怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

榊原英資「公務員が日本を救う」

2011-12-12 23:04:46 | 
政治主導といいつつ、迷走を続けている今の政権を見ていると出るべきして出た本というのだろうか。

日本は公務員天国で、このまま放置すれば国の財産を食い尽くされギリシャへの道をまっしぐら。公務員の数を大幅に削減し、給料も下げて、人件費を2割カット。政策決定には口を出させない、そういって公務員を悪にして攻撃していれば政治家もマスコミも人気が出る。そんな現状です。
しかし、この本に紹介されているように公務員の数を国、地方、公社公団政府系企業を合わせてOECD諸国で国際比較してみると人口千人あたりではイギリス、フランスの半分、ドイツ、アメリカの6割くらい。公的セクターの財政規模も小さく、日本は少数精鋭の公務員で運営されている小さな政府だとわかります。
少数精鋭でなぜできるかというと業界団体とか町内会とかが政策実施の末端で機能しているからともいえるのでしょう。それを上手く機能させるためには専門知識を持った公務員の天下りは当然必要。文句あるか!あえて言えば銀行でも商社でも大企業から関連会社へ天下り(民間は言わないか)は日常的にされている。そこには人事管理上からも必然性、合理性があるからです。なぜ公務員だけが指弾されなくてはいけないのか。
そもそも国を動かすには一番のエリート、ベスト&ブライティストを集めないと出来ない。センセーショナルな公務員叩きを繰り返していれば、誰も志望しなくなり質が劣化するだけです。
政治家もメディアも人気取りに走らずにこの国をどうすればいいか真摯に考えないとこの日本はどうなってしまうのだろう。政治主導でも政策を実際に具現化するには実務をになう公務員がしっかりしていないといけないのですが、叩くだけでは誰も動こうとしないのでは。いくら政治主導で指示を出そうと現場の公務員がその意図をきちんと理解して国民に説明できなければ指示は実行されない。むしろ改革が必要なのは国際比較から見ても日本の政治家ではないのでは。
さらに言えば民間企業はそんなに効率がよく、仕事の質も高いのだろうか。民間だからと許されいい加減で済ませているところだってあるだろうし、不祥事も多い。著者の実感では公務員の世界のほうがよほど風通しがよく、有能だと言う(キャリア公務員ならそうだろうね)。
良くぞ書いてくれたと言いたいのだが、いささか著者が大蔵省のキャリア公務員でエリート臭が強すぎるか。どうしても現状を弁護する論調になるので、大衆受けしない。
今回の大阪市長選の結果でも判るように、大衆は現状に「ノー」と言っている。どう具体化されるかはともかく、現状維持はダメ。今ある不幸せに留まるよりもまだ見ぬ幸せに飛び立とうとしている。
これを書く人は大蔵省エリートではなく、数字で冷静に国際比較を重ねる外国人教授ぐらいだといいのではと思っています。誰か書いてくれませんか。
コメント
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