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僕等 〜 高村光太郎 〜
僕はあなたをおもふたびに
一ばんぢかに永遠を感じる
僕があり あなたがある
自分はこれに尽きている
僕のいのちと あなたのいのちとが
よれ合ひ もつれ合ひ とけ合ひ
混沌としたはじめにかへる
すべての差別見は
僕等の間に価値を失ふ
僕等にとっては凡てが絶対だ
そこには他にいふ男女の戦いがない
信仰と敬虔と恋愛と自由がある
そして大変な力と権威がある
人間の一端と他端の融合だ
僕は丁度自然を信じる心安さで
僕等のいのちを信じている
そして世間というふものを蹂躙している
頑固な欲情に打ち勝っている
二人ははるかの其処を乗り越えている
僕は自分の痛さが
あなたの痛さである事を感じる
僕は自分のこころよさが
あなたのこころよさである事を感じる
自分を恃むようにあなたを恃む
自分が伸びてゆくのは
あなたが育ってゆく事を感じる
僕はいくら早足に歩いても
あなたを置き去りにする事はない
僕が活力にみちている様に
あなたは若々しさにかがやいている
あなたは火だ
あなたは僕に
古くなればなるほど
新しさを感じさせる
僕にとってあなたは新奇の無尽像だ
凡ての枝葉を取り去った
現実のかたまりだ
あなたのせっぷんは
僕にうるほいを与へる
あなたの冷たい手足
あなたの重たく
まどろいからだ
あなたの燐光のような皮膚
その四肢胴体をつらぬく
生きものの力
是等はみな
僕の最良のいのちの糧となるものだ
あなたは僕をたのみ
あなたは僕に生きる
それがすべてのあなた自身を生かす事だ
僕等はいのちを惜しむ
僕等は休むことをしない
僕等は高く
どこまでも高く
僕等を押し上げてゆかないではいられない
伸びないでは
大きくなりきらないでは
深くなり通さないでは
-なんと言う光
だ
なんという音
だ
高村光太郎
の
詩
が
とても
好きで
折にふれ
声に出して
読み返したくなります
高村光太郎の詩。
ではなく
高村光太郎
と
智恵子
の
愛。
が
ほんとうは
羨ましいだけなのかもしれません
傍から見たら
狂気の沙汰
でも
ふたりには
歓喜であり
ただ
ただ
生きている実感
でしかなかった
〜僕等の時間〜
どれくらい
の
ヒト
が
一生のうちに
見い出すコト
が
出来るのでしょう
か