2月12日(火) 畑中良輔先生91回目のお誕生日。紀尾井ホールで行わ
れた、'93~'12音楽の友ホール〈日本歌曲〉シリーズ特別追悼公演「畑
中良輔の愛した日本歌曲の世界」に足を運んだ。
企画・構成お話は「日本歌曲シリーズ」を畑中先生と一緒にやってこられ
た塚田佳男さん。
私は入場するや2F-4-18という端の席を押さえた。--簡単なメモを
取るために、なるべく迷惑にならないように。
ステージ上手には、畑中先生お気に入りの写真が大きく飾られていた。
(プログラムの写真参照)
<プログラム>お名前の下は、プログラムに記載された出演の先生方の
コメント
1.リラ合唱団 指揮;塚田佳男、ピアノ;徳富香恵
《紀の國の歌》より
・和歌の浦に
・巨勢山の
・三熊野
・風早の
信時潔の名曲《紀の國の歌》をすてきなドレスの9人の女声合唱が<本
格的な声>で歌い上げた。三熊野は信時らしいダダダダダ・・・・・・という
伴奏。塚田さんは右手と左手を使い分ける、大きな指揮。
塚田さん「皆さま、今日はお寒い中ようこそお越しいただきました。・・・・・・
音楽の友ホールでの日本歌曲シリーズでは畑中先生と20年近くご一緒
させていただきました。今日は畑中先生の91回目のお誕生日です。まさ
か1年前にはこの日が追悼になるとは思ってもみませんでした。今日は
曲目解説もなく、ただただ畑中先生を偲んでお聴きいただきたいと思って
おります」
2.小栗純一(Br)
ほんとうに幅広く教えていただきました。心細やかに気を遣って下さる、そ
のやさしさは家族同様で、有り難く思っています。
・荒城の月
・富士山見たら フルート;宗方律
「荒城の月」は原曲どおりの(移動ドの)レ♯。小栗さんの歌は、私にはいつ
も立川清登さんを彷彿とさせる。堂々たる姿勢(ポスチャー)はさすがプロ
です(副音声?)。
3.青山恵子(Ms)
更予先生共々、お世話になりました。私の「うぐいす」は、良輔先生がとて
も気に入って下さったもので、大切にしていきたい!
・うぐいす
・この道
白地のドレス。ア・カペラの「うぐいす」は下手から歌いながらの登場。絶品
(!)だった。
4.関定子(S)
この《雨情》を初めて先生の前で歌った時、大きな声でホメて下さった!
私の日本歌曲人生は、ここからスタートしたと思います。
《雨情民謡集》
・捨てた葱
・紅殻とんぼ
・二十三夜
・波浮の港(山田耕筰作曲)
・粉屋念佛
関さんのライヴを聴いたのは初めてである。黒地のドレス。登場の仕方も
貫録十分。ややドラマティーコの声。意外とコミカルな方かしらん。
5.平良栄一(T)
私が沖縄人であるからか、沖縄の音楽にとても興味を持って下さいました。
私が“蛇三線”を始めたのも先生の薦めなんですよ!
《日本の笛》より ・祭もどり ・親船子船
・だんじゅ嘉例吉
テノールの響き!「だんじゅ嘉例吉」では歌いながら、すばらしいカチャー
シーを踊ってくれた。大拍手!
6.山田美保子(Ms)
若い頃はあまり従順な生徒ではなかった私!しかしある時から私の音楽
を認めて下さり、そこから未来が開けたように思っています。
・城ケ島の雨
橋本版「城ケ島の雨」は、やや日本のシャンソン風。1曲だけだったがひき
つけられた。
7.天田美佐子(Ms)
群馬に住んでいる私を、いつも「ガンバッテ!」と励まして、歌うチャンスを
下さいました。その心遣いは忘れません。
《小倉百人一首》より
・月見れば
・花の色は
・淡路島
・長からむ
・人はいさ
短髪、ボーイッシュなヘアースタイル。黒のドレス。シンプルな難しさの、ヴァ
ラエティーに富んだ曲と歌唱が心にしみた。
8.小濱妙美(S)
どちらかというとオペラや外国歌曲をよく聴いていただいたのですが、日本
歌曲での教えは、私には貴重なものとなりました。
・赤いかんざし
和服風ドレスかしらん。ややオペラティックに、見事に明晰な日本語を歌い
上げた。オペラのステージにスポットが当たるよう。ブラーボがかかった。
9.田中誠(T)
いつも「アンタの歌は、涙なくして聴けない」と、感激して下さった!ほんと
にその心やさしさに絆(ほだ)されました。
《智恵子抄》より
・あどけない話
・レモン哀歌
作曲は清水脩。楽譜は見ていないが難しそうな曲。独特の味わいだった。
10.堀野浩史(Bs)
私の“スーパー・バス”は、先生の命名なんです。結局、怒鳴られることも
なく、長年いろいろな曲を聴いてもらえました。
・汚れた掌
・きつね
石桁歌曲を男性的に歌い上げた。石桁さんの曲は歌の旋律とピアノ伴
奏が「分離」している。
11.宮本哲朗(Br)
先生のお宅で料理長をし、食後は歌って楽しむ!先生は「キンタの大冒
険」が大好きでして・・・・・・、今は発禁のCDですけどね!
