チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 291

2020年02月07日 14時42分04秒 | 日記

黒紋付、喪服について

毎年冬になると喪服を着る機会が多くなる

最近は「突然!」という方が多い、特に60を境にした男性、年配の方は長く患いという方が多いので、ご家族も心の準備ができているが、60歳前後の突然死には言葉もない

 

さて着るものの話になるが、葬の儀式は正装なのだが、着物を着ている方はまずいない。今でも印象に残っているのは、著名な着物研究家が突然お風呂で亡くなった。先輩にあたる方なので、お通夜告別式と参加したが、二夜とも黒紋付、いえ着物を着ていたのは喪主のご主人と私だけだった。着付け学校の講師でもあり、着付けの本も出しておられたが、お弟子さんや生徒さんたちは一人も黒紋付はおろか着物を着ていない不思議

 

また黒紋付をはやらせたいという黒染め業界の方たちの集まりにも呼ばれたが、50人ばかりが全部黒紋付という異様さは周りを驚かせることになった。この行事は今でも続けていらっしゃるがお集りの人数も年々増えているらしい

チャ子ちゃん先生は講演者なので、ちょっとあまのじゃく的な考えが強くなり、自分ひとり黒紋付ならいいんでしょう?と黒留め袖で参加、それ以来お招きない

この主催者は「喪服という言葉ではなく黒紋付としてもっと利用したほうがいい」と雑誌で提案したチャ子ちゃん先生の話に動かされたのだとおっしゃった。時々はよきことしてるじゃあないのーーね

 

この発想は女子大を卒業をするとき、私の学校では「卒業式では黒紋付に袴、または黒のスーツを着用」というお知らせがあり、それを読んだ母は大喜び「めでたい時に黒紋付を作れるなんて気の利いた学校だこと」と黒紋付、白長じゅばんをさっそく誂えて、袴と袴下の帯は貸衣装屋さんでそろえた

 

そしてその黒紋付と白長じゅばんは今でも活用。「こういうものはめったに着るものではないから一番いいもので作っておかなければ」と張り切って、黒羽二重は当時の横綱の黒紋付と同じ生地、長じゅばん花嫁用の上等だったと姉が話してくれた。そのため五つ紋は実家の家紋がついている。姑に「うちの家紋はね」と言われたとき、実はと事の成り行きを話したら「なるほどそれはいい話」と快諾してくれた。61年着ていることになる。昨日もこの黒留め袖で参列

 

昔の人の知恵は「モノの命を大事にする」という発想なので、モノがいつまでも生き生きとしている。外国でのぱーていーにも華やかな帯を締め、赤い伊達襟をつけて何度か着た。喝采を浴びた

 

#家紋#留めそで #伊達襟 #黒紋付 #葬儀のきもの #実家の家紋 #チャ子ちゃん先生 #中谷比佐子

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする