「縁は異なもの」。
本当にそうだなあ、と思うことが、最近特に多くなったように思います。
昨日のお話しの続きなのですが、その留学生の彼の大変だった話を聞き、
僕が、「満員電車が苦手だったことも、ミュージシャンになりたい、と思ったきっかけの一つだったんだよ」(後は、「演奏で地方に行って、その土地土地の美味しいものが食べられること」も大きかったですねー(笑))、という話をしましたら、
「…日本でミュージシャンになる、これ、できることね。でも、香港では、『ミュージシャンになる』、(と)なかなか言えない。まわり、『えー』と、いいます。」
あちらでは、まだ職業としてのミュージシャンというものの認知度(普及度)が一般的ではないのだそうです。
本当に、本当にわずか、……一握りどころか、指一本に乗るくらいの少ない人が、どうにかやっとなれるもの、というイメージなんだそうです。
裏を返せば、「本当に音楽の才能に恵まれた人だけの仕事」という感じなのですね。(勿論、かつての日本も、そうでした。
じゃあ今はどうなのか……という話は置いておきまして)
「そうかー。でも、こんな人になりたい!とか、こんな人と一緒に演奏できるようになりたい!っていう思いが強くあれば、僕は、どこでも大丈夫だと思うよ。」
と言い、
「香港では、どんな人が有名なのかな?〇君は、誰が好きなの?」
と訊きましたら、
「僕は、イーソン・チャンが好きです。イーソン・チャンは、本当に凄いアーティストです。」
「…あ、そうなんだー。へー、イーソン・チャンね……イーソン、いーそん………………ん、まてよ」
僕は、スタジオのPCを立ち上げて、過去のブログ記事を検索しました。
僕は、2010年に、安全地帯さんで、香港に行ったことがあります。
……その時、「玉置さん、安全地帯さんの大ファン」という、あちらのとても有名な歌手の方と写真を撮ったんですよね。
……彼の名前が、もしかして……
と思って検索して、出てきたのが、こちらの2010年9月27日の記事。
「いーそん。」
記事を見せたましたら、
「わお!イーソンです!イーソン!うわー、これせんせー!」
と、記事と僕を見比べて、大興奮。
それから、玉置さんがキャンペーンであちらに行かれて、イーソンや他の国民的有名アーティストさんたちと、
「ワインレッドの心」や「I LOVE YOU からはじめよう」を歌っている動画を一緒に観たのです。
「わお!すごい!この曲好きね!」と、広東語で、楽しそうに一緒になって歌う彼。
日本語でも、歌っていました。
「安全地帯の曲、僕、全部、日本語、広東語で歌えます。香港では沢山の人、みんな歌えます」
とのこと。
本当に目をキラキラさせて、楽しそうに玉置さんやイーソンの歌に耳を傾け、一緒に歌っていました。
そして、「ふうー、ひさしぶりに広東語聞いた。」
というので、
「え。だって、iPhoneも持ってるし、パソコンもあるでしょう?YouTubeとかで、見ないの?」
と訊きますと、
「僕、留学生、日本語、勉強しなきゃですから、日本語の番組しか見ないようにしてます」
とのこと。そして、
「広東語、聞くと、懐かしくなってしまうから……」
と。
来年、彼が行っている音楽学校が春休みになったら、留学してから初めて、香港に帰るんだそうです。
「帰るまで、あと、94日ね!」
と、細かい日にちまで言う彼の目が、少し寂しそうでもありました。
「僕、ここにくる、川村さんに会う、ピアノ教えてもらう、わーお!帰り、うきうきね!」
「でも、学校は、難しい、僕、やりたいこと、教えてくれない。最近、僕、日本で、ちょっと僕、ダウン。」
若いんですから、壁はありますよ。
どんな道に進むにしても、一生懸命やろうとすればするほど、悩みも増えるものです。
でも、せっかくですから、頑張って欲しいです。
楽しみながら、頑張って欲しいです。
イーソンのあと、彼が香港で一番好きなバンドです、というアーティスト「Beyond」の曲を一緒に聞き、
僕が「こんな曲だったね」と、ピアノを弾いてあげると、
「わーお、海みたいねー!すごい、すごい!」
と大喜びしてくれたのです。
「僕、こんなふうに弾けるようになりますか」
「なるよ。だって、……僕が弾けるんだから、君にできないはずがない(笑)!」
と言いましたら、
彼は、ちょっと嬉しそうに頷いてくれました。
今日は、T京音大での6回目の講義でした。
ブルースの講義だったのですが、最後は、皆で、ブルース・セッション大会。
僕が「あ、先生も!」と、見学に来て下さっていた先生もお呼びしてしまって(笑)、学生さんも「わー」と大盛り上がり。
とっても楽しかったです。
講義でお喋りもいいのですが、やっぱりこうやって、一緒に演奏するのが、一番楽しいですねえ。
写真の餃子は、その後、主任教授の先生と夕ご飯をご一緒させて頂いた時のものです。
学生さんと一緒に楽しく演奏できて、大好きな餃子を食べれて、今日も幸せな一日でした。
ではー。