7月5日(日)、隔年で東京、関西で開催される東西四大学合唱演奏会(通称四連)
を昭和女子大人見記念講堂で聴いた。(いつも思うことだが、この会場は、Nホー
ルほどではないにしても、やや子音が聴き取りにくいのではないだろうか。)
この日は、東京交響楽団の定期(於初台の東京オペラシティ)とぶつかり、東響が
終わってから駆け足の移動となった。人見記念講堂に滑り込んだのは開演10分前で
あった。(人見記念講堂の座席は1Fハ-22)
<エール交換>
1.慶應・・・ややゆっくりしたテンポ。どちらかといえば、力まないアンサンブル型
の塾歌。
2.同志社・・・人数は少ないがなかなかの声。
3.関学・・・気持ち速め、関学得意のインテンポ。
4.早稲田・・・当日の中では圧倒的な人数。本当にエネルギッシュ。
この日は、「エール交換」に限らず、どのステージも緞帳(どんちょう)がゆっく
り降りるまで温かい拍手が続いた。
1.慶應ワグネル「柳河風俗詩」(指揮畑中良輔、朗読平野忠彦)28人
2.同志社グリー「北欧の風景」(同伊東恵司)22人
3.関学グリー「いつからか野に立って」(同本山秀毅)約45人
4.早稲田グリー「縄文ラプソディー」(同荻久保和明、ピアノ前田勝則)約70人
5.合同「合唱のためのコンポジションⅢ」(同佐藤正浩)約150人
(以下、上記1~5の感想です。)
1.この日はすべて緞帳が上がるのと紹介アナウンスが同時であった。したがって、
全員が「気を付け」状態でないにもかかわらず緞帳があがるようなことがあっ
た。(ステマネの責任かしらん?)
紹介アナウンス終了とともに、白っぽいブラザーの畑中先生と180cm近い長
身、黒シャツ黒ズボンの平野さんが拍手に迎えられ、ゆっくり登場する。畑中先
生が指揮台、向かって右側に控える中、「私の郷里柳河は水郷である」と平野さ
んの朗読が始まる。→こちら
朗読の最後「水郷柳河はさながら水に浮いた灰色の柩である」に差し掛かったと
きにピッチパイプによる音取りがなされた。「少人数合唱」でゆっくりめのレガ
ート「もうしもうし柳河じゃ」と演奏が始まった。「思ったより」ゆっくりめの
箇所とはやめのところが混ざりながら進んでゆく。Topのソロはしっかりした
声!合唱は内声のピッチもなかなかいい。曲と曲はアタッカで次から次へと繋が
れていく。3曲目「かきつばた」の最終部「(細い吐息に)泣き明か~す~」と4
曲目「梅雨の晴れ間」の「廻せ廻せ」を重ねた。このあたりは「ライヴの醍醐
味」といえるでしょう。北原白秋の世界--日本語の美しさと柳河の情緒がミッ
クスされた演奏だった。畑中先生/ワグネルの「柳河風物詩」をステージで聴く
のは初めてのはずなのに、私は突然いつしか生で聴いたかのデジャヴに襲われ
た。
朗読付きの、畑中先生の「柳河」は「どうだ聴いたか、うまいだろう」というと
ころが少しもない演奏。音に「慈愛」を感じる。
この調子で書いていくとページがいくらあっても足りないので、ポイントを絞って
まとめよう。
2.伊東氏はコンクールに積極的に参加、北欧の合唱曲などの勉強家である。3列22
人の少人数とはいえ、練習十分。拍を振らない大きな指揮で北欧らしい透明な合
唱がつむぎだされていく。個人的には、しみじみとしたシベリウス「月光のも
と」がよかった。現代の作曲家ニーステッドによる「SALVE REGINA」も興味深か
った。(同一のラテン語でシューベルトを歌ったことがあるが、これはTop殺し
できつかった!)
