日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

梅雨

2006年06月15日 | インポート
梅雨の語源としては、この時期は湿度が高く黴(カビ)が生えやすいことから「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、これが同じ音の「梅雨」に転じたという説や、この時期は梅の実が熟す頃であることからという説、この時期は“毎”日のように雨が降るから「梅」という字が当てられたという説がある。
以上は、フリー百科事典「ウィキペディア(wikipedia)」による「梅雨」の説明文。

昨日から梅雨らしい空模様になったが、停滞した梅雨前線のために沖縄の方では土砂崩れなどの被害が出ているようだ。

私が住んでいる集落の脇を流れている二級河川千鳥川も、昭和32年の諫早大水害の時に氾濫して、大きな被害をもたらした。

当時3歳だったが、記憶に残っている。

その後も千鳥川は何回か氾濫し、床下浸水の被害をもたらしたが、最近では千鳥川が氾濫する事は無い。

諫早湾干拓事業により築造された「潮受け堤防」が、潮汐運動による遡上水を遮断している。
そのために、千鳥川は、上流部の集水区域内から集まった流下水を流すだけの通水断面を確保しておれば氾濫する事は無い。

潮受け堤防が築造されてから現在までに、私が住んでいる千鳥川周辺の集落においての洪水被害は無かったが、それより標高が低い水田地帯や諫早市の一部においては、大雨による洪水被害があった。

潮受け堤防が、潮汐運動による遡上水を遮断している事による防災効果は確実にあるが、大雨によって流下して集まった水を排出する能力は、特殊な状況下においては無い。

潮受け堤防の外側の海水面の標高が、潮受け堤防内部に溜まった水面標高よりも30cm以上低い時でなければ、潮受け堤防の水門を開いて内部に溜まった水を排水する事はできない構造だという。

このような事から、潮汐の状況次第では、数日間も内部に溜まった水を排水できない状況もあるそうだ。

もしもそのような時に大雨が続き、潮受け堤防の内部に流下水が溜まり続けたらどのような事態になるのかは誰が考えても容易に推測できる。

要するに、上流部からの流下水に対しては、潮受け堤防がダムのような役割を果たし、水が溜まり続けて水位が上昇する事になる。
その結果として、周辺の低平地域は水に浸かってしまう。

このような見地から、潮受け堤防の防災効果は磐石とはいえない。

干拓によって造成されてきた、低平地域の治水においては、堤防で囲まれた提内地からの強制排水を取り入れる必要がある。

諫早湾干拓に賛成してきた地元も、そろそろ地元にとって実質的に有効な防災対策を、国に対して主張すべき時期に入ったのではないかと思う。

子どもの頃の梅雨の季節は、家のすぐ裏を流れている千鳥川の水位と潮汐の状況が心配でたまらなかった。
今は、潮受け堤防により潮汐運動による遡上水が遮断されているので、大雨の時の心配もほとんどなくなったが、洪水被害の危険性が払拭できた訳ではない。

梅雨の季節になると、毎年同じ事を思ってしまう。
(このブログの平成17年5月19日、5月24日、6月13日にも、関連している事を書いた。)


豊田かずき