人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

R.シュトラウス「薔薇の騎士」(1)

2008-09-29 06:00:07 | 音楽
9月27日(土)新日フィルトリフォニー・シリーズ第436回定期演奏会に出掛けた。
クラシック演奏会の年度初めは9月である。今回は2008~2009年度のオープニング
にあたり、年に一度の「コンサート・オペラ」、今回はR.シュトラウスの「薔薇の
騎士」。会場はめずらしく満席だった。

このオペラ、一種のコメディーであるが、女性の移り行く心理描写が聴き所であ
る。(--あらためて認識した。)初演は1911年というから明治44年である。ドレ
スデンの初演にはベルリンから列車が出たという。台本はゴールデンコンビのホフ
マンスタールだ。

<キャスト>
元帥夫人;N.グスタフソン(ソプラノ)
オックス男爵;B.T.クリスティンソン(バス)
オクタヴィアン;藤村実穂子(メゾソプラノ)
ファーニナル;Y.リン(バリトン)
ゾフィー;C.ライス(ソプラノ)
アリアンネ;田中三佐代(ソプラノ)
ヴァルツァッキ;谷川佳幸(テノール)
アンニーナ;増田弥生(メゾソプラノ)
テノール歌手;佐野成宏(テノール)


<第1幕元帥夫人の寝室>
R.シュトラウスお得意の、ワーグナー風のライトモチーフで前奏曲が始まる。元帥
夫人(黒のシュミーズchemiseが官能的だ。)とオクタヴィアンのからみが続く
が、二人とも本当に立派な声だった。字幕は大きくて、大変読みやすい。
第1幕途中でチョイ役の「テノール歌手」(=佐野成宏)が歌ったが、オーバーに
いえばドミンゴかと思われるほどすばらしかった。

<第2幕新興貴族ファーニナルの豪邸>
第2幕にゾフィーが登場したが、当初歌う予定だったL.クローウェが不調のため、
急遽呼ばれたC.ライスがゾフィーらしい、<初々(ういうい)しい>歌いぶりと表
情をみせた。(この人、「ナクソス島のアリアドネ」のツェルビネッタも歌ってい
るようだ。)
オックス男爵がワルツに乗って歌う場面はさすが雰囲気があり、オックス歌いとし
ての味があった。

<第3幕ウィーン郊外のホイリゲ(居酒屋)>
終盤、元帥夫人、ゾフィー、オクタヴィアンの三重唱からゾフィーとオクタヴィア
ンという恋人同士の二重唱--時間にしたら10分くらいであろうか、背中が離れ、
一点に集中するほどひきつけられた。
 
終わるやいなや会場はブラボーの嵐に包まれた。--それはオックス男爵、元帥夫
人、オクタヴィアン、ゾフィーに集中していた。私も興奮して5回以上叫んだので
はないだろうか。カーテンコールは15分も続き、終演は7時10分となった。
(なお全幕登場の子役達がかわいらしかった!)

藤村を除き、主役クラスは外国人だったが、J.リン2m、クリスティンソン195
cm、N.グスタフソン180cm(いずれも推定)と身体が大きいのに驚いた。指揮
のアルミンクは184cmである。

なお、原語は配役によりいろいろな訛(なま)りが含まれているようだ。字幕があ
るものの、原語を暗記すればもっと楽しめることだろう。(「イッヒ」を「イー」
と聞こえる部分があった。ソラミミかしらん。)

会場には指揮者の尾高忠明氏も来ておられた。



コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「タンホイザー」 | トップ | R.シュトラウス「薔薇の騎士... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うらやましい (minorer)
2008-09-29 21:57:55
新日フィルの「薔薇」に行かれたのですね
ワタシが申し込んだときには既に完売で
チケットを入手できませんでした
オクタヴィアン役の藤村さんの人気もあったのでしょうか

昨年から今年にかけて4本の異なるプロダクションによる
「薔薇」が上演され、さらに今回が(演奏会形式とは言え)
5本目の上演ということになります
短期間の間にこれほど「薔薇(演奏至難な)」を
日本にいながら観賞できることは幸せであります
(ワタシは今回は涙を飲みましたが)
理由の一つにはR・シュトラウスの著作権が
切れたということがあるのかもしれません
他のシュトラウス作品も近年良く上演されますからね

ところで「イッヒ」が「イー」に聞こえたのは
多分オクタヴィアンが小間使いに化けた
マリアンデルのセリフではないでしょうか
対訳を読むと「i komm' glei(すぐに来ますわ」
などとあります
ただ、マリアンデルは田舎出という設定なので
ウィーン訛りかどうかはわかりませんが

ワタシはカラヤンの旧盤で長らく薔薇に親しんでまいりましたが
オットー・エーデルマン演ずるオックス男爵が
ウィーン訛りなのではないかと思います
「was(何)」が「wos」に聞こえたり
「antwort(返事)」が「antwert」に聞こえたりします
畑中先生も「そうそう、ヴォスって言ってるよねぇ」
とおっしゃってました
返信する
勿体ない (katsura1125)
2008-09-30 07:10:29
minorerさん、いつも有難うございます。
おもしろい(interesting)お話、長文を有難うござ
います。私も宇野功芳先生おすすめのカラヤン旧盤を
購入しようかと思案中です。
こんな、勿体ないお話をお持ちならブログを立ち上げ
られてはいかがでしょうか。(人気ブログになります
よ。)
私は定期会員でしたので、1万円の席を3千円余りで聴
けました。
返信する
でんでん虫 (minorer)
2008-09-30 21:52:19
思い出しました
ドイツ民謡で「ムシデン」というのがありますね
日本語の歌詞は「さらば、さらば我が故郷」
階名で書くなら「ドレ、ミーミソファーファラ、
ソーソファミー」というあれです

これは muss i denn でしょうね
英訳すると must I then
この歌は田舎の青年が恋人と別れて町へ出てゆく
別れの歌だそうです(木綿のハンカチーフですね)

Ich が i に聞こえたのは空耳ではありませんよ

と言うような具合に、ワタシはコメンテーターに
徹しますです(自前のブログは炎上すること必至)
返信する
役割 (katsura1125)
2008-10-01 05:53:37
minorerさん、いつもいつも感謝!です。
最近分かってきました。--それぞれ「役割」がある
のだと。1冊の本が出来上がるには、作家のほかに優
秀な編集者が必要ですし、歌手の成長には立派な評論
家が欠かせません。
これからもコメントをよろしくお願いします。
返信する

コメントを投稿

音楽」カテゴリの最新記事