夏山シーズン真っただ中にもかかわらず、突然悪化したG病。外G核に「よく効く」と喧伝される軟膏と舌下服用剤など取り揃えて使用し様子を見ているが、使用開始から3日経過しても、顕著な回復がいまだ見受けられない。この二日間アルコールも断じているので、内心「背水の陣」の構えなのだが・・・後は、いつもどおり観音様と聖マリア様に手を合わせるしかないのか。YouTubeの専門家などの意見では、上記施薬で効果がない場合は「もう、あきらめて医療機関へGO!」だとか。恥ずかしいとか言ってられない事態だということ。
とにかくしばらく自宅安静だが、幸い歩くことにさほど支障はないので、片道25分の図書館に徒歩往復してきて、アイルランド出身の詩人であり翻訳家であるピーター・j・マクミランさんの
① 松尾芭蕉を旅するー英語で読む名句の世界ー(講談社)
② 日本の古典を英語で読む(祥伝社)
③ 英語で味わう万葉集(文春新書)
を借りてくる。
朝日新聞に毎週掲載されているマクミランさんの古典詩英訳に興味を抱いていたので、英語復習の一助と旅に出られないうっぷん晴らしにと期待して借りてきた。詩の世界は、日本語であつても英語であつても高度な修飾や比喩などの技法が駆使されているので「英語の学習」には不向きかもしれないが、俳句や短歌のような短詩の世界では、英訳により、日本語で書かれた詩では読み込めなかった普遍的な世界が現れる場合が多いので、完治するまでの「1週間程度」じっくりと味わいたい。
「
「真の旅とは想像力と心の旅なのだ。」
「現実の旅に出ることができなくても、心の旅はいつでも可能だ」
(ピーター・j・マクミラン 講談社刊「松尾芭蕉を旅するー英語で読む名句の世界」はじめにより)
われわれが戦争やパンデミックをはじめ様々な困難に遭遇するせいで旅することが叶わなくても、芭蕉が発句を作る際に行ったように、過去の文学作品を頼りにするなどで想像力による心の旅を行いながら、心を豊かにし、人生の意味をより深く理解していくことが可能である。 と、著者のマクミランさんは述べている。
まさに、療養中のわが身にしっくりと行く励ましの言葉だ。 窓辺から聞こえる朝な夕なのセミたちのはかない合唱を慈しみながらマクミランさんの翻訳世界を精読し、「この1週間」耐え忍ぼう。
あと暦の秋までいくばかり。
In the great silence
permeating rocks -
cicada chorus.
何という静けさ
(僧たちの)瞑想の岩 に吸い込まれゆく
セミたちの大合唱
【英詩はマクミランさん、日本語かぜねこ訳】
閑さや
岩にしみ入
蟬の声
(松尾芭蕉 奥の細道「立石寺」)
7月の山寺(2020)