ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




僕と、卒業を控えた二年生の学生さんたちにとっては、今日が最後の授業の日でした。

とは言え、最後だからこその、大忙し。当然、センチになどなっている暇はなく(笑)、作業も追い込みですから、僕もクルクルと教室内を行ったり来たり。

数分の休み時間に、廊下で立ったまま慌しくコロッケパンをお茶でお腹に流し込みつつ。

 

普通に授業も終わって、いつものように、おつかれさまー

 

すると、一人の男子学生が、

「先生、これ、受け取ってください」

と、紙袋を僕に手渡すんです。

そして、「一年間、本当にお世話になりました。これ、僕のほんの気持ちです。受け取ってください。」って、デパートの包み紙に包まれた、ドライケーキでした。

「なんか、具にも付かない質問ばっかりして、申し訳ありませんでした。でも、いつもいつもとっても勉強になりました。本当にありがとうございました。」

って言うんです。

 

・・・バ○言え。

具にも付かない質問になんて、答えた覚えはないよ。

いつだって、君は真剣だったじゃないか。

 

こちらこそ、ありがとう

 

彼は、つい最近、就職が決まりました。レコーディングスタジオで、働くことになったそうです。

「スタジオって、どこさ?」と訊くと、・・・そこは僕も何度か行った事のある都内のスタジオでした。「そこ、知ってるよ」と言うと、彼は嬉しそうにして「うわー、ほんとですか!先生、是非来てください!僕、いますから」って言うんです。

スタジオで働きながらも、本来の夢であるクリエイターを目指します、とのこと。彼は、今までにも自費でCDを発売したりして、とっても頑張っていた子です。そしてこれから彼には、実際の現場で、実際のプロの仕事に接する、とても刺激的な毎日が待っている事でしょう。

本当に楽しみです。彼の将来も、彼にまた会える日も。

いや、本当に、ありがとうね

・・・ドライケーキ、超おいしそうだよ(←そこかい(笑))。

 

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教室から学生が居なくなり、さてあとは鍵を閉めて帰ろう、とした時。

携帯が鳴りました。以前、用事があって番号を教えていた女子の学生さんからでした。

 

「ん、どうした?」と電話に出ると、

 

「あ、先生!まだ教室にいる?」

少々、慌てた口ぶりでした。

「いるけど、もう閉めて帰るとこだけど。忘れ物でもしたか?」

すると、電話の向こうで「まだ居るって!」という声が聞こえて、

「あ!じゃ、待ってて!今すぐ行くから!ほんと、マジで待っててよ!」

 

彼女は、・・・勿論敬語も使えるんだろうけど、一年前に教室で最初に会った時から、ずっとタメ口でした(笑)。そして、お決まりの口癖は、「ムリムリムリー!」。

でも、口はちょっとアレだけど(自分のことを「オレ」と言う(笑))、でも実はとっても周りを良く見てる、賢くて優しい子だということがだんだんと分かってきました。どうやら、女子の仲間内でも頼りになるアネゴって感じの存在で、さらには男子の学生も一目置いているのもわかってきました。

でも、・・・よくサボる(笑)。気が付くと、作業をしてないで、YouTubeとか見てる。「こらこら、ちゃんとやろうぜ」って言っても、「あー、先生、これ聴く?超カッコいんだ」って、言って「作業は?進んだの?」って言うと「ムリムリムリー!」って。最近じゃ僕も「○○○!おまえはー!ちゃんとやれよー!」って、すっかり下の名前で呼び捨てでした。

 

それにしても遅いから(笑)、もう教室は閉めて廊下に出て待っていると(もう一人のせんせーと、二人でね)

彼女は廊下の向こうから、もう一人の友達(←彼女も素晴らしい子でした。とっても明るくてね。)と一緒に手を振りながらやってきて、こう言いました。

「先生、今日で最後だよね。写真、撮ろうよ。いいでしょ?」

 

なんだ、そんなことか。

 

・・・ってか、それか

 

ちょっと照れくさかったけど、「いいよ」と、廊下で、記念写真。

あ、勿論、もう一人のせんせーとの3ショットね(笑)。

 

でもほんとね、面白い子でした

○○○は、「ムリムリムリー!オレにはムリー」って言いながら、でも教室では、必ずいつも一番前の席に座って、真剣に、

 

・・・いっつもサボってた(笑)。

 

でもね、言うと何でも出来る子でした。実は、いろんな事、理解してて、ちゃんとできるの。聞いてない風でも、ちゃんと聞いてて、わかってる。わかってるし、できる。ただ、ほんと、自分の興味が沸かないと、やらない、だけ(笑)。

そしてね、今日になって、また一つわかったことがあるんです。

今日は自作曲の提出の、締め切り日でした。

でも彼女は、曲は持ってきたのに、「お願いだから聴かないで!」って言うんです。僕は勿論「ア○か(笑)。仕事だっつーの」と言って、その場で曲をスタートさせました。

 

ヘッドフォンから流れてくる、ピアノの音色。

 

びっくりしました。

 

いつもハードな洋楽ロック曲ばっかり聴いていた○○○は、実は・・・実はとっても美しい、きれいなメロディーを書く子でした

一年付き合ってきて、ようやく初めて、そして最後に聴く事のできた、19歳の彼女の、素敵なバラードでした。

 

 

廊下の突き当たりで、僕たちは彼女たちと「じゃあな」と言って、左右に分かれました。

一応最後は、せんせーらしく「○○○も△△さんも、元気で、頑張れよー」と、付け加えてはおきましたが、どうも随分、いつも明るいこの子たちから、僕のほうが元気を貰っていたような気がします

 

明るい彼女たちの未来が、どうか明るくキラキラと輝いたものでありますように。

どうか、あの明るい笑顔が、曇ることのありませんように

 

ではー。



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