以前このブログでも紹介した「新・観光立国論」「新・所得倍増論」の著者デービッド・アトキンソンの新著(と言っても2017年6月ですが)です。
なかなか切れ味鋭い分析で、今回も期待していたのですが、どうも前2作の焼き直しで新味はあまりありません。
個人的には題名からして生産性向上へ向けた具体的提言がたくさん盛り込まれているかと思っていたのですが、そこに触れられているのは第6章から。前半は前の著作でも触れてあったことの蒸し返しみたいなものです。まあ、それはそれで結構面白いんですけどね。
言わんとすることの要点だけを述べれば、日本の高度成長は人口ボーナスと戦災復興に主たる理由があって、勤勉とか手先の器用さとかは確かにその通りなんだけど国際比較してみれば大きなポイントというほどでもない。失われた20年は人口ボーナスが人口オーナスになったのを気づかず旧来の慣行を強みと思って勘違いしたまま続けてきたことによる。結果として今では一人当たりの生産性では先進国の中では下位になってしまっている。ここまでは「新・所得倍増論」でも同じこと言っているんですけど。
ではどうすればいいかというと一つは世界の平均並みに観光収入を伸ばすこと。世界のGDPに対する観光収入は1.61%、日本は0.41%。伸びしろは大きい訳で、今2020に訪日外国人観光客が4000万人目標と言っていますが、2030年の世界の観光客数の推計からは2030年で80200万人の潜在能力があるとか。ここの伸びでGDP50兆円は稼げるとか。
もう一つはサービス業の生産性向上です。工夫して付加価値を高めて単価を上げ、生産性を向上させる。過剰ともいえるサービスを提供して安い人件費でパートを使い凌いでいるのではなく、ITを導入して生産性を上げていかなくてはいけない。日本と他の先進国との間でサービス業の生産性に開きが生じたのは1995年以降のことで、それにはITの活用が関係しているのです。それは過剰なおもてなしは必要ないということですよね。
因みに著者は銀行であんなに人を置いて未だに窓口業務をやらしているのにも納得いかないみたいですが、私も昨年確定申告の不足税を納付する時に銀行へ行くと、納付書の他に伝票を書いてくださいと言われて憮然とした思いがあります。
最後には自民党の二階幹事長との対談があって、アトキンソンさん、これはちょっと提灯持ちが過ぎるのではないでしょうか。
初めてアトキンソンの著者を読む人にはいいですが、まあ、やっつけ仕事で中身は軽いですかね。
なかなか切れ味鋭い分析で、今回も期待していたのですが、どうも前2作の焼き直しで新味はあまりありません。
個人的には題名からして生産性向上へ向けた具体的提言がたくさん盛り込まれているかと思っていたのですが、そこに触れられているのは第6章から。前半は前の著作でも触れてあったことの蒸し返しみたいなものです。まあ、それはそれで結構面白いんですけどね。
言わんとすることの要点だけを述べれば、日本の高度成長は人口ボーナスと戦災復興に主たる理由があって、勤勉とか手先の器用さとかは確かにその通りなんだけど国際比較してみれば大きなポイントというほどでもない。失われた20年は人口ボーナスが人口オーナスになったのを気づかず旧来の慣行を強みと思って勘違いしたまま続けてきたことによる。結果として今では一人当たりの生産性では先進国の中では下位になってしまっている。ここまでは「新・所得倍増論」でも同じこと言っているんですけど。
ではどうすればいいかというと一つは世界の平均並みに観光収入を伸ばすこと。世界のGDPに対する観光収入は1.61%、日本は0.41%。伸びしろは大きい訳で、今2020に訪日外国人観光客が4000万人目標と言っていますが、2030年の世界の観光客数の推計からは2030年で80200万人の潜在能力があるとか。ここの伸びでGDP50兆円は稼げるとか。
もう一つはサービス業の生産性向上です。工夫して付加価値を高めて単価を上げ、生産性を向上させる。過剰ともいえるサービスを提供して安い人件費でパートを使い凌いでいるのではなく、ITを導入して生産性を上げていかなくてはいけない。日本と他の先進国との間でサービス業の生産性に開きが生じたのは1995年以降のことで、それにはITの活用が関係しているのです。それは過剰なおもてなしは必要ないということですよね。
因みに著者は銀行であんなに人を置いて未だに窓口業務をやらしているのにも納得いかないみたいですが、私も昨年確定申告の不足税を納付する時に銀行へ行くと、納付書の他に伝票を書いてくださいと言われて憮然とした思いがあります。
最後には自民党の二階幹事長との対談があって、アトキンソンさん、これはちょっと提灯持ちが過ぎるのではないでしょうか。
初めてアトキンソンの著者を読む人にはいいですが、まあ、やっつけ仕事で中身は軽いですかね。