菊(キク科)花言葉は、わたしは愛する。春の桜と並び称される日本の代表的な花。古代に中国から渡来したといわれる。菊には延命長寿の慈液が含まれるという伝説があり、平安時代に宮廷で菊酒を賜る行事が行われた。園芸用の多彩な品種が栽培されるようになったのは、江戸時代中期以降。豪華な大輪や懸崖菊などが菊花展で競われる。「菊の香やならには古き仏達 芭 蕉」「白菊の目に立てて見る塵もなし 芭 焦」「黄菊白菊其の外の名はなくもがな 嵐 雪」「有る程の菊投げ入れよ棺の中 夏目漱石」「菊咲けり陶淵明の菊咲けり 山口青邨」「どの部屋もみな菊活けて海が見え 吉屋信子」「菊の鉢提げて菊の香のぼりくる 澤田紀枝子」「こころもち懸崖菊の鉢廻す 橋本美代子」「山坂の影に入りけり菊車 吉田成子」晩秋、ひっそり咲き残っている菊。重陽の日は「菊の節句」ともいい、「十日の菊」ともいう。時期はずれで葯に立たないことのたとえである。「残菊や老いて夢は珠のごと 能村登四郎」「化粧して十日の菊の心地かな 擢 末知子」「昇降機菊もたらして友と乗る 石田波郷」「ひと鉢の菊ありこの日蝶たえず 木津柳芽」「菊の香の闇ふかければ眠るなり 稲垣きくの」「下駄に乗る踵小さし菊日和 鈴木真砂女」「菊冷ゆる夜更は珠のわが時間 福永みち子」。『心あてに折らばや折らむはつ霜のおきまどはせる白菊の花』(古今集)。(菊一輪挿してコツプの縁にのり ケイスケ)