怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

東海林さだお「マスクは踊る」

2022-04-29 22:28:30 | 
齢80歳を過ぎても変わらずエッセイーなどを連載している東海林さだおさん。
「マスクは踊る」は2021年1月の初版ですが、平成31年3・4月号から令和2年11月号まで「オール読み物」に連載された「男の分別学」をまとめたものです。おまけに週刊文春連載の漫画「タンマ君」の抜粋が加えてあります。

この本の最初は新元号「令和」の発表から始まっていますが、ちょうど安倍政権末期から菅政権までの間をカバーしています。
もうずいぶん前の話に感じてしまいますが、安倍政権の末期は「森友」「加計」そして「桜を見る会」と厚顔無恥と強権で頬かむりして逃げ切った日々だったと改めて感じます。いみじくも東海林さんが「ズルの時代」と題して「うまく立ち回る」ことばかり考えている日本の姿を活写しています。
この時期はちょうどコロナが問題になりだして、日常生活が経験のない嵐に巻き込まれた日々です。このとき政府はまだ感染者数も少なく(今思うと最初の感染者数では、街中をどんなに歩き回っても接触することは難しかったのではと思う数です)その時点ではやる必要もない学校休校を強制的に全国一律で行い、使い道に困るマスクを配り、必要な検査体制,入院治療医療体制を整えることは遅々として進まず、迷走をしていたとしか言いようがありません。逆に感染者が増えてきたところで学校の一斉休校とかは話題にもならずオリンピックを強行して何ともちぐはぐとしか言いようがありません。
もともと官僚機構というのは前例のない事態への対応能力には限界があり、政治家はポピュリズムの中で思い付きばかりで走ろうとすると如何ともしがたいのでしょうが、生活する国民は右往左往するばかり。加えて日本人は同調圧力が強いとあって自粛警察とかわけわからないものまで現れ、暮らしにくい日々となりました。今なら後知恵で何でも言えるだろうと言われるかもしれませんが、ウイルスの正体がよく分からないまま取り合えずなんかしなければとやってる感だけ出して効果の検証もなにもせずに、すぐに忘れるだろうとスルーしてきたのには政権の体質だったのか。
東海林さんのいつものユーモアあるエッセイにもコロナ禍での生活のどこかピントが外れた馬鹿らしさと苛立ちがそこはかとなく感じられます。
コロナウイルスに怒りをぶつけるわけにもいかないのですが、私にとっては、旅行にも行けず宴会も憚られ、各種総会的な会合も全部キャンセルとなり、引き籠り生活の失われた2年と言ってもいいと思います。それでも私などはまだまだ我慢の範囲内なんでしょうけど、この時期にちょうど中学高校大学生だった人たちの青春学園ドラマ風生活はなかったとしか言いようがなく、私の青春を返せと言いたいのでしょうけど、本当にお気の毒としか言いようがありません。
もちろん何時ものような軽妙なものもたくさんあって、テレビCМとか昭和の匂いの話は、当時の記憶が呼び覚まされて、あるあると感じ入ってしまいます。
東海林さんは1937年生まれ。齢80歳を過ぎて、心配事も増え、「長谷川式簡易知能評価スケール」の考案者の長谷川和夫先生と対談もしています。「認知症になるということは、神様からの、大丈夫だよ、死ぬのは何ともないよ。だから安心して生きなさい。怖がることはありません。というメッセージなんです」という長谷川先生の話に、「認知症も華ですね。悪いことばかりではない」と東海林さんも応えていますが、これほど好奇心旺盛で仕事熱心な人はなかなかボケないと思うのですけど。
最後に田原総一朗さんとの対談「好奇心と性が僕ら御原動力」がのっていますが、残念ながらこれはもう読んでいました。ところでここで出てくる田原総一朗さんの「シルバーセックス論」(2019)は名古屋市の図書館にはおいてありません。やっぱり題名から忌避されたのかな…
一緒に写っているのは宮城谷昌光さんの「湖底の城」。この小説は全9巻。宮城谷さんの小説は長編が多いのですが、全9巻はなかなかのものですが、古代中国春秋戦国時代の基礎知識があまりなく当然ながら国名とか人名になじみがなく、なおかつどう読んでいいのか分からない難しい漢字を使うので、読みだすのには気合が必要です。それでも長編を読み進めて小説の世界に入り込んでいくとその世界にどっぷりつかり読みにくい感じにもそれなりに慣れて来て、そうなるともうやめられません。1巻読み終えると次の巻を借りて、今は第5巻。全部読み終われば振り返ってみたいものです。
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母との面会

