昨日こんなニュースがあった。
春先になると杉や檜の花粉に含まれた放射性物質が遠くまでばらまかれ程度の差はあれ内部被爆から免れることが難しくなる。(またもお上や御用学者は「健康への影響は考えられない」などと「発表」するに違いない。)
花粉症に悩まされるのはそれでも一部の人だが来春はすべての人が花粉放射能の影響から逃げられない。こんなことは僕の考えつかなかったことだ。やがて河川や地下水の放射能汚染が表面化することだろう。途方もない量の「死の灰」が降り注いだのである。時が経てば経つほどその影響が見えるようになってくるのだろう。
二つの情報を紹介します。
(A)スギ花粉のセシウム濃度 福島・飯舘村で調査開始
「河北新報」2011年12月02日金曜日
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福島第1原発事故で降り注いだ放射性セシウムがスギの花粉に含まれていないかどうかを分析するため、林野庁が1日、福島県飯舘村飯樋の国有林で調査を開始した。
飛散前の今の時期のスギ花粉は、枝先の雄花と呼ばれる米粒大のつぼみの中にある。村の森林組合や専門機関の職員らが作業に当たり、林と緑地の境目に植えられたスギからのこぎりで枝を切り落とした後、はさみで丁寧に雄花だけを切り取って容器に入れた。
調査は福島県内132カ所で9日まで行われ、1地点当たり100ミリリットルの雄花を採取。九州の専門機関で放射線量の測定など分析を進める。
スギ花粉は1個当たりの重さが12ナノグラム(8300万分の1グラム)と極めて軽く、気象条件によっては風に乗って数百キロ離れた場所へも飛ぶ。放射性物質が含まれる土壌環境で育ったスギの花粉に、どの程度のセシウムが蓄積されるのか、科学的データはないという。
林野庁によると、福島県川俣町のスギの葉からは1キログラム当たり17万7600ベクレルのセシウムが検出されている。花粉に同じ濃度のセシウムが含まれ、大量飛散期の空気を大人が4カ月間吸い続けたと仮定すると、積算線量は0.38マイクロシーベルトになるという。
林野庁の松本寛喜森林保全推進室長は「試算では健康への影響はかなり小さいと考えられるが、専門家の助言も得て分析し、結果を広く知らせていきたい」と話した。
(B) スギ花粉の放射能・・・スギを伐採することが唯一の解決
武田邦彦
今から20年ほど前、日本は実に非科学的で、まるでヨーロッパ中世の魔女狩りのようなことが行われていました。その一つに「森林を守るために割り箸を使うな」という「マイ箸運動」でした。ちょうど、今の温暖化騒動のようなもので、「みんなで渡れば怖くない」ということでいい加減なことばかり言っていたのです。
その結果の一つが「スギ花粉のアレルギー」や今回の「スギ花粉の放射能」に繋がっています。少し傲慢な言い方ですが、当時の「非科学性」というのはまるで幼稚園児のようなものだったので、「大人が愚かになればそれが子供に影響する」といっても良いでしょう。
・・・・・・・・・日本は森林が3分の2もある世界でも有数の森林王国で、その豊かな森林を人間と動植物で利用しながら日本列島を作ってきました。かつて人間は動物とともに山野を利用しましたが、近代になって人間は計画的な植林をしてそれを使い、動物はドングリのなる自然林で暮らすという分担もできてきました。
もともと、森林の利用は、人工林半分、天然林半分が望ましく、人里に近いところに人工林を作ると、そこはドングリなどの木の実がないので、動物が人里に近づかないという利点もありました。
自然界における植物と動物の関係は、「植物がCO2を分解し、それを動物が利用する」ということになっていて、相互に生命を維持する仕組みになっています。その点では「自然のままの森林」というのは、人間のような動物が積極的に植物との関係を持つことでもあります。
つまり、スギやヒノキを植林し、枝打ち、間引きをして勢いのよい樹木を作り、それを伐採して利用するというのは「もっとも自然との共生を実現した状態」なのです。それは乱伐などとは全く違うのです。むしろ現在の日本のように、人が植林をしただけで、枝打ち、間引きをせず、伐採時期になっても利用しないのは、乱伐よりもっと自然を破壊しているのです。
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自然運動家は独善的で怒りっぽいので、批判が難しいのですが、自然運動家が日本の森林を破壊してきたのです。そして植林したスギの枝打ちや間伐ででる樹木を利用して割り箸を作ることを禁じ、細くなって材木にもならないので放置された高樹齢のスギからでる花粉で多くの人が花粉症になり、さらに今回、スギ花粉の放射能で被曝しようとしています。
私は善良な人でなりたつ誠実な日本を望みます。マイ箸運動を進めていた人は素直に森林の勉強が不足していたことを認め、花粉症で苦しんだ人に謝罪し、日本の森林と自然を守るためにこれまでの損害を回復するために行動をおこして欲しいと思います。老齢なスギの伐採を急げば、来春の花粉による子供たちの被曝を少しでも防ぐことがでいると思います。 (平成23年12月1日(木))
出典http://takedanet.com/2011/12/post_7cd7.html