣寺放火事件を題材とし
ている。
簡単に言えば、若いお坊さんが、いろいろあって、金閣に放火して
燃やしてしまった話である。
そもそも金閣=絶対をなぜ放火して燃やさなければいけなかった
のか?--このあたりは、大変文学的で難しい。単にヤケのヤン
パチになったからでは、文学にはならない?
それを三島によって小説の題材にされると、いかにも三島らしい
「ドロドロの世界」となる。怨念の積み重ね?
昭和33年には、市川昆監督、市川雷蔵主演映画『炎上』が生まれ
ている。これは、三島由紀夫没後35年だったかしらんに、観た記憶
がある。昭和33年に、市川雷蔵27歳、片足が不自由な柏木を演
じた仲代達矢26歳だった。
本オペラはベルリン・ドイツオペラの委嘱作品で1976年に初演され
ている。日本では、平成3年の全幕初演以来、9年、11年に上演さ
れており、今回は16年ぶりの上演である(「プログラム」による)。
14時15分開場。入口でプログラムがありがたくも全員に無料配布
された。一路、3階席へ。3階は傾斜がややきつく、したがって、階
段が高くて怖い。
14時30分から片山杜秀さんと田尾下哲さんのプレトーク。
お二人ともやや早口ではあったが、これを聴いて分かったのは、主
人公溝口は、原作では吃音者となっているが、オペラでは右手が
不自由な人になっていた。
金閣寺のライトモティーフ「ミ♭・ミ・レ・ファ・ド・シ」となっている最初
と最後は「ミシ」マなのではないか?どなたかのブログに書かれて
いたが6つの音からできているのは、ロクオン寺(鹿苑寺--通称
金閣寺の正式名)を意味しているのではないか?--黛敏郎に確
かめたわけではないので推測の域を出ませんが・・・・・・
という片山先生(慶應法学部教授)の話がおもしろかった。
小説『金閣寺』も暗いイメージだが、オペラの舞台も暗いイメージで作
られている。
どん帳が上がった後は、上下に動くスクリーンと左右に開閉する仕切
りが上手に使われていた。最初の方では、足利義満像(?)も登場す
る。
第1幕
有為子役の嘉目さん登場と思いきや、一声も歌わなかった(第3幕で
歌唱があった)。
母親役の飯田さんは、肉襦袢を着て、歌舞伎で言う「もろ肌脱ぎ」の
体当たり演技。飯田さんは京都大学のご出身だというからビックリ!
第2幕
プレトークでも紹介されたが、要所々々で、合唱のお経(経文)『臨済
録』が唱えられる。--「仏に逢うては仏を殺し、・・・・・・父母に逢うて
は父母を殺し・・・・・・」。
第2幕の途中、第2景(米兵と娼婦の場面)が終わったところで休憩と
なった。
第3幕
柏木と溝口は、世界を変えるのは「認識」か?「行為」か?と議論する。
「世界を変えるのは認識ではなく、行為だ」と言う部分はいかにも三
島由紀夫、なのかしらん。
三島由紀夫の場合は、最終的には認識か行為かではなく、知行合一
なのかな?--「そんな単純なものではないですよ。ワッハッハ」、と
三島さんに笑われそうだが。
後半のクライマックス--今までの人が幻となって現れる部分は、い
ささかオケを鳴らし過ぎだったのではないかしらん。登場人物の歌唱
が聴き取れない嫌いがあった(字幕ではあるが)。
ラストシーンで、金閣が炎上する場面は、おかしな表現だが、大変美
しい。金閣炎上を見る溝口の場面で幕となる。
合唱が大きな役割をしていたが、その東京オペラシンガーズ(ソリスト
クラスの合唱団。この日は混声32人)がまた見事だった!ソプラノに
沼生沙織さんのお名前があった。
カーテンコールでは、出演者が並ぶ中、宮本益光さんが宮本さんを除
く出演者全員の拍手で迎えられた。宮本さんはほとんど出ずっぱりで
「台詞」(歌唱)も多く、暗譜が大変そう。
宮本さんの脇を固める「助演者」も主役に劣らず見事な熱演ぶりだった。
下野さんの指揮にリードされ、神奈川フィルも大健闘だったのでは?
観終わってから言えば、小説やプログラムのあらすじを読んでいないと、
少し「あれは何だろう」という箇所があったかもしれない。
17:50終演
プログラム
シルクセンター前
山下公園通り
同上
同上
和服姿で記念撮影。
県民ホール
全席指定だが、開場を待つ列
開場したところ
3階へ 会場はNHKホール型
3階ロビーより
入港中の客船は飛鳥ⅡとOCEAN Dreamだろうか?
休憩中 スパークリングワイン500円
遠くにインターコンチネンタルホテルが見える。
3階ロビー 休憩中
産業貿易センター
3階ロビー
お開き後
関内から
あざみ野へ
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馬場さんも歌っておられたんですね~。気が付きませんでした(笑)。
黒子も歌舞伎っぽかったですね~。お客さんも入っていましたね。
(昨日の訪問者数204は過去最高?)
可動式の山台を操作する黒子たちが丸見えでした
合唱団員の名前まではチェックが至りませんでしたが
先ほど公演プログラムで確認しましたら
テノールに馬場崇さんのお名前がありました
ご夫婦で共演されてたんですね~