2022-04-27 21:48:01 | 介護
母が入所している老人保健施設は原則面会禁止。

さすがに多少の余地は残さなくてはいけないだろうと月2回予約制で玄関風除け室のガラス越しに10分間だけは面会が許されている。
絶対に入所者と外部の人間とは接触させないぞと言う厳戒下の面会です。
入所後しばらくは落ち着かないだろうし、面会して「こんなところに閉じこめて」と怒り出したり泣き言を言われると嫌だったので、予約をしなかったのですが、様子を聞くとそれなりに落ち着いて満足しているみたいなので一度面会してみることに。
予約して指定された時間に行くと玄関風除け室にテーブルがあって、衝立で仕切られた空間で待機するように。

程なく母が車椅子に乗ってきたのですが、予想外に元気で、まだ腰の痛みはあるようですが、本人的にはもう治ったと言い張る。
でも、施設にいることへの苦情とかはなく、食事は出るし、話し相手もいるのでそれなりに満足しているみたいです。泣き言もなく、失礼なことに何しに来たのかと何度も聞いてきます。元気かどうか見に来たというと元気に決まっている、心配しなくもいいと早く帰れとばかり。
まあ、落ち込んでいるわけではないので、ひとまず安心。
母との話は電話でなので、一人一人しかできません。
タイマーが置いてあって、10分でセットします。正確に10分しかできないみたいです。
横には注意事項が貼ってあります。

こちらもタイマーを見ているし、10分で話も途切れてきたところで、係の人が母を部屋に返しに来ます。
とにかく無事面会は終了。
ところで洗濯物を実家で洗濯したり、掃除をしたりしに帰ると、近所の人に会うことも。挨拶すると皆さんに「最近母を見ないけどどうしたの?」と聞かれます。一応圧迫骨折で老健に入所していると答えているのですけど、夕方によく外に出て歩いているのでどこへ行くのと聞いてもまともな答えが返ってこなくて、前の道は車の通りが多いので早く帰るように言っているとか。あまり遠くには行かないけど頻繁に徘徊しているみたいです。いつぞやは夜に閉店の店のシャッターをたたいていたのでどうしたのと聞くと卵を買いたいけど店が閉まっちると言ったとか。卵の在庫は冷蔵庫にちゃんとあるし、シャッターを叩いていた店は卵はもともと売っていない店だったし、唖然。でも皆さん家に帰るまで見ていたとか心配なので家までついて行ったとか親切に見守っていてくれました。下町の人情で母の一人暮らしが支えられていたことが分かります。
因みにその中には同級生も二人いて地元は暖かいと実感しました。
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母の老人保健施設入所

2022-04-26 09:38:09 | 介護
早くも母が老人保健施設に緊急入所して1月余り。
3月中はショートスティの扱いで4月になった時点で老人保健施設に正式入所になりました。
それまでは母のディサービスがある火曜日と金曜日は8時30分には実家に行って、母の出かける支度をして、送り出し、母のいない間に掃除洗濯をするのが、年金暮らしの唯一の仕事。
母が施設に入るとディサービスには行かないので当然ながらその仕事がなくなる。
そうなると毎週のルーテインがなくなってしまい、曜日の感覚がなくなった。
ディサービスの日は朝もサッサと支度して出かける必要があるので、カレンダーに色鉛筆で丸が打ってあってあり、4月のカレンダーには丸が打ってあるのだが、今となっては無用の情報に。
緊張感がなくなったせいか朝起きた時は今日は何曜日か分からないままテレビ番組で曜日を確認する日々となってしまった。
それでも一応火曜日と金曜日は夕方に洗濯物を取りに行って洗濯をすることは残ったので、かろうじてルーティンが残っている。
洗濯している間に、母の身の回りの残っているがらくたでも片付けようと目に付いたところを整理しだしたのですけど、まあ、どうしてこんなものが取ってあるのかと言うようなもののオンパレード。ちびた鉛筆とかメモ紙代わりの広告チラシを切ったものとかゴミとしか思えないものですが、母がいる時に捨てようとすると烈火のごとく怒って喧嘩になっていました。
文句を言われないので、どんどん捨てるのですが、部屋に色濃く残っていた母の気配を消している感もありちょっと切ない。

