ずっと楽しみにしていたおおぎやなぎちかさまの「アテルイ」。
副題は「坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士」。
ついに読むことができた。
アテルイはサヌ村の長(おさ)カンガの息子。
オオカミに襲われた時、母ユシカが我が身を犠牲にして5歳のアテルイを助けた。
妻を失ったカンガは「アテルイがユシカを殺した!」と息子を憎む。
祖父は「あの家にいれば、おまえはいつか死ぬ、たとえ生きのびたとしても、心が死んでしまうだろう」
と、イサ村へアテルイを逃がす。
イサ村の巫女シンラに助けられ、その息子、イサ村の長ヤソシマを父と慕いつつアテルイは育つ。
十歳になったアテルイは、キジ狩りの折、自分と同じくらいの歳の少年に出会う。
浅黄色の衣類のすそが、風を受け、はためいている。
鶴丸、後の坂上田村麻呂との出会いだった。
アテルイはキジを仕留め、鶴丸は外す。
そしてアテルイは鶴丸が川に落ちそうになるのを救う…
壮大な物語だ。
文字を持たないエミシだが、その心意気は朝廷軍と変わらない。
村の人々の生活を守るため、エミシは戦いを選んだ。
アテルイは度々自分の前に現れる「そいつ」- 悪の心だろうか - の声
—こっちへこい。 —世界をおまえのものしろ
に逆らう。
結果的に朝廷軍に服従することになるが、坂上田村麻呂とアテルイの魂のつながりが、
無益な戦いを終わらせることになったのだなと思わせてくれた。
わずかな史実をもとにしたフィクションとはいえ、
ここまでの物語を紡ぐおおぎやなぎさま、すごい。
すばらしい物語を世に出し続けているおおぎやなぎさま。
みちのく童話賞のあれこれも忙しくなってきた時なのに、頭が下がります。
ますますのご活躍を!
すごいなすごいな、と、ため息しか出ないって(笑)。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)