こんにちは。
販促経営コンサルタント、藤田です。
本日は2回目の投稿です。
このカテゴリーは基本的にフィクションです。
販促経営コンサルタントの本田というわたしの分身を登場させて、様々な経営再生の様子を描写していきます。
内容はフィクションですので、モデルそのものはありませんが、実際に自分が経験したことも混じっていますので、これを読むあなたにもずいぶんと参考になることが出てくると思います。
あなたの経営改善のヒントにご自由にお使いください。
(なお配信は原則毎週1回水曜日にと思っていますが、基本的にランダム配信です)
「ある料亭の再生物語 <第1部>(その3)」
ふだんから寡黙な板長であったが、この時ばかりは日頃から思っていることがあったのだろう、
スムーズに意見が出てきた。
「自分は千樹に小僧から奉公させてもらって今の自分があります。暴れん坊のどうしようもないガキの自分を引き取ってもらって、ここまで育ててもらった恩は、まだ返せてはいません。自分は千樹あっての自分です。営業を続けると言うのなら、残ります。最後まで奉公させていただきます。出ていくなんて考えたことはないです。
実際何度か東京の有名な料亭やホテルなどから誘いを受けたことはありました。今まで黙っていてすみません。
心が揺れた誘いもあり、悩んだことも何回かあります。でも今ここにこうして自分はいます。これからも自分はここにいます。どんなことがあっても」
その言葉を聞いた女将の目からは涙が光るのが見えた。
もちろん社長の目にも確かに涙があった。
「しかしこんな状態では、逆に自分のような古臭い者が居座っていては悪いという気もしないことはありません。自分のような者がいるから何か新しいこともできないんじゃないかと思うときもあります」
「いや、板長、絶対にそんなことはない。板長の腕があるから、今までこんな時代になっても千樹が保ってこれたんだ」
社長が板長にいたわりの目を向けて言った。
「あ、ありがとうございます、社長。でもこんな自分には何のアイデアもありません。もっと若い奴の意見を聞いてやってください」
「そうか、ありがとう。じゃあ他の人にも聞いていこう。鬼頭さん、どうだ」
大番頭の鬼頭は、とつとつと話し始めた。
「ここでは一番古いわたしは、以前の栄えた時分の千樹がただ懐かしいだけで、もしここがなくなるんでしたら、そっと隠居になるつもりでいます。幸い二人の娘もとうの昔に嫁いでおりますし、なんの憂いもありませんから。後はみなさんで話し合ってください。私はみなさんの意見に従いますので」
「そんな悟ったような言い方をする歳でもまだないだろう、鬼頭さん」と社長がまだ頑張れるだろうというように諭した。
「いえ、ホントにもう私なんか、時代遅れの見本のような者で」
「馬鹿なことを言うな。まだ頼りにしてるんだ、おれは」
「もうそんな話はおしまいにしてください。これからは前を向いた話がしたいわ」
女将さんが、もうそんな話はごめんだというように口を開いた。
「どう順番に言ってください。みんな、今言いたいこといわないと、後からあれこれ言っても知らないから。内田さん」
名前を言われた中居頭の内田さんはしばらくうつむいていたが、おもむろに話しだした。
「私は中居頭といってもパートですからあまり経営のどうのこうのって言える立場じゃないですけど、次いでだから言っちゃいます。私、前から思ってるんですけど、今までのお客さん、こんなこと言っちゃ悪いですけど、あまり好きなお客さんは、たくさんいません。どちらかと言うと嫌いな方が多いぐらいです」
その言葉を聞いても女将さんは驚かなかった。
「だってみんな偉そうにしてるだけで、それってみんなお金がたまたまたくさん持ってるからっていうだけのことでしょ。だいたい偉そうにしている人はそうなんですよね。たまにはそんなこと鼻にかけない勝呂さんみたいなお客さんもいますけど、少ないですよね。それにそんな人に限って会社の景気が悪くなるし………。ですから、私ならそんな人をもう相手にしないで、もっと、なんて言うか、この千樹を愛してくれるお客さんを相手にした方がいいんじゃないかって、そう思います。かといってじゃあどんなことをすればいいか、今すぐにはちょっと何とも言えませんけど。やっぱり働いている私たちも、できたら喜んで働きたいし、そしたらその笑顔がお客さんにも伝っていくんじゃないかしら、そう思うんですけど。すいません、えらそうなこと言って」
「いや、その通りだよ、内田さん。ぼくもうんざりなんだよね、ホントは。何かお金にお辞儀しているみたいで。やっぱりお辞儀はお客さんにしたいよね」
社長も今まで感じていたのか、その言葉に大きく頷いた。
「私も内田さんに大賛成です」と声を出したのは、その内田さんの下で働いている中居の篠原さんだった。
<4>へつづく。
(このストーリーはフィクションです)
それでは今日はこれで。
あなたの一日が今日もいい一日でありますように。
藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサの藤田でした。
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群馬県前橋市天川大島町186-25
藤田販促計画事務所
http://www.shakatsu.co
E-mail:k1948f@nifty.com
TEL.027-261-6671(FAX.同様)
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「ある料亭の再生物語 <第1部>(その3)」
ふだんから寡黙な板長であったが、この時ばかりは日頃から思っていることがあったのだろう、
スムーズに意見が出てきた。
「自分は千樹に小僧から奉公させてもらって今の自分があります。暴れん坊のどうしようもないガキの自分を引き取ってもらって、ここまで育ててもらった恩は、まだ返せてはいません。自分は千樹あっての自分です。営業を続けると言うのなら、残ります。最後まで奉公させていただきます。出ていくなんて考えたことはないです。
実際何度か東京の有名な料亭やホテルなどから誘いを受けたことはありました。今まで黙っていてすみません。
心が揺れた誘いもあり、悩んだことも何回かあります。でも今ここにこうして自分はいます。これからも自分はここにいます。どんなことがあっても」
その言葉を聞いた女将の目からは涙が光るのが見えた。
もちろん社長の目にも確かに涙があった。
「しかしこんな状態では、逆に自分のような古臭い者が居座っていては悪いという気もしないことはありません。自分のような者がいるから何か新しいこともできないんじゃないかと思うときもあります」
「いや、板長、絶対にそんなことはない。板長の腕があるから、今までこんな時代になっても千樹が保ってこれたんだ」
社長が板長にいたわりの目を向けて言った。
「あ、ありがとうございます、社長。でもこんな自分には何のアイデアもありません。もっと若い奴の意見を聞いてやってください」
「そうか、ありがとう。じゃあ他の人にも聞いていこう。鬼頭さん、どうだ」
大番頭の鬼頭は、とつとつと話し始めた。
「ここでは一番古いわたしは、以前の栄えた時分の千樹がただ懐かしいだけで、もしここがなくなるんでしたら、そっと隠居になるつもりでいます。幸い二人の娘もとうの昔に嫁いでおりますし、なんの憂いもありませんから。後はみなさんで話し合ってください。私はみなさんの意見に従いますので」
「そんな悟ったような言い方をする歳でもまだないだろう、鬼頭さん」と社長がまだ頑張れるだろうというように諭した。
「いえ、ホントにもう私なんか、時代遅れの見本のような者で」
「馬鹿なことを言うな。まだ頼りにしてるんだ、おれは」
「もうそんな話はおしまいにしてください。これからは前を向いた話がしたいわ」
女将さんが、もうそんな話はごめんだというように口を開いた。
「どう順番に言ってください。みんな、今言いたいこといわないと、後からあれこれ言っても知らないから。内田さん」
名前を言われた中居頭の内田さんはしばらくうつむいていたが、おもむろに話しだした。
「私は中居頭といってもパートですからあまり経営のどうのこうのって言える立場じゃないですけど、次いでだから言っちゃいます。私、前から思ってるんですけど、今までのお客さん、こんなこと言っちゃ悪いですけど、あまり好きなお客さんは、たくさんいません。どちらかと言うと嫌いな方が多いぐらいです」
その言葉を聞いても女将さんは驚かなかった。
「だってみんな偉そうにしてるだけで、それってみんなお金がたまたまたくさん持ってるからっていうだけのことでしょ。だいたい偉そうにしている人はそうなんですよね。たまにはそんなこと鼻にかけない勝呂さんみたいなお客さんもいますけど、少ないですよね。それにそんな人に限って会社の景気が悪くなるし………。ですから、私ならそんな人をもう相手にしないで、もっと、なんて言うか、この千樹を愛してくれるお客さんを相手にした方がいいんじゃないかって、そう思います。かといってじゃあどんなことをすればいいか、今すぐにはちょっと何とも言えませんけど。やっぱり働いている私たちも、できたら喜んで働きたいし、そしたらその笑顔がお客さんにも伝っていくんじゃないかしら、そう思うんですけど。すいません、えらそうなこと言って」
「いや、その通りだよ、内田さん。ぼくもうんざりなんだよね、ホントは。何かお金にお辞儀しているみたいで。やっぱりお辞儀はお客さんにしたいよね」
社長も今まで感じていたのか、その言葉に大きく頷いた。
「私も内田さんに大賛成です」と声を出したのは、その内田さんの下で働いている中居の篠原さんだった。
<4>へつづく。
(このストーリーはフィクションです)
それでは今日はこれで。
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