何故か封筒とか紙に包んだお金もあちこちにあり、ゴミだと思って紙を捨ててはだめでイチイチ確認しなければいけない。
本人もどこにお金を入れているか覚えていなくて、まるで百舌の早贄状態。
一応ありそうなところは全部チェックして回収し、財布とか現金、通帳は誰もいない実家に置いておけないので、我が家に持って帰りました。
面会は原則禁止なので母の様子はよく分からないのですが、洗濯物を取りに行った時に聞いたところ、まだ腰は痛いのですが、徐々に良くなっているのかすぐに動こうとするので、再発の危険もあって要観察みたいです。
こんなところに閉じこめて早く家に帰ると騒ぐのを恐れていたのですが、意外にもそんなことはなく、会話は成り立たず誰かも分からないのでしょうけど話し相手がいるので、一人暮らしよりはいいと言っているみたいなのでほっとしました。
とにかくおとなしくしていてください。
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4月24日熱田神宮公園テニスコートは雨で中止。

2022-04-24 20:42:12 | テニス
この日は予報通り雨。
朝のうちは降っていなくて曇っていたのですが、8時過ぎにはポツポツ降ってきた。
この日は熱田神宮公園テニスコートはクレーコートでちょっと雨が降るとできない。
レーダーの予報を見てみるとこれから16時ごろまでは雨雲に覆われている。
果たして10時過ぎには本格的に降り出してきた。

こうなると公園管理事務所に特に連絡しなくても当然中止でしょう。
せっかくの日曜なのに雨でどこに出かけるわけにもいかず呆然とテレビを見ているだけ。
念のため雲動きを見てみると15時ごろは名古屋市全域雲に覆われている。

それでも16時過ぎには雨も上がって来るみたいで、家に閉じこもっているだけでは能がないので散歩にでも行くか。
と言うことで16時過ぎには予報通り雨も上がってきて、散歩がてら「知多繁」まで行き、日本酒を仕入れることに。
買ったのは「松の司」純米酒に、「梵吟撰」純米大吟醸で2本で3025円。テニスに行けば終わって飲みに行って大体3千円なので、その分をお酒代にしたと言うことですね。
一応傘を持って歩いたので往復したらほぼほぼ1万歩は歩いたことになり、この日の必要運動量はこなしたか。
それにしてもテニスをするはずが雨に降られて無為無策の1日でした。
どうもこのところテニスコートが抽選に当たっても雨天中止の日が多いような気がします。
なんだかな~
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今野敏「警視庁FCⅡ カットバック」

2022-04-22 11:31:36 | 
今野敏の警察ものとしてはちょっと異色な作品で、警視庁フィルムコミッションシリーズの第2作です。
警視庁のフイルムコミッション(FC)室、映画やドラマの撮影の際にロケ現場で様々な便宜を図る部署(本当に警視庁にこういう部署があるかどうかはしりませんが、近年は自治体などでこういう組織があり、大いに活躍しているみたいです)で、長門室長は専任ですが、部下の4人は事案があれば特命と言うことで招集をかけられる。
主人公は、地域総務課勤務の楠木(くすき)ですが、至ってやる気満々の警察官からは程遠い定時に帰りたい仕事嫌いと言うか何事もなく終わればよいと言うお役人気質。拳銃をもって犯人と対峙するのは考えられず、辛いことや危険なことは嫌い。小説の主人公としてはあり得ないようなキャラですが、都合よく長門室長に使われて、いやいやながらも捜査に引きづりこまれながらも長門室長との掛け合いで岡目八目と言うか独特な視点を提供して事件解決に働きます。

