12月20日(火)☼
寒い一日。日差しの暖かいベッドで150円で買ってきた「朝日新聞」を読む。「金正日の死」をどう報じているかを知りたかった。
「社説」を読んでみた。予想はしていたがこの新聞の論説委員の視点は金王朝や中国共産党の幹部たちのそれと全く同じである。
強制収容所半島に閉じ込められ飢餓に苦しむ民衆に筆が及ぶのはたった一箇所だがその内容がひどい。これが「人権」を標榜してきた「朝日」の本音なのだ。彼らの似非ヒューマニストぶりがよく現れている。
金正日総書記死去―混乱回避へ各国は協調を(「朝日」社説・20日)
(略)
独裁者の喪失で北朝鮮が動揺し、周辺が不安定になってもいけない。
後継体制への移行期に、軍や党のエリート内で金総書記死去を機に権力争いが激しくならないか。困窮と規制に不満を募らせつつも、厳しい相互監視のために組織化できないとされてきた住民たちが抵抗し、難民として大挙して流出するような事態に陥らないか。
こうした混乱は何としても避けねばならない。
出典●http://www.asahi.com/paper/editorial.html
生き延びるために国境を超えるのは人々に与えられた最後の権利である。江戸時代にだって人々は「逃散」を敢行した。支配層の分裂・抗争が生じるとしたらその時が絶好のチャンスであろう。
大量の難民が流出する状況を想定し、それを迎え入れる体制を整えるのが民主主義の国に生きるヒューマニストのやらなければならないことである。「朝日新聞」は明らかに北朝鮮の民衆と全世界のヒューマニストの敵である。
民主主義を標榜する国家(日本・韓国・米国など)の指導者は金正日の死を機会に独裁体制にヒビが入るような工作を果敢に進め、大量の難民が流出できるような状況を作り出さなければならない。そして彼らを何としても救出するのだ。その手立て(作戦)を綿密に立てなければならない。拉致被害者・日本人妻など多くの国民を幽閉されている日本政府の責務は特に重い。
中国共産党独裁政権にとって北朝鮮独裁政権は困った存在ではあっても見捨てるわけにはいかない存在である。彼らは運命共同体のようなものでこれからも北朝鮮民衆の封じ込めで危機を乗り越えようとするだろう。
韓国では従北左派の主導で李政権は末期症状を呈している。日本でも「朝日新聞」のような似非ヒューマニストたちがのさばって北朝鮮の民衆を見殺しにする論調が強まって行くかもしれない。
北朝鮮に幽閉されている日本人の運命は北朝鮮の民衆のそれと分かちがたい。
民主党政権がいかに非力でも中国政府と渡り合って「難民キャンプ」の創設など人々を救出する道筋を何としても切り拓いていかなければならない。アメリカをはじめとする世界の「人権」圧力も重要だが国民の自覚が何よりも求められる。
<関連新聞記事>
中朝国境ピリピリ 北の警備 数百人横一列
2011年12月20日 13時52分
北朝鮮側で警戒する北朝鮮の保安要員とみられる人影=20日、中国吉林省図們の中朝国境で(朝田憲祐撮影) |
北朝鮮の金正日総書記の死去が伝えられてから一夜明けた二十日、国境を接する中国東北部の吉林省図們(ともん)から対岸の北朝鮮側を見ると、数百人規模とみられる北朝鮮の保安要員らしき人影が、横一列になるように警戒していた。北朝鮮からの難民流出など不測の事態に備えた措置とみられる。
図們は、図們江(北朝鮮名・豆満江)を隔てて北朝鮮と接しており、地元住民や貿易商人らが図們大橋を往来する。観光客も二十元(約二百四十円)を払えば、橋の途中まで行くことができる。中国の私服警備員は同行するが、普段はのんびりした雰囲気という。
ただ、冬場は最低気温が氷点下二〇度を下回る日も少なくなく、観光客はまばら。この日に国境の橋を訪れたのは日本のメディア関係者らが大半で、北朝鮮側にカメラを向けると、警備員が手のひらを突き出して「撮るな!」と叫びながら制した。
図們江は、川幅が数メートルしかないところもある。しかもこの時期は川面が凍っており、歩いて渡れるだけに、金総書記の死去を受け、中国軍が二千人規模の警備部隊を増強したとの情報もある。(中国吉林省図們で、朝田憲祐)
(東京新聞)