福田恆存(つねあり)が人間50歳を過ぎたら本を厳選して読むべきだという趣旨の
ことを言っていた。小泉信三はできるだけ大書を読むべきだと書いていた。
しかし、『戦争と平和』、『カラマーゾフの兄弟』など世界文学全集の作品は読ん
だことがない。現実には依然として、大書とはいえない本の濫読(らんどく)であ
る。
5月23日(金)(給料日である。)昼休みに三省堂で物色するうち、「昭和史を駆
け抜けた男の<夢と真実>初の文庫化」という帯に惹かれて『田中清玄自伝』(ち
くま文庫)を購入した。
自伝といえば『福翁自伝』--これは読み応えがある!自伝文学の傑作である。近
年読んだものでは『ダライ・ラマ自伝』がおもしろかった。
さて本書は平成3(1991)年から5(1993)年にかけて行われた、インタビューの聞
き書きである。インタビュアーは大須賀瑞夫(当時毎日新聞編集委員)。
目次は、第1章会津武士と武装共産党、第2章昭和天皇と玄峰老師、第3章オットー
大公と田岡一雄、第4章世界の石油と小平、第5章ハイエク教授と今西錦司教授
から成る。
一種のオーラルヒストリーであるから、順番に読むのがいいのだが、気に入った
章から読んでも問題ない。どんどん惹きこまれてしまう。物言いがハッキリして
いるだけにおもしろい。
田中清玄(きよはる、せいげん)は、明治39(1906)年函館近郊の生まれ。明治
生まれの大正育ち。函館中学では亀井勝一郎と同級だった。(亀井勝一郎といっ
ても、今の若い方は知らないだろう。田中は弘前高校、亀井は山形高校へ進学す
る。)
田中は60年安保では全学連を支援するなどいろいろなことをやってきたが、一貫
しているのは「行動家」(何かに向けて行動するとでも言うべき。)であるとい
うことではないだろうか。「正義感が強い、血の気が多い」という言い方もでき
よう。彼の一生は、波乱万丈、活劇に勝るとも劣らない。(司馬遼太郎も田中清
玄に興味を持ったらしい。)読み物としては本当におもしろかった。
元々の初版は平成5(1993)年文藝春秋社。あらためて文庫化した筑摩書房に喝采
を送りたい。
ことを言っていた。小泉信三はできるだけ大書を読むべきだと書いていた。
しかし、『戦争と平和』、『カラマーゾフの兄弟』など世界文学全集の作品は読ん
だことがない。現実には依然として、大書とはいえない本の濫読(らんどく)であ
る。
5月23日(金)(給料日である。)昼休みに三省堂で物色するうち、「昭和史を駆
け抜けた男の<夢と真実>初の文庫化」という帯に惹かれて『田中清玄自伝』(ち
くま文庫)を購入した。
自伝といえば『福翁自伝』--これは読み応えがある!自伝文学の傑作である。近
年読んだものでは『ダライ・ラマ自伝』がおもしろかった。
さて本書は平成3(1991)年から5(1993)年にかけて行われた、インタビューの聞
き書きである。インタビュアーは大須賀瑞夫(当時毎日新聞編集委員)。
目次は、第1章会津武士と武装共産党、第2章昭和天皇と玄峰老師、第3章オットー
大公と田岡一雄、第4章世界の石油と小平、第5章ハイエク教授と今西錦司教授
から成る。
一種のオーラルヒストリーであるから、順番に読むのがいいのだが、気に入った
章から読んでも問題ない。どんどん惹きこまれてしまう。物言いがハッキリして
いるだけにおもしろい。
田中清玄(きよはる、せいげん)は、明治39(1906)年函館近郊の生まれ。明治
生まれの大正育ち。函館中学では亀井勝一郎と同級だった。(亀井勝一郎といっ
ても、今の若い方は知らないだろう。田中は弘前高校、亀井は山形高校へ進学す
る。)
田中は60年安保では全学連を支援するなどいろいろなことをやってきたが、一貫
しているのは「行動家」(何かに向けて行動するとでも言うべき。)であるとい
うことではないだろうか。「正義感が強い、血の気が多い」という言い方もでき
よう。彼の一生は、波乱万丈、活劇に勝るとも劣らない。(司馬遼太郎も田中清
玄に興味を持ったらしい。)読み物としては本当におもしろかった。
元々の初版は平成5(1993)年文藝春秋社。あらためて文庫化した筑摩書房に喝采
を送りたい。
地方私大には、元革マルで今、学長て言うのがいるけど、清玄翁は何て言うだろうか。
コメント有難うございます。
60年安保で活躍した全学連(ゼンガクレンという英語もあったかと。)幹部はもう70歳を過ぎていますが、大学教授、政治評論家で名を成した方が何人もおられますね。(既に故人になれれた方もいますが。)