森川成美さまの新刊、「はなの街オペラ」が上梓されました。
坂本ヒメミさまの絵が、すばらしくマッチしています。
森川さまはオペラへの造詣が深い方。
読んだら間違いなくノックアウトされるだろうなと思って読み出し、
案の定、やられました。
十四歳の神谷はな。
はなには、特技がある。
それは、どんな歌でも、たった一度きいただけで、覚えてしまうということだ。
舞台は大正時代の東京。
宇都宮からはなが奉公に出された先は、「浅草オペラ」の作曲家、井野一郎の家だった。
井野の書生をしている笛木響之介が、駅まではなをむかえにきてくれた。
響之介は浅草オペラを「いいかげんな歌芝居」という。
響之介の父は、昔新橋に自分のオペラ劇場を持っていたドイツ人だった。
音楽学校に通う響之介に、はなは歌の才能を見いだされ、井野の家を飛び出し一緒に舞台に立つことに……。
「歌に救われる」ことが、後半の震災の場面で描かれるが、
読んでいるうちに、聞いたこともないはなの歌声が頭の中にひびいてきた。
そして、もっともっとはなの歌を聴きたいと思えて。
歌まで響かせてしまう森川さまの筆力。すごい。
森川さま、このご本も、はなの歌と同じように、羽ばたいてゆかれますよう!
本を読む魅力のひとつに「未体験の感覚を疑似体験する」というのがあると思う。
このご本では、自分がはなになって歌姫のように歌えたような不思議な感覚になれる。
そして、そのうれしさにほろりとして。
やっぱり本っていいなあ。
今夜は市立病院小児救急当番。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)