人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

小泉信三の「私事」  時事放談

2021-09-29 05:00:00 | 読書

先日26日のブログで、若かりし半藤一利氏が小泉信三に「ぜひと
も私家版の『海軍主計大尉小泉信吉』をうちから出版させてくだ
さい」とお願いしたら、「駄目です」の一言で断られた話を書い
た(→こちら)。


その後・・・・・・
昭和41年5月11日に小泉信三は亡くなる。

半藤氏は小泉信三を偲ぶ特集号で『海軍主計大尉小泉信吉』から
多くを抜粋して掲載することを思いたち、編集長とともに小泉夫
人を訪ねる。

 ・・・・・・編集長と小泉邸を訪ねたのは、葬儀も終えて何日かたったときである。
 まだ残る悲しみと寂しさを抑えて、小泉夫人が毅然として言われたことの大
 意は、いまもはっきりとわが脳裏に刻まれている。

 趣旨はよく理解したが、断る、と夫人は明確に言った。雑誌には多くのいろ
 いろな読者がいる。その読者のなかには、「小泉を理解していない方、小泉
 を嫌いな方、小泉を敵視している方もおられるかも知れません。そういう方
 にまであの私記を読んで欲しいとは、小泉は必ずしも思っておりませんでし
 た」と夫人は説明して、さらにつけ加えた。

 「亡くなったいまもそう思っていると、私どもは考えています」
 それが断る理由のすべてであり、他に理由はない。もちろん、小泉のものを
 読みたいと思う読者には、ぜひ読んでほしいと考えてはいるが・・・・・・。そう
 いって夫人は頭を深々と下げたのである。

 こうして「文藝春秋」掲載は諦めざるを得なくなった。
 (半藤一利『手紙のなかの日本人』(文春文庫p219)

しかし、その後・・・・・・


   *   *   *

信仰は私事だった
               今村武雄(評論家)
 青山の葬儀場で、「ナタナエル 小泉信三先生」の葬儀が行われたとき、会
 葬者のうちには、先生のキリスト教入信を知らず、「意外だった」とささや
 く者が、かなりあったという。

 たしかに、このことについて、先生は生前、なにも語られなかったし、いわ
 ゆるヤソ臭いことは、一言もいわれなかった。・・・・・・

 入信の直接の動機は、昭和27年2月、令孫エリ子さん(3つ)の死という、い
 たましい事件であり、その時、先生は深い悲しみに沈まれた。けれども、そ
 んなことは、一言も、われわれには、もらされず、先生はじっと悲しみに耐
 えて、まもなく、復活節には長女の秋山加代子さんとともに、聖アンデレ教
 会の野瀬司祭から洗礼を受けられた。そして、黙々と婦人矯風会の後援や聖
 公会の香蘭女学校の管理に尽力された。のみならず、信徒としてのつとめを、
 聖日ごとに、厳格に守られた。が、おそらく、先生にとって、信仰は「私事」
 だったのであろう。・・・・・・

葬送
 (5月)13日は午前10時、飯倉の日本聖公会聖アンデレ教会で棺前のミサが執
 行された後、三色旗の覆われた柩は、ナザレ修女会の尼僧6名、慶應ワグネル・
 ソサイエティ―会員20名が歌う讃美歌と塾歌につれ、庭球三田会の人々によっ
 て霊柩車に移され、桐ケ谷火葬場に運ばれた。(今村武雄『小泉信三伝』)



半藤一利『手紙のなかの日本人』(文春文庫)
今村武雄『小泉信三伝』(文春文庫)


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日テレ予想では、前々日より高市氏が議員票で10票上乗せしてい
る。他の3人は変わらず。
決選投票は間違いないだろうが、勝敗の行方は分からない。
さまざまなことがまことしやかに言われているが・・・・・・。
河野氏はやはり年金問題がウィークポイント?


○立民が今頃になってアベノミクスを批判。安倍内閣の時に徹底
 的に議論すればよかったのでは?
 金子勝(経済政策のブレーン?)、江田憲司がアベノミクス大
 失敗をいうのであれば、例えば安倍首相「国政選挙6連勝」はど
 う説明するのか?
 そもそも「分配」
が先行する「成長」は経済学的にありえない?
 これでは立民は、衆院選も勝てないのではないか?
 (いつも、念のためにいえば、私は「支持政党なし」だが)。

○小沢一郎氏が野党一本化を共産と調整する話はなくなったよう
 だ。もしかしたら、昨日のブログが効いた?


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