喜久家プロジェクト

日本一細長い半島、四国最西端「佐田岬半島」。 国内外からのボランティアとともに郷づくり「喜久家(きくや)プロジェクト」。

佐田岬半島にある「伊方中学校女子バレーボール部奮闘記」

2015-09-25 | 教育
 9月19日からの5連休。
 伊方中学校バレー部は、2日続けての練習試合でした。
普段から自分を高めていくための地道な努力を積み重ねています。
そんな練習を試す時がきたのです。

 ところが初日から厳しい現実が待っていました。
思うような自分のプレーができなかったり、ボールがつながらなかったり。簡単なミスの連続。
やがて目の輝きが鈍りだし、声が出なくなり、さらにボールがつながらなくなるという悪循環。
得点が半分も取れない試合が続きました。
 未だ1セットも勝てない状況。


 転機が訪れたのは、2日目の午後から。
 ミーティングで、
「がんばっても、がんばってもうまくいかないこの悔しさ、情けなさを絶対に忘れないようにしよう。今がどん底。今の辛い状況がものさしとなり、将来笑ってふり返られるようにしよう。そして2年生が3人しかいないこのチームで絶対に夢をかなえよう。声出せ、足出せ、頭出せ。」
と励ましました。



 その後、チームはまとまっていきました。
新人戦で上位をねらう瀬戸中に負けはしたものの26対28、最後の試合も20対25。
他の2校とも半分以上の点数や20点を超す得点。
ずっとラインズマンや得点係などの下支えをしてくれた1年生たちの出番もありました。
 

 以前、バレー部の保護者から
「私たち親がボール拾いをして、練習の能率が上がるように協力しましょうか。」
というありがたい申し出がありました。
 それに対して
「いえいえ、ボール拾いも全て練習の一つですからかまいません。そのかわり、練習や練習試合は見に来てください。
うまくなった我が子もうまくいかない我が子も見てあげてください。結果はどうあれ、一生懸命な我が子の姿ほど親としてうれしいことはありませんから。」

とおこたえをしました。
 今回の練習試合には、たくさんのご家族が見に来られていました。
きっとその夜は、いろいろな話をされたことだと思います。



             「6月の八西総体」

 19日から始まったラグビーワールドカップで、日本チームはラグビー史上最大の物語をつくりました。
過去2度優勝の強豪南アフリカに逆転勝利。
 一進一退の攻防を繰り返し、29対32の終了直前。
相手の反則により、ペナルティーキックを決めれば同点の場面。
 無難な道を選び得点すれば、優勝候補を相手にその結果だけでも十分な成果。
しかし日本は、キックを選ばずスクラムからの逆転勝利の道を選択。
圧倒的な体格差の相手にスクラムをつぶされれば負けが待っていました。
 
 選手たちの気持ちはみんな一緒でした。
「同点で終わったら、日本ラグビーの歴史は変わらない。スクラムにかけよう。」
スクラムから早いパス回しで左隅への逆転トライ。
24年ぶりのみごとな2勝目。

 日本の過去のワールドカップ成績は、通算1勝2分21敗。
1995年のニュージーランド戦では、145失点で大敗し、世界との絶望的な差にやる気がうちくだかれた時もありました。
 その悔しさをバネに精神力を鍛え、選手自らの判断力を磨いてきたそうです。
大活躍した五郎丸選手の
「みんなが厳しい練習をした結果。本当に仲間を信じてやってきてよかった。」
という感慨深い話に共感しました。

 「信は力なり」。
                    岬人(はなんちゅう)