・結婚
・オオカミの大しくじり
ややコミカルな芸風。おもしろい歌だとアマがまねしてもサマにならない
だろう。
12.渡邊明(Br)
「アキラ!」と親しく声をかけて下さった巨匠です!私の硬派な音楽を認め
て、いつも「味があるねぇ」の一言、感謝でした。
・木莵(みみずく)
長身である。渡邉ワールドというのかしらん。求心的な歌にひきつけられた。
ニコリともせず、ひきさがった。
13.松本美和子(S)
父親のように接してきた先生!私には“亡くなった”と心身で感じられず、
今でも身近で見守っていて下さるように思えます。
・歌をください
いかにも中田喜直さんの選んだ詩。「一度しかない人生 一つしかない
命」に会場全体がひきつけられた。
14.花房晴美(P)
山田耕筰のピアノ曲を弾いてご縁ができ、何かとお声をかけていただきま
した。お誘い下さったお食事をお断りしたのが、残念で!
・ピアノのための「花林(まるめろ)」
転調の所では何回聴いてもひきつけられる。
15.栗本尊子さんより<お花と手紙>
綱川立彦(Br) ・恩師を讃える歌
独唱版、直立不動で朗々と歌われた。
16.綱川立彦(Br)
先生の一声は、いつも「声がデカすぎる!」でした。でもご一緒することが
多く、親身に教えていただいたと思っています。
《西条八十の詩による二つの歌》
・烏の手紙
・芒の唄
コミカルなジェスチャー交じりの歌唱。少しブル先生と声質が似ているかし
らん。
17.塚田佳男朗読 『牧歌』(畑中良輔詩)
いかにも畑中先生の詩を見事な朗読で。
18.松井康司(Br)
中途半端な自分の声に悩んでいた時、畑中作品を歌って確かな方向性を
見出した!先生も私の音楽を愛して下さったと思います。
《『秘帖』より~『天の夕顔』による四つの歌》
・まがなしき
・いつの日か
・いづくにか
・やまにゆき
明るくリリックでやや柔らかい、個人的には好きなバリトン。
19.大島洋子(S)
“コワさ”があったかもしれませんが、年齢を重ねてみると、そんな先生の
人間味が多くの人に好かれてきたと思えるのです。
《四季の歌》
・春の歌 ・夏の歌 ・秋の歌 ・冬の歌
高音から低音までムラがなく、出だしからひきつけられた。身長156cm
(?)かしらん。さほど大きくないにもかかわらず身体全体から声が出て
いる感がある。私より少し年下カナ。
20.竹澤嘉明(Br)
先生とは、長い間の“同志”といえる面がありますね。歌うことでも仕事と
しても、たいへん助けていただいたものです。
《五つの歌》
・秋の空 ・素朴な琴 ・秋 ・雨 ・夕焼
竹澤さんのライヴも、私は初めてだったかしらん。哲学者風の歌唱。ニコリ
ともせず、おじぎして下手に下がった。
21.平野忠彦(Br)
怒られ、口ゲンカをし、先生にはウルさい生徒だった?でも私は先生が大
好きでした!先生、旅立ちが早すぎましたヨ!
《四つの風刺的な歌》より ・サッチャンの家
「青の会」でこの初演を聴いたのはいつのことだったかしらん。会場の若
い女性からクスクスという笑い声が起こった。大きな拍手で会場がざわ
めいた。
22.瀬山詠子(S)
私が弟子の最年長になるのでしょうね!心から敬愛し、またあこがれて
いた先生、いろいろに導いていただきましたね。
《超える影に》より ・水 ・海 ・山
まぎれもなく瀬山さんのソプラノ、とてもお歳には見えない(聴こえない)。
難しい音を見事に歌い上げた。3、4人のブラボッ。上手のブル先生の写
真に一礼して退場。
23.中村健(T)
亡き妻・邦子と共にずーっと家族同様におつきあいをしてまいりました。先
生は息子の名付親でもあるんですよ!
