君子は豹変する。
細川内閣の「経済改革研究会」委員を手始めに歴代内閣の政府委員を歴任、日本経済の改革、規制緩和を唱えグローバル資本主義をあおっていたのに、リーマンショック後は一転、2008年刊の「資本主義はなぜ自壊したのか」によってグローバル資本主義と決別を宣言。この本もその続編です。
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最初に資本主義の生成、発展、自壊を2章にわたって述べているのですが、資本主義の誕生については日本ではマルクス経済学の影響からか「経済史」「経済思想史」の膨大な蓄積があるのだがほとんど視野にないみたい。もっとも私の大学時代はともかく今はマルクス経済学なんて教えているのか、経済学史とか経済思想史の単位はあるのでしょうか。もはや存在感ないからな~。当時でも経済学の歴史を知っていていても経済を知らないといわれたものです。
ここの論理は主に水野和夫の著書によっていると思います。さすがにうまくエッセンスを取り出してまとめてありますが、できれば水野和夫の「超マクロ展望~世界経済の真実」を読んだほうがいいかも。
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無理やり一言で言えば資本主義が自壊したのは「フロンティア」が消滅したから。
「失われた20年で日本は何を失ったのか」の章では、グローバル経済に飲み込まれる中で日本経済のシステムの根幹が崩されたといっている。思わずあんたが言うかと突っ込みを入れたくなるのですが、根幹とは歴史的に培われてきた「信頼関係」という「社会資本」が棄損されたのだと。
アメリカの要求は露骨で「年次改革要望書」という形で示され、今はTPP への参加という形で圧力をかけていると。
ここで示されている日本の競争力の源泉は、系列であり、株式持ち合いであり、メインバンクシステムという。一見不合理に見えて、そこには相互信頼に基づく長期安定的な融資、取引を低コストで実現できる合理性があった。失われた20年で失ったものは「相互信頼をベースにした長期継続的取引関係」であり、それが日本社会の分断、企業組織の分断、求心力の低下を引き起こし、結果日本経済の競争力が大きく低下した。だけどその構造改革をあおる一人だったのはあなたでしょう。その裏にあるのは日本の競争力をそぐために仕掛けたアメリカの陰謀?があるようなことを言われるとちょっとしらけます。
まあ過ちは正すべきなのでしょうが、企業の経営者に取り入り重役を集めて塾を作って歴史、文化、伝統を学び日本の良さを再発見するなんて如何にも世渡り上手のやることでは。
そのうえで多数はドメステックに生きればよくて少数のグローバル人材を育てようなんて言われるとこれは昔の3%のエリートと多数の労働者論の焼き直しか…
あえて言えば参考文献には載っていないが飯田経夫さんの「日本的力強さの再発見」なんかの焼き直しでは。交換より贈与なんて論議も内田樹が結構発言していると思いますが参考文献にも出てこない。それにしては将来展望というか提言はいまいちというか現実性が乏しいというか、これは私の偏見?
でもさすが才能ある人でいろいろな議論をうまく料理してグローバル主義見直し論としてうまくまとめてあるので暇なときには読んでもいいのでは。
細川内閣の「経済改革研究会」委員を手始めに歴代内閣の政府委員を歴任、日本経済の改革、規制緩和を唱えグローバル資本主義をあおっていたのに、リーマンショック後は一転、2008年刊の「資本主義はなぜ自壊したのか」によってグローバル資本主義と決別を宣言。この本もその続編です。
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最初に資本主義の生成、発展、自壊を2章にわたって述べているのですが、資本主義の誕生については日本ではマルクス経済学の影響からか「経済史」「経済思想史」の膨大な蓄積があるのだがほとんど視野にないみたい。もっとも私の大学時代はともかく今はマルクス経済学なんて教えているのか、経済学史とか経済思想史の単位はあるのでしょうか。もはや存在感ないからな~。当時でも経済学の歴史を知っていていても経済を知らないといわれたものです。
ここの論理は主に水野和夫の著書によっていると思います。さすがにうまくエッセンスを取り出してまとめてありますが、できれば水野和夫の「超マクロ展望~世界経済の真実」を読んだほうがいいかも。
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無理やり一言で言えば資本主義が自壊したのは「フロンティア」が消滅したから。
「失われた20年で日本は何を失ったのか」の章では、グローバル経済に飲み込まれる中で日本経済のシステムの根幹が崩されたといっている。思わずあんたが言うかと突っ込みを入れたくなるのですが、根幹とは歴史的に培われてきた「信頼関係」という「社会資本」が棄損されたのだと。
アメリカの要求は露骨で「年次改革要望書」という形で示され、今はTPP への参加という形で圧力をかけていると。
ここで示されている日本の競争力の源泉は、系列であり、株式持ち合いであり、メインバンクシステムという。一見不合理に見えて、そこには相互信頼に基づく長期安定的な融資、取引を低コストで実現できる合理性があった。失われた20年で失ったものは「相互信頼をベースにした長期継続的取引関係」であり、それが日本社会の分断、企業組織の分断、求心力の低下を引き起こし、結果日本経済の競争力が大きく低下した。だけどその構造改革をあおる一人だったのはあなたでしょう。その裏にあるのは日本の競争力をそぐために仕掛けたアメリカの陰謀?があるようなことを言われるとちょっとしらけます。
まあ過ちは正すべきなのでしょうが、企業の経営者に取り入り重役を集めて塾を作って歴史、文化、伝統を学び日本の良さを再発見するなんて如何にも世渡り上手のやることでは。
そのうえで多数はドメステックに生きればよくて少数のグローバル人材を育てようなんて言われるとこれは昔の3%のエリートと多数の労働者論の焼き直しか…
あえて言えば参考文献には載っていないが飯田経夫さんの「日本的力強さの再発見」なんかの焼き直しでは。交換より贈与なんて論議も内田樹が結構発言していると思いますが参考文献にも出てこない。それにしては将来展望というか提言はいまいちというか現実性が乏しいというか、これは私の偏見?
でもさすが才能ある人でいろいろな議論をうまく料理してグローバル主義見直し論としてうまくまとめてあるので暇なときには読んでもいいのでは。