チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

ワルの色気

2009年02月09日 16時21分10秒 | 日記
カタブキもの、ごろつきなど
悪いやつにこそ色気があるというワルもいる
いま半蔵門の国立小劇場で演じられている
「女殺し油地獄」は
近松門左衛門の最後の大きな作品

色恋沙汰の殺生ではなく
ただただ金ほしさに油屋の女房を殺す

其の殺し方が人形だからこその残忍さで
若いときに見たときはさすがに目を背けてしまったが
きょうびこの程度の残忍さは日常茶飯事になっているのが
なんとも怖い

其の悪を
先日紫綬褒章を受けられた
桐竹勘十郎丈が演じた
コレがまた形が決まりいかにも悪なのだが
色気があり
どろどろした癖がなく
「かっこいい!」と黄色い声が飛びそうな演技である

楽屋前の日の当たる広場で
熱心に携帯メールを打ってる氏に出会い
終わるのを待って
「これから拝見しますよ」
「よっしゃ」
と気合を入れてらした

「今まさに勘十郎さんは旬ですね」
「いやいや体はボロボロですわ、でもありがとうございます」
古典芸能の方は本当に礼儀正しい
お辞儀をする姿が美しい

律儀でちょっとお茶目な素の顔と
舞台の悪ぶりの対比がオモロイ

小心で優しいから人をコロシテシマウ
という心理描写が良く分かる演技で堪能した

勘十郎さんの色気のある悪ぶり一見の価値あり
2月22日まで、第三部 6時30分 5700円
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