舞台は大田区昭和島の刑事映画のロケ現場で大森署管内。あの隠蔽捜査シリーズで竜崎信也が署長を務めていた警察署です。この小説では竜崎は異動していて、後任は美人のキャリア藍本になっていたのですが、貝沼副署長は残っていたし、隠蔽捜査でも独特なキャラで重要な役割を果たしていた刑事の戸高はここでも事件解決に向けて重要な役割を果たしています。
さらに言えば湾岸署の安積係長シリーズで安積といつも張り合う捜査一課の佐治係長も同じようなキャラで出てくるし、田端一課長もおなじみです。
事件の被害者は、現場で殺される役を演じるはずの役者なのだが、ロケ現場に本当の死体として発見される。当然ながら役者、スタッフに事情聴取しながら解決に向けて捜査が進んでいくのですが、捜査幹部たちも銀幕のスターたちには自身のあこがれの気持ちと気遣いが出て微妙に特別扱い。幹部たちがそれを面を出さないように牽制しあっている姿にはふふんとなってしまいます。
映画の辻本監督をはじめとした助監督などの製作スタッフ、ダブル主演の伊達と柴崎、ヒロイン女優の桐原美里の微妙な関係などもいかにもありそうなことばかりで楽しく読めます。映画製作現場では驚くほど多くの人々が働いていて多種多様な仕事をこなしている。時間と金の制約がある中で、スタッフは悪戦苦闘しているのだが、そんな撮影現場の雰囲気がさもあり何と言う形で出て来てミーハー気分を満たしてくれます。もっとも実際の現場がどうなのかは全く知識がないので、本当はだいぶ違うのか知りませんが。
今野敏の隠蔽捜査シリーズとか湾岸署安積係長シリーズの愛読者にとってはおなじみのキャラが出ていて、ハードカバー400ページ余りを楽しく一気に読むことが出来ました。
まだ出ていないと思いますが、早くこのシリーズの3作目を読みたいものです。
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中原圭介「AI×人口減少」

2022-04-19 07:35:05 | 
日本経済の先行きを考えると避けて通れないのが「少子化」
経済予想と言うのは不確定要素が多くて、例えばロシアのウクライナ侵略が予想外の出来事で、結果世界経済予測が大きく変わってしまたように、残念ながらなかなか当たらないものだが、人口フレームは一定の幅があるにせよ2~30年先まではほぼ正確に予想できる。予測によれば日本の人口減少は避けられないのだが、どういう影響を及ぼしていくのだろうか。
加えていま話題のAIによってどんどん人間の労働がコンピューターに置き換わっていくとどうなるのか。経済アナリストの中原さんが見通しを語っています。

