チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物の一生は人の一生と似る

2014年01月24日 16時17分28秒 | 日記
土を正常に肥やし
無農薬の桑の木を育て
桑の葉を植え16枚目までしか蚕に与えず
蚕の種は在来種
葉っぱ一枚一枚丁寧に蚕に与え

其の蚕が創った繭を静かに息を引き取らせ
蚕が吐いた糸を丁寧に手で引き
灰汁で精錬し植物の染料を使って染め手織りをする

糸は何回も過酷なまでに水をくぐりお湯に当たり強くなっていく
しかし
全て丁寧に扱う人の手がそこにある

そして出来上がった反物をゆっくり蒸気に当てて布目を整える

其の布を鋏で裁断し手で縫う
出来上がった着物を私たちはいとおしむように袖を通す
何十人もの手で一枚の着物が誕生
着物は着る人があって舞台に上れる

しかし昨今は
どこかに必ず機械が入る
蚕を飼育する人と糸を創る人が別であれば
そこは効率を主として機械で糸をじゃんじゃんつくる

早く有効に織ろうと思えば動力の機で織った方が時間の節約労力の節約になる
効率重視というのは
「人が楽になる」「人件費が節約できる」など
すべて「人」の思いが中心だ

今日も取材をしていて一気に気が抜けたのは
手から手に丁寧に出来上がった布が
最後の瞬間にじゃーと機械の湯のし台にのって姿を整えたあ

ああーーーチャコちゃん先生ああーーー
しかしこれが現実

人も最後はきーーんと強い火力で焼かれてしまう










コメント
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