喜久家プロジェクト

日本一細長い半島、四国最西端「佐田岬半島」。 国内外からのボランティアとともに郷づくり「喜久家(きくや)プロジェクト」。

三崎高校生たちによる「聞き書き」2 ~世界農業遺産に向けて~

2021-11-11 | 生き方

 三崎高校生による聞き書き。

次の質問が空気を変えた。

「みかんづくりで一番大切にされてきたことは何ですか?」

 

口が重かった父がすぐに反応。

「それは、何といっても土づくり。」

平尾さんも重ねて

「まちがいなく、土づくりやな~」

 

 

 父が熱を込めて、語り始める。

「除草剤。草刈りをせずに楽じゃが、畑が死んでしまう。使ってはいけん。」

様々な試行錯誤があり、自信を持って言えること。

 

 その熱は高校生にも当然伝わり、目がさらに輝いていく。

話は深まり、広がっていく。

 終わりの時間になっても、お互い盛り上がっている。

語り、伝えたい父や平尾さん。

それを聞きたい高校生たち。

年齢差65歳の違いを超えて、つながっていく。

 

 

 聞き書きによる感動を目の当たりにした。

 

 最後に、取材者が、高校生たちに今日の感想を聞いてみる。

3名とも実に素直で、力強い感想だった。

 

 

 

 

 お互いに別れが名残りおしそうだった。

「分からないことがあったら、また聞きに来させてください。」

という高校生の投げ掛けに、

「それこそ、いつでもどうぞ。」

と応え、とてもうれしそうな父と平尾さん。

 

 真っ暗になった外で、高校生たちを見送った後、

「本当にかわいい子らやったのー。たのもしいわい。」

二人の喜びの顔が、この聞き書きの大成功を物語っていた。

  

 農業には、夢がある!

 

      岬人(はなんちゅう)

 

 

 

 


三崎高校生たちによる「聞き書き」1 ~世界農業遺産に向けて~

2021-11-11 | 生き方

 愛媛県南予地方の柑橘農業システムが世界農業遺産に向けて動きだしている。

10月22日、平礒においてその取組の一つ「聞き書き」が行われた。

 

 聞き書き」とは、話し手の言葉を録音し、一字一句すべてを書き起こして、ひとつの文章にまとめる手法。

仕上がった文章からは、話し手の語り口や人柄が浮かび上がり、

聞き書き」を通して、地域に住んでいる人たちの持つ知恵や技、その生き様やものの考え方を学び、受けとめることができる。

 

 そうなのだ。このすばらしい愛媛県南予地方の柑橘農業システムやそれに携わってきた人たちの思いや技術・知恵などをしっかりと残していきたい。

そのために考えられたのが「聞き書き」。この取組を引き受けてくれたのが三崎高校、川之石高校、南宇和高校。

 この日、三崎高校生3名が、私の父と二名津の平尾さんの話を聞きにやって来た。

その様子を記録として残しておくために南海放送の取材もあった。

 

 場所は、我が家の倉庫。

コンテナに座り、車座になり、自己紹介から始まった。

 

 

 お互い、緊張した様子。 撮影されているせいもあるのだろう。

父は、言葉足らず。平尾さんは、質問以外の様々な話に広がっていく。

 高校生たちも考えてきた質問を次々としていくが、父や平尾さんがそんな様子だから表面だけを上滑りしていく感じ。

話を聞いて、それに対しての質問が出てこない。

 傍で私は、柑橘農業一筋で生きてきた80歳の人生や思いをもっと聞いてほしい、と感じていた。

 

 

 そして、ある質問から空気が変わった。

「みかんづくりで一番大切にされてきたことは何ですか?」