国立社会保障・人口問題研究所が人口推計を発表して以来かなり話題にはなっているので、もうすでに知っている人は多いのだろうが、日本の人口は2053年には1億を割り込み、2100年には6000万人を割り込む推計です。
そのまま行くと2350年には日本人はいなくなる!まあ、これは現在の出生率をもとにした机上の推計なので、さすがにこうはならないのでしょうけど。
それでも出生率が1.4とか1.5と言うのであれば人口減少は避けられないし、仮に今すぐ出生率が2.0になったとしてもその子どもたちが出産可能年齢になるまでは、つまり20年は出生数は減り続ける。出生率が高くなるにしてもいきなり2.0はあり得ないので、人口減少の想定スピードを緩めることが出来れば上出来と言うことか。
一方で平均寿命も延びていて団塊の世代がいよいよ後期高齢者になってくるので高齢化率は伸び続ける。
健康保険、年金などの社会保障費は増えていくばかりなのに、それを支える現役世代は減り続ける。これはどう考えても明るい未来ではない。負担できる社会保険料には限界もあるだろうし、そうなると給付を下げるしかない。当面は高齢者の定義を改め出来るだけ長く働かせるぐらいしかないか。
それでも高齢化については喫緊の問題は逃げ切ろうとしている団塊の世代にどう対応するかと言うことで、その後の緩やかな高齢化率の上昇は知恵を絞れば対応策がありそうに見える。
長期的に深刻な問題は少子化にどう対処していくかでしょうけど、問題が顕在化するには時間がかかるために抜本的な対応はおざなりされてきたように見える。今ここにある危機以外の将来的な課題には優先順位が後回しにされるのは、今の政治体制では仕方ないのか。でも真剣に取り組むにはもはや遅きに失しているかも。
少子化が進むと人出不足が進むかと思いきや、一方で人間労働がどんどんロボットなどに置き換わり、さらに今までは人間しかできないかと思われてきた事務作業にもAIによってコンピュータ処理に置き換えられるようになりつつある。AIまで行かずとも「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)」によってマニュアル通りにやるような仕事はどんどん機械に置き換わっている。AIは創造的な仕事は無理で、東大入試合格プロジェクトによればAIで偏差値55ぐらいは行くみたい。逆に言えば偏差値55ぐらいの人がやっている仕事と言うのはAIで対応可能と言うことか。コスト的にペイするかどうかという面もあるけど、最近のデータ処理能力と画像処理技術の進化とかを考えると偏差値50くらいのレベルの仕事はAIで大丈夫でしょう。著者によれば銀行業務はほとんど無人になり、医師・弁理士・弁護士などの仕事もかなりの部分が置き換わるのではと言うことに。
そうなると人間の仕事は真に創造的な仕事と人間相手のアナログな対応とか最後の一マイル的な仕事に二極化するのか。そうなると社会の分断はますます進む…定型的な仕事は機械に任せ生産性を上げて、人間は真に人間しかできない仕事をやるという楽観的見方もあるのですけど。
ところで著者は少子化対策の切り札は「地方創生」と主張。石川県への機能移転を進めているコマツの実践例を紹介していますが、地方の方が出生率は高くゆとりを持った子育てができる。その流れが大きく成れば出生率2・0も難しいことではない!そのためには税制を含めて官民協力して地方創生を強力に後押しする政策を取るべきだと。
江戸時代は太平の世でしたが人口は横ばい。歴史人口学の速水融教授によると地方の農村は食べ物は確保できるので、それなりに子供が増えているのだが、農地を分割するわけにはいかないので次男、三男は江戸とか大阪へ丁稚奉公に行く。勢い都会は男性社会でなかなか結婚もできず、劣悪な奉公生活で死亡率も高く、結果日本の人口はあまり増えないと言う構造だったとか。
今の東京も生涯未婚率が高く出生率も低い。解決策としては有力なのでしょうが、地方創生、一極集中の分散化は総論賛成で各論反対、なかなか具体化しないのが現実です。
日本人がもっと真剣に考えないといけない問題ですが、危機がもっと目の前に来ないと行動できないのは世の習いか。
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浅田次郎「流人道中記」

2022-04-16 14:59:52 | 
浅田次郎は時代設定としての幕末、そして旅ものが好きですよね。
幕末ものとしては新撰組を取り上げた「壬生義士伝」「輪違屋糸里」、「五郎治殿御始末」「お腹召しませ」「黒書院の黒兵衛」とかありますが、新撰組物が断然面白いかな。
浅田ロードムービーと言えるような旅ものでは「一路」は参勤交代での中山道、そしてこの「流人道中記」は江戸から青森の三厩迄の流人押送の旅です。

