リュウノウキク(キク科)花言葉は、無常の美。万葉集には菊を詠んだ歌はないが、古今集には12首の歌があり、「心あてに折らばや折らむはつ霜のおきまどはせる白菊の花」などが有名である。つまり、菊は平安時代初期に中国から渡来したと推定され、当時は薬用だった。菊に宿る露を菊の露といってこれを飲むと長寿を保つとされたり、菊の上に綿を置いて露を含ませ香を移して身を拭くと病気をしない”きせ綿”の菊といわれたり、菊を浮かべ菊酒を酌み交わすと長寿を保つといわれたり、干した菊花を枕につめたものを菊枕といって頭痛を治したりするこれらの風習は中国のいわれにもとずくもので、菊は観賞するものでなく、薬と考えていたことが明らかである。江戸時代になって、それがやがて観賞用となり、百菊といわれるように多くの品種が生まれ、菊花展が開かれ、菊作りが盛んとなる。菊日和というのは秋の日我菊に輝いている日和のことで「菊うらら」などという使い方もある。曇った日は「菊曇り」雨の日は「菊の雨」となるし、夜は「夜の菊」とも詠む。菊は匂いがよいので「菊の香」や「菊かをる」などとも詠まれる。「白菊の日にたてて見る塵もなし 松尾芭蕉」「黄菊白菊そのほかの名はなくもがな 服部風雪」「歩をうつす千輪咲きの菊の前 軽部烏頭子」「ひと鉢の菊ありこの日蝶たえず 木津柳芽」「菊の香の闇ふかければ眠るなり 稲垣きくの」「下駄に乗る踵小さし菊日和 鈴木真砂女」「菊冷ゆる夜更けは珠のわが時間 福永みち子」。(枝のべて黄菊燃ゆる日和かな ケイスケ)