3.関学は伝統的にOBが振っていたが、ここへ来て「外部招聘」本山氏が指揮をし
た。長身(178cm?)の同氏は全日本合唱コンクールの審査員も務めているバ
ッハの研究家である。今、一種の流行りの木下牧子氏の世界を見事に作り出して
いた。左右に揺れながら、拍を振らない指揮。パッションを爆発させず、どちら
かといえば子音を立てない優しさ(H.リリング譲り?)を感じた。2人からブラ
ーボッがかかった。
4.昨年に続き作曲者自身による、真にエネルギッシュな指揮。前田さんの伴奏に、
合唱もいろいろな音色を駆使し、子音を立て、言葉がハッキリ聴き取れた。中間
の曲「滝壺舞踏」の「きみたち死んだ おれたち生きた」は、(私は)ただ聴い
ているわけにはいかない、何かを哲学しなければならないというイライラ性を感
じた。終わるや6~7人がブラボーを叫んだ。
5.黒シャツ、黒ズボンの、長身佐藤氏が登場。150人以上の男声合唱の醍醐味が聴
けた。さすが四連。合同とはいえ、指揮者、合唱とも暗譜!サインも的確、徹底
し、均質的な声を出していた。終演後、緞帳が下がる間も拍手が鳴り止まなかっ
た。アンコールでは、グルジアの仕事唄「ナドゥリ」をダイナミックなダブル・
コーラスで歌い上げた。
<ステージストーム>
1.慶應 Slavnostni sbor
2.同志社 何でしょう?
3.関学 ウ・ボイ
4.早稲田 斎太郎節
かりにこの日の演奏を何人かで採点し順位を付けるとしたら、票が割れただろう。
それくらい水準が高かった。もっとも「評価」するとしたら全日本合唱コンクール
のように、メンバーが32人以下、33人以上で分けたほうがいいのかもしれない
(笑)。男声合唱の醍醐味と少人数合唱のすばらしさをともに堪能できた演奏会だ
った。
第60回記念は東京文化会館で聴いてみたい。頑張りましょう。
この日聴いた東響の定期もブンダバー!(とくにチャイコフスキーピアノ協奏曲第
1番。ブラボーの嵐。)であった。またあらためてレポートしたい。密度の濃い演
奏会を一日に二つも聴くと本当に疲れる。
を昭和女子大人見記念講堂で聴いた。(いつも思うことだが、この会場は、Nホー
ルほどではないにしても、やや子音が聴き取りにくいのではないだろうか。)
この日は、東京交響楽団の定期(於初台の東京オペラシティ)とぶつかり、東響が
終わってから駆け足の移動となった。人見記念講堂に滑り込んだのは開演10分前で
あった。(人見記念講堂の座席は1Fハ-22)
<エール交換>
1.慶應・・・ややゆっくりしたテンポ。どちらかといえば、力まないアンサンブル型
の塾歌。
2.同志社・・・人数は少ないがなかなかの声。
3.関学・・・気持ち速め、関学得意のインテンポ。
4.早稲田・・・当日の中では圧倒的な人数。本当にエネルギッシュ。
この日は、「エール交換」に限らず、どのステージも緞帳(どんちょう)がゆっく
り降りるまで温かい拍手が続いた。
1.慶應ワグネル「柳河風俗詩」(指揮畑中良輔、朗読平野忠彦)28人
2.同志社グリー「北欧の風景」(同伊東恵司)22人
3.関学グリー「いつからか野に立って」(同本山秀毅)約45人
4.早稲田グリー「縄文ラプソディー」(同荻久保和明、ピアノ前田勝則)約70人
5.合同「合唱のためのコンポジションⅢ」(同佐藤正浩)約150人
(以下、上記1~5の感想です。)
1.この日はすべて緞帳が上がるのと紹介アナウンスが同時であった。したがって、
全員が「気を付け」状態でないにもかかわらず緞帳があがるようなことがあっ
た。(ステマネの責任かしらん?)
紹介アナウンス終了とともに、白っぽいブラザーの畑中先生と180cm近い長
身、黒シャツ黒ズボンの平野さんが拍手に迎えられ、ゆっくり登場する。畑中先
生が指揮台、向かって右側に控える中、「私の郷里柳河は水郷である」と平野さ
んの朗読が始まる。→こちら
朗読の最後「水郷柳河はさながら水に浮いた灰色の柩である」に差し掛かったと
きにピッチパイプによる音取りがなされた。「少人数合唱」でゆっくりめのレガ
ート「もうしもうし柳河じゃ」と演奏が始まった。「思ったより」ゆっくりめの
箇所とはやめのところが混ざりながら進んでゆく。Topのソロはしっかりした
声!合唱は内声のピッチもなかなかいい。曲と曲はアタッカで次から次へと繋が
れていく。3曲目「かきつばた」の最終部「(細い吐息に)泣き明か~す~」と4
曲目「梅雨の晴れ間」の「廻せ廻せ」を重ねた。このあたりは「ライヴの醍醐
味」といえるでしょう。北原白秋の世界--日本語の美しさと柳河の情緒がミッ
クスされた演奏だった。畑中先生/ワグネルの「柳河風物詩」をステージで聴く
のは初めてのはずなのに、私は突然いつしか生で聴いたかのデジャヴに襲われ
た。
朗読付きの、畑中先生の「柳河」は「どうだ聴いたか、うまいだろう」というと
ころが少しもない演奏。音に「慈愛」を感じる。
この調子で書いていくとページがいくらあっても足りないので、ポイントを絞って
まとめよう。
2.伊東氏はコンクールに積極的に参加、北欧の合唱曲などの勉強家である。3列22
人の少人数とはいえ、練習十分。拍を振らない大きな指揮で北欧らしい透明な合
唱がつむぎだされていく。個人的には、しみじみとしたシベリウス「月光のも
と」がよかった。現代の作曲家ニーステッドによる「SALVE REGINA」も興味深か
った。(同一のラテン語でシューベルトを歌ったことがあるが、これはTop殺し
できつかった!)