不義密通の罪によって、本来ならば切腹してお家を残すべきところを、あろうことか切腹を拒み、闕所改易となり身分はく奪の上、蝦夷松前藩に預かりに。
その青山玄蕃を江戸から押送する役を押し付けられた石川乙二郎の珍道中。
行く先々で青山が騒動に巻き込まれ、引き起こし、それでも大身の旗本の知恵と経験でうまく収まるところに収めていくのを半人前与力の石川がはらはらしながら見つつ、旅は進んでいく。
青山玄蕃は旗本の中でも最も家格の高いお殿様。もっとも生まれ落ちたのは妾腹の三男坊で食事も満足に取れぬ貧乏暮らしだったのが、長男次男が急逝して急遽お家に呼び戻された。
そのため、思考として武士としてお家大事にまじめに生きていくだけとはならず、世情にも詳しく、庶民の気持ちも汲みとめる。
一方の石川も最下層の同心家の次男坊から文武の才を認められ与力の跡取りとして養子に入った身。義父は病気で寝たきり、妻はまだ幼く、義母には厳しく当たられて、職場でも右も左も分からないまま心細い半人前の身。
二人とも貧しい幼年時代を過ごした点では共通しているのですが、世が世なれば顔を見ることもできないような身分違いなのですが、咎人と押送人。でもどことなく埋めることが出来ない貫禄の差があって、旅は青山ペース。宿は上宿でないといけないし、酒はたらふく飲む。挙句に自分から騒動を引き込んでいく。
どう考えてもあり得ない設定なのですが、そこは浅田次郎のうまいところで上下700ページ以上を一気に読んでしまいました。
浅田が幕末をよく取り上げるのは、太平の世が200年以上続く中でさすがに制度がきしみをたてていて、戦国時代を終わらせた習いが最早建前だけになってしまい、崩れ去っていくのが見えてきた中、自分なりに物を考えて生きて行こうとする人を書きたかったのだろうか。
青山玄蕃がどうして不義密通のような破廉恥な罪を背負うようになったのかは、旅をしていく中でおいおい明らかになり、最後に種明かしがされるのですが、どうもこの小説、最後のカタルシスがなくて、途中のひと騒動も、水戸黄門的な解決ではなくて、これが時代の限界かと言うようなもので、フラストレーションがたまってしまいます。
種明かしされても、この話はやっぱりあり得ないと言う思いが強くて、幕末ものでは断然新撰組物に軍配を上げます。多分登場人物が実在の人が多くて制約が多い分、フィクションなんだろうけど本当にありそうな話になっているからでしょう。
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4月9日熱田神宮公園テニスコート

2022-04-10 20:56:58 | テニス
土曜・日曜は高気圧のど真ん中で、いい天気。気温もどんどん上がり25度の予想。
それならば日本酒を用意していきましょうか。

千寿300に,残り物のコーンと前日レンジでチンした銀杏を入れておきます。
14時30分に家を出て14時50分には事務所について受付します。
丁度来たばかりのちょっと見小野ヤスシさんと一緒になりコートに行くとはげ親父がいます。
暫くするとえみちゃんも登場。
とりあえず4人で乱打を始めます。
乱打をやっているうちにタケちゃんマンが登場。この暑いのにフリースを着てその上にダウンのベストを着ているという冬仕様で、ちょっと浮いている。
まあ、とにかく5人になったのでいつものようにボレー二人とストローク3人に分かれて練習を一回り。
休憩になると早速ビールが出て来て早くも宴会状態。

ビールを飲んで一息ついたら試合にします。
最初ははげ親父と組んでえみちゃん、ちょっと見小野ヤスシさん組と対戦。.半年以上のブランクでまだまだ調子の出ないちょっと見小野ヤスシさんのミスショットもあって3ゲーム連取してこのまま完封勝利かと思いきや最後のゲームを落として3:1でした。相変わらずこのコートはイレギュラーが多くてバウンドするとどこへ行くか分からないのですが、多分もう少し余裕があれば対応できたのだと思うのですが、いつもながら構えが遅いので対応できずにままならぬものです。
それにしてもいい天気。

