秋の森の復習
① 葉っぱが緑に見えるのは、光合成で活躍するクロロフィルという色素が活発なあいだ、太陽光のうち緑色は吸収されず反射されるため。
② 秋になって気温8度以下の寒さになるころ、樹々は冬の省エネモード(冬眠体制)となりクロロフィルが分解され、来春の木の芽屋根の方向に栄養が回収されていく。そのため次第に緑色が弱くなる。(反射されなくなる。)
③ 葉の赤くなるモミジの仲間などは、クロロフィルの分解時期にアントシアニンという色素がつくられ始める。(原因はよく分からないらしい)これが赤を反射するため赤く見える。
④ 葉が黄色くなる種の仲間は、アントシアニンは作られず、もともとあったカロテノイドといった色素が残り黄色を反射する。
⑤ ブナの仲間などは黄色よりやや茶色(オイラは日にかざすと金色に冴えるので黄金色とよんでいる)に見える葉は茶渋とおなじタンニンがつくられるからだという。
⑥ 葉から栄養を回収した樹木は、もう葉っぱから栄養をもらうことをあきらめ葉の根元に離層というシャッターをこさえ、やがて栄養と水分を失った葉っ葉たちは、カサカサに乾き離層から離れていく。「さようなら、葉っぱさん、お疲れさま」・・と
こうした紅葉のメカニズムは、悲しいかな1年も経つと忘れていて、復習をしないと「クロロフィル」、「アントシアニン」、「カロテノイド」という横文字が頭に浮かばない。
やっと、最低気温が8度以下になったので、近郊の「青葉の森」を歩く。ひと月前の蔵王では目にすることができなかった彩度をました紅葉・黄葉・黄金葉たちに巡り合えた。
アントシアニン派は、ハウチワカエデ・コハウチワカエデ、オオモミジ、トウカエデ、メグスリノキ
カロテノイド派は、イタヤカエデ、コシアブラ、タカノツメ、ハリギリ、アオハダ
タンニン派は、ブナ、イヌブナ、シデの仲間
などの名を上げることができたが、まだまだ知らない葉っぱが多く、葉っぱを拾ってきては、図鑑とにらめっこしている。
せめて身近な青葉の森だけは、あの八甲田のぬし鹿内翁みたいに、何でも知っているジジイになりたいものだ。
明日もまた出かけよう。
空を見上げると、まるで絵の具のパレット
アントシアニン派 トウカエデ
まだまだクロロフィル優勢なコハウチワカエデとカロテノイド派のアオハダなど
アルカノイド派 メグスリノキ
アルカノイド派 オオモミジ
タンニン派 ブナ、イヌブナ
もっとも鮮やかな アントシアニン派 コハウチワカエデ
百名山MYSONG 12 八幡平
【深田百名山を読んで】
(日本百名山引用)
「私が最初に八幡平を訪れたのもスキーで、それはもうかなり以前のことで、現在のような施設の全く無かった頃である。厳冬の一月、花輪線の小豆沢(今の八幡平駅)から行った。坂比平まで馬橇に乗り、そこからスキーにシールをつけて登りについた。蒸ノ湯まで五時間もかかっただろうか。凄い寒さだった。寝ていると蒲団の襟が息で凍った。」
馬橇降り シールをはいて登りゆく 蒸ノ湯の夜は 息も凍らせ
【深田百名山登頂の思い出より】
「若い時から記憶に残るのは、山というよりは、麓の温泉。後生掛(ごしょがけ)、玉川、松川などの濁り湯をとくに愛していた。
その温泉を目的として、昨年の10月、安比スキー場から無人の山小屋を繋いで御所掛温泉まで縦走し、最終日は焼山を踏んで玉川温泉に下ったが、40年近くたっても変わらない御所掛の泥湯に感激しながら長いこと浸っていた。
若かりしとき敬遠した山が、老いた者には優しい山だと気が付いている。ことしも、昨年以上の紅葉や濁り湯への出会いを求めるため、バス時刻などを調べている。」
きのうきょう ひとりぽっちの山小屋で 落ちた枯れ葉を足音とも聴く