あたかもすぐに億万長者になれるための入門書のような題名ですが、そうは行きません。
内容は金融の常識を示す資産運用の指南書です。その意味では依然紹介したことのある山崎元の本と同趣向で内容もほぼかぶっています。でもそこは橘玲の独特の皮肉がこもった文章で、どちらがいいかと言ったらもう趣味の問題ですかね。
銀行とか証券会社が勧める金融商品は、売るほうにうまみがあるから勧めるもの。いろいろ難しいことを説明するのですが、要はその分手数料が高い。当たり前のことですが相手の立場に立って考えれば何故この商品を勧めるかがわかります。自分だけが特別なお客で特別な優遇を受けられるとか特別な幸運に恵まれるというのは、ちょっと考えればあり得ない話と分かります。自分は理解力があり客観的に判断できるからと思っている人が荒唐無稽な詐欺に引っかかるのです。
因みに宝くじは経費率5割といわれ「愚か者に課せられた税金」と言ってよく、生命保険は手数料たる付加保険料を開示してない業界(ライフネット証券が初めて開示した)なのですが、その手数料(宝くじより高いものも)を知るととても割に合わないだとわかります。
「誰も未来を知ることができない」というのは金融界でも同じで、市場の変動は複雑系のネットワークで、これから起こることの予測は原理的に不可能。だからこそ高給を貰う証券アナリストの成績はランダムに予測するサルに勝てない…アクティブファンドの平均的な投資成績はインデックスファンドに劣るというのは、山崎元も書いているのですが、金融界の常識というか不都合な真実なのです。さらに言えば運用成績の良かったファンドは翌年に下落することが多くて逆に運用成績の悪かったファンドは翌年には上昇するとか。長期的には凡庸な成績に回帰するだけなのですが、結果が出ないのにあたかも成績がいいような能書きで高い手数料を取っているので運用成績は悪くなるはずです。
では臆病者にとっての最適な投資戦略とは?というと長期的には市場は拡大し経済成長がプラスになると考えれば、これまた山崎元も書いているようにインデックスファンドで分散投資することです。株式市場が暴落した時から始めるとよくてドルコスト平均法で行けば高い利回りが得られるはず。まあ、ドルコスト平均法についていえば異論(山崎元は推奨していません)もあるんですが、人間は損すると得する時より3倍苦痛という不合理なバイアス(損得の非対称性)がかかるので、失敗しないためには毎月なり定額投資するのがいいみたい。
為替についていえば、一時ミセスワタナベと言われFX取引で億儲けたとかという話が流布していましたが、為替取引はゼロサムゲーム。得をした人がいれば損をした人もいる。レバレッジをかけて何億も損をした人の話はあるはずだけども聞こえてこないもの。運よくビギナーズラックで儲けたとしても長期的にはどうなったか?儲けたらそのお金を握って即為替市場から退場することのできる人はほとんどいないでしょう。
どうやらFX取引には手を出さないほうがいいみたいです。
では、不動産投資はどうか?
不動産にはいろいろなリスク(津波などの天災、隣にやくざが事務所を建てる、地盤沈下するなどなど)がどうしても生じることがある。個人で不動産を所有しているとそのリスクは原則すべて自己責任になる。個人はリスク耐性が低いだけにマイホームは賃貸したほうが合理的。リスクがあるからこそ不動産会社は土地があればマンションにしたり分譲住宅にしたりして個人に転売してノーリスクで儲けたほうがいい商売になるというものです。
資産運用としての不動産でいえば、これからの日本の人口が減っていくのは確実で、地方では空き家が問題になっていることからも、長期的な値上がりは考えにくい。その市場は相対取引が多く不動産業者の裁量が大きく手数料も割高、情報も広く公開されているわけではないインサイダーマーケット。もし不動産で資産運用しようと思うのならオープンマーケットのREITにすべきでしょう。
でも資産運用だけではなくて一国一城の主になりたいという願望で家を買ってしまうんですよね。生物にとって生き延びるために「なわばり」を死守することを延々と続けてきた進化論的な強固な理由があるといわれるとさもありなんですか。
最後にアベノミクスと日本の未来を描いていますが、楽観シナリオなら年金受給権と不動産価格は維持できるので臆病者としてはお金は普通預金に預けておけばいい。仮に円安とインフレが進行して国家債務の膨張が止まらず国債デフォルトという最悪のシナリオになったとしても、ある日突然日本国が破たんするわけでないから、その間に普通預金を外貨預金なりに預け替えればいい。あらかじめ
座ぐらい作っておいてもいいのでしょうか。
人的資産は暴落するわけではないので、できるだけ「活用=働けるだけ働くし」つつ、うまそうな話を直感で決めるのはプロのカモになるだけなので、「遅い思考」が必要。ま、当たり前ですけどね。