青空が広がって風もあまりなくてテニス日和。動いていると暑くて、こういう時はビールを飲むとグビグビ入って美味いんだなあ、これが。
この日のビールははげ親父とえみちゃんが持ってきた500缶2本と350缶1本でした。
次の試合はちょっと見小野ヤスシさんと組んでえみちゃん、タケちゃんマン組との対戦でしたが最初のゲームをデュースまで縺れたうえで落としたところで16時なりちょっと見小野ヤスシさんがここで帰ります。ちょっと見小野ヤスシさんの替わりにはげ親父に入ってもらい試合を続けたのですが、一進一退の展開で結局2:2の引き分け。
ビールと並行してタケちゃんマンが持参した純米大吟醸原酒の日本酒と私の持参した千寿も飲みだし、頭はぼんやりしてきたのですが、試合は進めます。

今度はタケちゃんマンと組んでえみちゃん、はげ親父組と対戦。酔いが回ってきたのかお互いにミスをして2:2の引き分けだったんですが、この時点で16時45分。
まだまだ出来ると言うことでこの組み合わせで2ゲーム先取で決着を図ることに。
最初のゲームは簡単に負けたのですが、次のゲームは盛り返して1:1で最後のゲームに。ここは健闘空しくと言っておきますが結局落してしまい1:2で負け
いつも思うのですが決着をつけようとするとたいていは負けるんですよね。
この日は、そこそこいい気持で酔っていたし、はげ親父は帰ると言うので、ここからさらに飲みに行くことはなくてまっすぐ家に帰りました。
出かける時には多分夕飯はいらないと言っていたので、夕飯を食べると家に帰った時には迷惑そうな視線攻撃を受けてしまいました。

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QBハウス、おまえもか

2022-04-08 14:50:28 | Weblog
就職して以来、床屋は近所の一つのところにずっと通っていた。
特に技術が素晴らしいとかは思っていなかったけど、空いている時に行って黙って座わってればいいので、ほとんど浮気もせずに40年近く通っていた。
ところが3~4年前にご主人の突然の病気で閉店してしまった。
今更新たな店を開拓する元気もないし、どうしようかと途方に暮れる。
ここで教訓、もはやこの歳になれば、死ぬまで面倒を見てくれるように行きつけとか、掛かりつけとかの相手は自分よりも年下で元気な人を選ぶべし。医者はもともと掛かりつけはないのですが、年に一度インフルの予防接種を受けるところは私よりだいぶ年下なので、ここでいいか。今心配なのは歯医者で、3月に一度健診がてら歯石を取ってもらっているのだが、私と5歳違い。いつまで開業しているのか、手は震えてこないかと心配なのですが、さすがに聞くのは憚られる。
閑話休題。
床屋の話に戻ると、その時もはやかっこつけるわけでもないので値段勝負とQBハウスに通うことに。ひげは自分で剃ればいいし、洗髪も自宅でやればいいので安い分だけ満足していた。
QBハウスでは65歳以上では平日100円の割引があって、当然利用させてもらっていた。

ところが先日行くとこのシニア優待がなくなるとか。
世の中、円安、ウクライナ侵略とかいろいろあって物価が徐々に上がっているのはニュースになっていたのですが、ついにここまで及んできたのか。まあ、2月に一度くらいなので年間にすれば600円、文句を言うほどでもないのですが、一事が万事、年金は上がってこないので真綿で首を絞められるようになっていくのか。
経費のほとんどは人件費なのだろうから、少しでも従業員さんたちの給料が上がるのならいいのですけど…

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小口日出彦「情報参謀」

2022-04-06 14:36:47 | 
民主党政権下の、安倍と自民党にとっての「悪夢の3年間」でしたが、その間自民党は眠っていたわけではない。
捲土重来を期して、水面下でもいろいろなことをしている。
田崎史郎の「安倍官邸の正体」でも書いてあるように安倍自身、最初の政権の失敗を反省して「失敗ノート」を記して今度総理大臣の座が巡ってきたらどうすべきかを真摯に考えている。
自民党内でも情報分析について私たちの知らない取り組みをひそかに進めていた。