・犬のおまわりさん
・おなかのへる歌
・サッちゃん
・早口ことばの歌
「これから歌のおじいさんがドウヨウ(童謡)を歌いますが、畑中先生がいら
した時とドウヨウ(同様)に歌えるか、少しドウヨウ(動揺)しています(笑)」
中村さんが長年歌ってこられた童謡の世界であり、十八番である。畑中先
生もお好きだったようだ。(そういえば畑中先生も童謡を作曲していらした。)
会場は大爆笑。
24.小濱・青山・平良・松井 ・待ちぼうけ
25.関・堀野 ・ぞうさん
26.大島・小栗 ・もんく
27.天田・山田・田中 ・鬼の子守唄
(鬼が「桃太郎が怖いよ~」と泣くお話。阪田寛夫さんの詩。)
28.竹澤・宮本 ・ドロボウのうた
29.松本・平野 ・夕方のおかあさん
それぞれに大真面目にコミカルにユーモラスに。アマは声が出たとして
も、なかなかマネはできないだろう。
最後の最後は、ブル先生直伝の手遊び歌から信時潔の「野火」を、平野
さんのリードで2回繰り返し、全員が手をつないでのお開きとなった。
お一人お一人が最初から最後まで「全力投球」の演奏に聴く方も息が抜
けない一夜。滅多に聴けない、いずれも大学教授クラスの演奏会であっ
た。
今にも畑中先生が下手の席から登場されるのではないかと思われた。
(21:53終演)
ピアノ伴奏;塚田佳男、小原孝、入江真知子、徳富香恵
夕食は御茶ノ水駅前 中華料理のやまだ
ここの(野菜たっぷり)タンメンはうまい!(650円)
御茶ノ水から四ツ谷駅下車 紀尾井ホールへ(17::55)
2階ロビー 日本歌曲<友>の会会誌を販売中(写真中央)
2階より1階入り口を望む
この日のプログラム小冊子
プログラム編集責任:堀内美也子氏の力作!ブル先生のスナップ満載。
会場で新発売となった畑中良輔『日本歌曲をめぐる人々』(音楽の友社)
(2,200円+税)
この日は日本歌曲<友>の会会誌も200円で販売
2冊ともに一気に読んでしまった。畑中先生は永遠に生きておられますね
~。
* * * *
2月14日(木) 東京芸術劇場地下にてワグネルOB練習。この日は多田
武彦「草野心平の詩から」1、2、3と4を少しおさらい。4のソロはパトリ不
在の中、じゃあTopの皆さんご一緒にとなったが、私は自分をわきまえ、
声を出さなかった(笑)。
この日は、広島からTopのNさん(S53年卒)が出張で練習にも顔を出し
た。私が練習に行くと先に来ていたNさんがイスから立ち上がり、直立不
動に。
「そんな、立たなくても、卒業したら同じOB、男同士なんだから」
「あ、いえ、大先輩ですから」
「男同士」で思い出すのは・・・・・・私が大学入学式オリエンテーションでワ
グネルに顔を出した時に、責任者のNさん(--S46卒で上述のNさん
とは別人。この方はワグネルの権化のような人だった。)が私に30分ば
かり男声合唱のすばらしさを話してくれた。
「混声合唱だとすぐ誰(男性)と誰(女性)がくっついたという話になるでしょ
う。男声合唱はその点、音楽だけで。ホント気を遣わなくていいんだよ~」
というお話だった。
Nさんは合唱の古豪都立八潮高校(この高校は元女学校だった。女性が
強かったのカモ。)出身で、予備校は私と同じH学院、3年違いだった。
私が4年になり、木下保先生のお宅におじゃました時、先生は奥様が部屋
からおられなくなると小声で
「男同士というのはいいね~。女性(の心)はいくつになっても分からん」
と青年のような顔つきでおっしゃられるのだった。
木下先生はお優しい奥様とお嬢様3人に囲まれてたいへんおしあわせで
女性にもやさしい気遣いをみせる方だったが、それでも男同士がよかった
のかしらん。先生は学生時代からワグネルに来られていた。
この日の夕食は大戸屋のロースかつ定食(900円)
東京芸術劇場地下練習室の掲示版
↑ この方が広島のNさん 「中国ワグネル三田会で練習しています」
この日、9月の佐藤先生の予定(OB練習「草野心平」と「ローエングリン」)
が発表となった。
9/7(土)午前&午後
9/8(日)午前&午後
9/16(月・祝)午後
9/21(土)未定
○「草野心平の詩から」と「ローエングリーン」は暗譜!
○「チャイコフスキー歌曲集」は譜面持ち (予定)
立花隆『天皇と東大』を読み終えた。連載物だけに、やや行ったり来たりし
た書き振りだったが、大変おもしろかった!
河合栄治郎は、真の自由主義者だったが、当時は「自由主義者=悪」だっ
た。まさしく「戦闘的な自由主義者」だったようだ。
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「畑中先生は永遠に生きておられる」、私も全く同じ思いです。
「ローエングリン」は暗譜ですか(汗)。新曲ともいえるワーグナー、取り組み甲斐がありますね。
「ローエングリーン」はまだまだ間に合うでしょう。まだ編曲ができていないようですし(笑)。
現在、見ることのできる、田中誠先生関連のネットを見つけました。
http://kurashiki-sakuyo-on.blog.so-net.ne.jp/2010-07-29-1
田中誠さんは私たちと同じ年代でしょうか・・・・・・。
もっと身近で聴いてみたい歌手ですね~。3/7「田中誠テノールリサイタル『詩人心を歌う』」(杉並公会堂)も行きたかったのですが。