このあいだ、おふくろが「電子辞書が欲しい」と言い出した。
そら、今までおふくろが使ってた分厚い広辞苑等の辞書に比べたら、小さいし、持
ち運びにも便利やし、何より字を大きくして見れるし、おふくろが欲しいというなら持
つことには何も反対する理由はないねんけど、おふくろほど年をとった人が、このあた
りの最新の電子機器を使いこなせるかどうかというところに大きな問題がある訳で。
だから今は、とりあえず俺が持ってる電子辞書を渡して基本的な使い方を教え、
しばらく使ってみて使えそうなら買うことにしたら?ということにして、様子を見ること
にした。
まぁ、趣味が短歌を書くことで、その昔は宮内庁主催の年始の歌会始めに入選
したこともあるようなお方なので、辞書を引く機会がかなり多く、好奇心が旺盛な
こともいやぁあたり前のことやから、びっくりするようなことでもないのかも分からんけど、
80歳近くになって、電子辞書が欲しいと言い出したおふくろには驚いたし、我が母
ながら感心してしもた。なんかパソコンにも興味があるみたいやし、なんでもやって
みたいと思う姿勢は若い頃から変わることがない。
で、電子辞書を渡してから何日か経った訳やけど、基本的な使い方で何度か俺
に質問をしてきて以来、もう何も聞いてこない。まさかもう使い方をマスターしたとは
思えないので、どっかで挫折してるような気もするんやけどね。
いづれにしても、あの年になれば、失敗して失うものなんか何もないと思うし、何か
にチャレンジするというだけで、それは素晴らしいこと。
もし、何も質問のない間、実はおふくろが密かに俺を驚かすつもりで使い方をマス
ターしてるなんてことがあればこんなうれしいことはないんやけど・・・いくらなんでもそ
らないわなぁ。