ところで著者は2009年の政権交代のあった総選挙で「クチコミ@総選挙2009」というプロジェクトを立ち上げ、テレビ情報分析とネットクチコミ分析によって情報を大量に集めそのデータを数理モデルに当てはめ全国300小選挙区の得票率予測を行う。結果は80.33%の的中率。世論調査や出口調査、情勢分析を何もしないでテレビとネットの情報だけでできたのだが、結果を公開セミナーで発表すると早速自民党から声がかかる。この時の相手は後に初代デジタル庁長官になる平井卓也と現幹事長の茂木俊充。テレビ、ネットでの情報の表れ方と選挙結果には非常に高い相関性があるので、こうした情報分析を定常的に行って行けばどんなキーワードが世論がどう左右しているのかが分かると言う説明に食いつき、茂木、平井、世耕らのメンバーで「情報分析会議」を定期的に開催していく。
ちなみにネットの口コミ情報はテキスト化されているのでデータとしての取り込みは容易なのだが、テレビの場合は非常にアナログで100名ほどの人間で1日8時間ずつ3交代勤務でリアルタイムにテレビを視聴し内容をテキストデータとして記録している。映像や音声を人間が見たり聞いたりして認識する力は、ITの力をはるかに上回るとか。
情報分析会議では50種類以上の基礎データファイルや集計ファイルを必要とする報告書を作成し、雑談を交えて、情報の見方や表現の仕方をブラッシュアップしていく。
次の参議院選の前には「コミュニケーション選挙対策会議」に衣替えし、臨戦態勢を取り、午前中に起こったことを午後には速報する。もっともこの時はワールドカップと角界スキャンダルに政治報道は霞んでしまったのですが。
次の自民党が復権する総選挙では選挙情報に絞り込んだリポートを選挙当日まで毎日報告、当日昼以降の街頭演説やテレビ出演に役立つよう午前11時には資料等を完成し報告、加えて選挙期間中にもかかわらず毎朝9時に関係者全員が集合して情報を共有している。結果は自民党の圧勝で第二次安倍内閣が成立する。
次の参議院選挙では、著者自身が選挙戦の完成形に近づくと言っているのだが、毎朝の会議でその日の演説の決め台詞になる様な「今日の打ち手」を決めていく。さらに全候補者にタブレットiPadを支給してリポートをリアルタイムに共有できるようあらゆる情報を発信。全国の候補者に党の統一方針をしっかり伝え、タイムリーな演説内容やどの言葉に気を付ければいいか分かるようにしていた。ほぼ盤石の体制で挑んだ参議院選挙で結果は自民党の圧勝。ここで著者の情報参謀としての役割は終わったとしているのだが、この情報分析と情報発信はよりブラッシュアップして組み込まれているのだろう。選挙で負けた民主党はこの事実をどう把握してどう対策を取っているのか、出来ないのなら100戦100敗でしょう。
著者はこれを大きな金儲けの手段にしているわけではなく、どちらかと言えば自民党シンパとして実費+程度で協力してきたとか。自民党にまだまだ吸引力があるということですか。
ここで出てくる平井氏はデジタル分野では有能な能吏と言う感じですが、茂木は世評通り優秀で頭がいいのだろうけど、とっつきにくくあんまり友達いない感じで、幹事長のような清濁併せ呑む茫洋さが求められるポストでは軋轢を起こしそうです。
その後、情報分析だけに留まるのではなく、ネットを取り込み行動に際してもこれらの分析を活かしていく、もっともこれは事務方ではなく政治家が考えていくことなのですが。
一緒に写っているのは、池井戸潤さんの「花咲舞が黙っていない」ですが、杏が主演した同名のテレビドラマがあったので、これがドラマの原作本かと思いきや、テレビドラマの原作は「不祥事」と言う短編集だそうです。こちらはテレビドラマ放映後に書かれたその続編。
私はドラマも「不祥事」も読んでいないのですが、さすが手慣れた池井戸さんの小説、小気味よい展開で十分楽しめました。間に半沢直樹が登場してくるのもお楽しみ。この部分は局が違うのでドラマには入れ込みにくいかも。
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