日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

歳を追い越す

2006年06月19日 | インポート
伯母が面白い事を言っていた。

「今年はオトさん(旦那さんの事)の歳を、もう追い越してしもたばい。」

伯母によれば、亡くなった人は、その亡くなった歳からは歳を取らなくなるので、先に他界した夫の歳を既に追い越してしまったのだと言う。

その伯母は、私の母の姉であり、妻の母でもあるが、彼女が小学生の頃は、小学校入学前の自分の弟や妹の子守を、教室の中でしながら授業を受けていたという。

学校側の受け入れ態勢もおおらかで、そのような事を黙認してくれていたそうだ。
昭和の初期頃の話。

その弟や妹が教室でお漏らしをすると、先生から「始末してきなさい」と言われて、お漏らしした物の処理をしていたのだという。

その伯母と私の母が、子守をされていた方の一人であり、伯母より先に他界した「弟」の十三回忌に招待をされていた。

しかし、どうしても当日にお参りができなくなったので、昨日、法事の日よりは少し早かったが、伯母と母と妻そして私の4人でお参りに行ってきた。

仏壇の上の方には、その弟(私の伯父)が亡くなった歳の頃の遺影が飾られており、それを見て伯母は「タミしゃんは、いっちょん歳をとっとらん」と言って涙を流していた。

子どもの頃の記憶に、母に連れられて、島原鉄道で愛野駅から多比良駅まで行き、それから坂道をうんざりするほど歩いて、やっと着くような場所にあったその家まで、今では車で二十数分走れば行ける。

伯母は、学校で子守をしながら覚えた文字で、毎日欠かさずに日記をつけているという。

昨日の伯母の日記には、きっと、「タミしゃんの所にお参りに行った」事も記録されていることだろう。


豊田かずき