湖畔人です。
さて、また、アジサイの季節に聴きたい曲 懐かしのネオアコシリーズの再開です。
そして、とうとう変人モリッシーが率いたザ・スミスの曲についてのお話です。自分的には、ついにこの時が来たか!って感じなのです。なにせ、まぁモリッシーは世界遺産級の変人ですからね。もう、ハンパ無い変人です。
スミスは、と言うかモリッシーは、当時のUKの鬱屈とした多くのヘタレな若者達の代弁者、職も希望もとりえも金もなんも無い、そしてオタクで弱くてウジウジしている子達に熱狂的に支持されたロッカー⁇、ロック界の異端児?変態?、まぁ変人って言葉が一番ピッタリ、シックリ来る当時のUKの時代のアイコン的な人物の一人だと思います。でもなにか忘れられない癖の強い存在なのです。
文学付きで、特にオスカーワイルド好きで、ジェームスディーンが好きで、菜食主義者で肉食は殺人と一緒と言い放ち、女王は死んだとも言い、English is mineとも言ってしまう、それでもなんか許されている不思議な人物で、飛行機嫌いで、顔は若かりし頃の長嶋茂雄さんに似ていて(当時は)、髪型はサイドを短く刈り上げた2ブロック的なデフォルメされたリーゼントで、ジミーもかけていた様なクラシカルな眼鏡をかけていて、何故か壊れた補聴器を片耳に付け、何処で買ったの?と言うような古着を着こなし、胸元をはだけ、首には数珠みたいなネックレスを巻き付け、何故かジーンズの裏ポケットにはグラジオラスを指して、興奮するとそれを振り回しながら歌うスタイルで、普段は自転車と読書を愛する暗い文学青年、そんなモリッシー率いる変わったバンドがスミスだったのです。
そのスミスの音楽性は?と言えば、歌はウマいと言えばウマいのですが、モリッシーの唱法は、歌を歌うと言うよりはまるで詩を吟じているようでして、まぁ、ロックと言うよりは、あれは詩吟ですね、詩吟です。あれはね。
ただ、尺八の代わりにジョニーマーの超、超絶旨い、川のせせらぎか、鳥のさえずりかって言うような、軽やかで繊細なギターにのせて歌う、当時のUKスタイルの詩吟でしたね。
はじめて聞いたときは、"何じゃこりゃ?これがロックか?"って感じで、かなりの衝撃を受けて、これは懐古主義、音楽の後退、UKも終わった、と思ったものですが、それが聴いていると段々と耳に残る事残る事、段々と癖になって来て、恐るべき中毒性で耳に残って行くのです。そしてまた聴きたくなる。そんな中毒性の強い不思議な曲達がスミスによって沢山量産されましたね。
今動画で見ると、腰をクネクネしながら歌うモリッシーは、"ここはゲイバーか?"と言った感じの歌い方でして、まぁクネクネした感じはもう殆どウナギ犬のようでして、自分的にはかなりキツくて見ていられないのですが、当時は、今みたいにyoutubeも何も無いのでロッキングオンみたいな音楽雑誌の写真と記事からしか情報ソースが無くて、少なくともフォトジェニックだった当時のモリッシーもマーもエラくカッコよく見えていたものでした。でも、もし今みたいに動画で彼等を見る事が出来たなら、もうその見た目のインパクトで敬遠して縁が無かったかもしれませんね…。
そもそもバンド名がザ・スミスですから変です。日本で言ったら鈴木家、田中家、と言うのと一緒ですしね。それ自体が変です。モリッシーは、バンド名をザ・スミスと呼ぶことに決めた理由は、最もありふれた名前だからで、普通の人たちが顔を見せる時代が来たと思うから、と理由を述べていますね。なるほどですね。
また、彼等の特徴の一つが、そのセンスの良いレコードジャケットのデザインもありましたね。基本モノクロかツートーンで、古い映画のワンシーンを切り出した写真を使用する場合が多くて、それも彼等の特徴であり、とてもカッコ良かったのを憶えています。
政治思想は、当時のロッカー達の多くと同じく反サッチャーの左寄りで、皇室にも否定的な感じでした。でも今はナイジェルファラージや彼の政党から分離独立したアン・マリー・ウォーターズ率いるフォーブリテンと言う政党を支持しており、極右に変わったと批判されています。まぁ、嘗てチャーチルが、"若いうちに左翼に傾倒しないのは情熱が足りんし、でもイイ歳こいても左翼をやり続けている輩は頭が悪過ぎる"的な事を言っていた事があったかと思うのですが、国を憂う気持ちがあれば、当然そうなりますよね。当たり前の話です。
僕の周りでは、僕がアステックとスタカン推しで親戚の兄貴がスミスとエコバニ好きで、と、好みが分かれていたのですが、親戚の兄貴はスミスなんてもう何十年も聴いていないけど、何故か自分の方は未だにたまにですが、無性にスミスの曲が聴きたくなる自分がいます。
さて、そんなインパクト絶大の変人モリッシー率いるスミスの曲を今回3曲セレクトしてお伝えしようと思います。まずこの回では1曲のみご紹介します。
まず一曲目は、『William, It Was Really Nothing』です。激しく降る雨の歌詞で始まる曲なのでまぁ梅雨時に合う曲なのかもしれません。ジョニーマーの川のせせらぎのような軽やかなギターにのせて、多分、結婚生活に失敗して失意の淵にある友人のウィリアムに、"ウィリアム、まぁあの女性は今一つだったし、まぁ、あんまり気にするなよ、独り身は最高だよ?"と励ましている感じの曲ですね。でもゲイ疑惑が常につきまとうモリッシーに対して、周りの幾つかの意見としては"あれはどうせモリッシーがお気に入りの男友達の一人がまた自分の近くに戻って来てくれたので、彼は単にそれを喜んでいるだけであって、別に励ましなんて言うご立派なもんじゃないよ"と穿った見方をされている方達も当時結構多かったようです。実際、モリッシーは以前男性と同居していた事を認めていて、でも"僕は別にホモセクシュアルではないです。厳密に言うと、ヒューマセクシュアルなんです。人間が好きで、人間に惹かれているだけなんです。"と否定していますね。まぁ、多分彼の敬愛するオスカーワイルドも、そのモリッシーに近いスタンスだったのでは?と思われるので、まんざら嘘を言っている訳でもない気がしますね。個人的にはね…。
では、スミスは後2曲、次話以降でやって行きたいと思います。
ではまた直ぐに。
湖畔人