3.関学は伝統的にOBが振っていたが、ここへ来て「外部招聘」本山氏が指揮をし
た。長身(178cm?)の同氏は全日本合唱コンクールの審査員も務めているバ
ッハの研究家である。今、一種の流行りの木下牧子氏の世界を見事に作り出して
いた。左右に揺れながら、拍を振らない指揮。パッションを爆発させず、どちら
かといえば子音を立てない優しさ(H.リリング譲り?)を感じた。2人からブラ
ーボッがかかった。
4.昨年に続き作曲者自身による、真にエネルギッシュな指揮。前田さんの伴奏に、
合唱もいろいろな音色を駆使し、子音を立て、言葉がハッキリ聴き取れた。中間
の曲「滝壺舞踏」の「きみたち死んだ おれたち生きた」は、(私は)ただ聴い
ているわけにはいかない、何かを哲学しなければならないというイライラ性を感
じた。終わるや6~7人がブラボーを叫んだ。
5.黒シャツ、黒ズボンの、長身佐藤氏が登場。150人以上の男声合唱の醍醐味が聴
けた。さすが四連。合同とはいえ、指揮者、合唱とも暗譜!サインも的確、徹底
し、均質的な声を出していた。終演後、緞帳が下がる間も拍手が鳴り止まなかっ
た。アンコールでは、グルジアの仕事唄「ナドゥリ」をダイナミックなダブル・
コーラスで歌い上げた。
<ステージストーム>
1.慶應 Slavnostni sbor
2.同志社 何でしょう?
3.関学 ウ・ボイ
4.早稲田 斎太郎節
かりにこの日の演奏を何人かで採点し順位を付けるとしたら、票が割れただろう。
それくらい水準が高かった。もっとも「評価」するとしたら全日本合唱コンクール
のように、メンバーが32人以下、33人以上で分けたほうがいいのかもしれない
(笑)。男声合唱の醍醐味と少人数合唱のすばらしさをともに堪能できた演奏会だ
った。
第60回記念は東京文化会館で聴いてみたい。頑張りましょう。
この日聴いた東響の定期もブンダバー!(とくにチャイコフスキーピアノ協奏曲第
1番。ブラボーの嵐。)であった。またあらためてレポートしたい。密度の濃い演
奏会を一日に二つも聴くと本当に疲れる。
‘Mendelssohn’の「Beati Mortui」です。
この曲は、1978年の全日本合唱コンクールの課題曲で、その後、アンコール等で大はやりしました。
同志社はたぶん1982年ごろ?の初日のストームで初めてとりあげたような気がします。その後、1986年ごろには、同志社以外は今回と同じ曲、同志社は詩篇?を演奏した記憶がありますので、そういう意味では今回のストームは、各学校の定番をそれぞれ歌ったことになります。
う~ん、「メンデルの息子」さんでしたか。「ヨハネによる黙示録」なんですね~。--聴きながら宗教曲らしいとは思ったのですが。「Beati Mortui幸い 死ぬ」なかなかよかったですね~。
現役のワグネリアンにもよろしくお伝え下さい。--さらなるクレッシェンドを楽しみにしています。
アマチュアである学生の合唱団は、同じ先生にじっくりと育てていただくのが基本でしょうか。
ドイツ語の曲をやるにしても1年間ではなかなか難しく、上級生が下級生を「指導」できるくらいにならないとホンモノに近づくことは難しいかも。