初めて小説を読んだのは、小学校に上がったくらいの頃でした。
それまでも本を読むのが好きで、なかでも良く覚えているのが「科学読本」的なマンガでした。何度も何度も繰り返して良く読んでいたのを覚えています。
「月はどうして空に浮かんでいるのだろう」
「何でも溶かしてしまう液体ってなんだろう」
とかね。そういうのをひとつ10~15ページくらいかけて、マンガ形式で考えていくの。
重力とか、引力とか、自転とか、太陽系とか、銀河とか。ほんと楽しい。知れば知るほど難しくなってくるけど、楽しい。
何でも溶かす液体のほうは、さて、塩酸かな、硫酸かなー。あ、じゃあせっかくなので、みなさんも、ちょっと考えてみてくださいな。
で、小説に戻りますが、ある日母親から「これなら読めるんじゃない?面白いから読んでみたら?」って教えてもらった星新一さんの小説(ショートショート。一つの話がほんの数ページで終わるのです)にドンピシャでハマって、夢中になって次々に読み漁りました。何十冊読んだでしょうか。たぶん、当時出版されていたのは、ほとんど全部読んだと思います。
星新一さんといえば、N博士は、とか、F氏は、なんて感じのあれです。ショートショートと言えば、な方なので、どこかで一度位は読んだ事がおありの方も沢山いらっしゃると思います。ちょっとSFチックな短編ものが多いんですが、とにかく読みやすい。面白い。洒落が利いてて、ユーモアもブラックユーモアもあって、時に風刺がズバリと利いている。「おーいでてこーい」なんて、最高ですよね。ちょっと怖いけど(笑)。あ、今これYouTubeで見つけました。以前、N○Kで彼の短編を映像化したものを放送していたんですが、その中のひとつですね(こちら)。
星新一さんにはハズレがないので、全部お勧めです。最初の一冊も、特に版を重ねたものなら、何でも最高だと思います。一話完結でとにかく短いので、本をあまり読まれない方にもお勧めです。
そのあと、幾人かの作家さんの作品に出会いましたが、一冊読んで「おお」と、はまると、ほとんどの作品を読みたくなりまして、暫くはその人漬けになるんですよ。
昔ですと、やはり小~中学生の頃、阿刀田高さんにはまりまして(星新一さんとも縁が深い方ですが)、こちらも当時出ていたかなりの作品を読んだと思います。しかも、大半は二回ずつくらい。寝る前にちょうどいいんですよ。
この方は、ちょっと怖いブラックユーモアもの、推理もの、そしてちょっとセクシーな、というかひんやりとした中にも「エロス」な要素もあるんですが、非常に面白いです。やはり短編がお得意の方ですが、その短い中での話の作り方や、ラストのどんでん返しの鮮やかさには当時、本当に心酔したものです。
途中から大人の恋愛をベーシックにしたもの(?)に移行されましたので(僕の印象としては、ですが。といっても、ただの恋愛小説のはずはありません。やっぱりうっすらと、怖い。うん、この歳だからこそ、もう一度読んでみようかな・・・)、初めて読んでみるなら初期の作品がお勧めです。「ナポレオン狂」は有名ですが、あと、」「冷蔵庫より愛をこめて」「一ダ-スなら怖くなる」「過去を運ぶ足」「食べられた男 」「Aサイズ殺人事件」(←探偵が出てくる推理短編ものですが、その話の作り方には、本当に舌を巻きました。お見事、としか。)「コ-ヒ-・ブレイク11夜」「マッチ箱の人生」などなど、面白かったなぁ。
それから、・・・って、これ書いてると大変なことになりますので、時間もアレなので(笑)、また改めて書きます。お一人を紹介するのに、本当はもっとちゃんと長く書きたいですしー。
で、小説では全然ないんですが、本繋がり、ということで。
今さら?といわれそうですが(笑)、えぇ、今さらながら縁があって、「国家の品格」を読みました。2006年のベストセラーで、流行語大賞もとったタイトルの本ですから、お読みになられた方も多いかと思います。人からも勧められてもいたのですが、かまけて読んでいませんでした。
僕は見開きに日本語と英語で書いてある対訳版を読みましたが、・・・英語の方は、・・・はい、改めて勉強させていただきます。
良い本でした。
言っていることは、そのほとんどが「そうそう」と頷けることばかりでした。日本がこれから日本として、日本人が、これから日本人としての生き方を。今こそ、戦後教育の呪縛を解いて、日本人古来、本来の誇りと精神を取り戻そう、というメッセージが随所に。
余談ですが・・・あまり意訳をしない対訳が素晴らしいと評判の同書ですが、やはり俳句とか短歌というのは、こればっかりは、意訳をしないと、・・・うまいこと英語にならないものなんですねぇ(笑)。やはり日本語ならでは、なんですね。
そしてね、同書の中では、日本人が日本人であるために、その品格を保つために、繰り返し「読書」が強く勧められていました。
僕も、もっと本が読みたいと思っています。
海外経験のある友人に聞いた話なんですが、日本では例えば履歴書に空白があって、「この期間は何を?」と訊かれた時に、「えー、三ヶ月、毎日本を読んでました」というと「?」という顔をされるんだそうです。人生の大切なゆとり、とか、勉強期間、とは取られないんだそうです。ちょっとワーカホリックなのかなぁ、って思いましたが、どう思われます?
「国家の~」の中でも、「まったくお金にならない『読書』こそ価値のあることで」云々という記述がありましたがー。もちろん、どちらも大切なことですよね。
とりとめの無い話になりました。
あ、そう、最後に。
何でも溶かす液体は、塩酸でも、硫酸でもなくて、
水、だそうなんです。
長い長い時間をかけて、何でも溶かしてしまうのだそうです。
「雨だれ 石をも穿(うが)つ」なんて諺もありますね。
「絶えず滴り落ちる水滴は硬い石をもすり減らすということで、コツコツと着実にやれば、たとえ小さな力でも、最後には大きな目標を達成できる、といった意味です。
僕はビールでも、溶けますが(笑)。
ではー。