新書本で250ページほどの本ですから資産運用を考えている人にはお勧めです。
内容は金融の常識を示す資産運用の指南書です。その意味では依然紹介したことのある山崎元の本と同趣向で内容もほぼかぶっています。でもそこは橘玲の独特の皮肉がこもった文章で、どちらがいいかと言ったらもう趣味の問題ですかね。
銀行とか証券会社が勧める金融商品は、売るほうにうまみがあるから勧めるもの。いろいろ難しいことを説明するのですが、要はその分手数料が高い。当たり前のことですが相手の立場に立って考えれば何故この商品を勧めるかがわかります。自分だけが特別なお客で特別な優遇を受けられるとか特別な幸運に恵まれるというのは、ちょっと考えればあり得ない話と分かります。自分は理解力があり客観的に判断できるからと思っている人が荒唐無稽な詐欺に引っかかるのです。
因みに宝くじは経費率5割といわれ「愚か者に課せられた税金」と言ってよく、生命保険は手数料たる付加保険料を開示してない業界(ライフネット証券が初めて開示した)なのですが、その手数料(宝くじより高いものも)を知るととても割に合わないだとわかります。
「誰も未来を知ることができない」というのは金融界でも同じで、市場の変動は複雑系のネットワークで、これから起こることの予測は原理的に不可能。だからこそ高給を貰う証券アナリストの成績はランダムに予測するサルに勝てない…アクティブファンドの平均的な投資成績はインデックスファンドに劣るというのは、山崎元も書いているのですが、金融界の常識というか不都合な真実なのです。さらに言えば運用成績の良かったファンドは翌年に下落することが多くて逆に運用成績の悪かったファンドは翌年には上昇するとか。長期的には凡庸な成績に回帰するだけなのですが、結果が出ないのにあたかも成績がいいような能書きで高い手数料を取っているので運用成績は悪くなるはずです。
では臆病者にとっての最適な投資戦略とは?というと長期的には市場は拡大し経済成長がプラスになると考えれば、これまた山崎元も書いているようにインデックスファンドで分散投資することです。株式市場が暴落した時から始めるとよくてドルコスト平均法で行けば高い利回りが得られるはず。まあ、ドルコスト平均法についていえば異論(山崎元は推奨していません)もあるんですが、人間は損すると得する時より3倍苦痛という不合理なバイアス(損得の非対称性)がかかるので、失敗しないためには毎月なり定額投資するのがいいみたい。
為替についていえば、一時ミセスワタナベと言われFX取引で億儲けたとかという話が流布していましたが、為替取引はゼロサムゲーム。得をした人がいれば損をした人もいる。レバレッジをかけて何億も損をした人の話はあるはずだけども聞こえてこないもの。運よくビギナーズラックで儲けたとしても長期的にはどうなったか?儲けたらそのお金を握って即為替市場から退場することのできる人はほとんどいないでしょう。
どうやらFX取引には手を出さないほうがいいみたいです。
では、不動産投資はどうか?
不動産にはいろいろなリスク(津波などの天災、隣にやくざが事務所を建てる、地盤沈下するなどなど)がどうしても生じることがある。個人で不動産を所有しているとそのリスクは原則すべて自己責任になる。個人はリスク耐性が低いだけにマイホームは賃貸したほうが合理的。リスクがあるからこそ不動産会社は土地があればマンションにしたり分譲住宅にしたりして個人に転売してノーリスクで儲けたほうがいい商売になるというものです。
資産運用としての不動産でいえば、これからの日本の人口が減っていくのは確実で、地方では空き家が問題になっていることからも、長期的な値上がりは考えにくい。その市場は相対取引が多く不動産業者の裁量が大きく手数料も割高、情報も広く公開されているわけではないインサイダーマーケット。もし不動産で資産運用しようと思うのならオープンマーケットのREITにすべきでしょう。
でも資産運用だけではなくて一国一城の主になりたいという願望で家を買ってしまうんですよね。生物にとって生き延びるために「なわばり」を死守することを延々と続けてきた進化論的な強固な理由があるといわれるとさもありなんですか。
最後にアベノミクスと日本の未来を描いていますが、楽観シナリオなら年金受給権と不動産価格は維持できるので臆病者としてはお金は普通預金に預けておけばいい。仮に円安とインフレが進行して国家債務の膨張が止まらず国債デフォルトという最悪のシナリオになったとしても、ある日突然日本国が破たんするわけでないから、その間に普通預金を外貨預金なりに預け替えればいい。あらかじめ
座ぐらい作っておいてもいいのでしょうか。
人的資産は暴落するわけではないので、できるだけ「活用=働けるだけ働くし」つつ、うまそうな話を直感で決めるのはプロのカモになるだけなので、「遅い思考」が必要。ま、当たり前ですけどね。
新書本で250ページほどの本ですから資産運用を考えている人にはお勧めです。