昨日は国立小劇場の2月公演「菅原伝授手習鑑」を総勢14人で鑑賞した
始まる前の30分、吉田勘市さんの案内で舞台裏を見せていただきながら、また衣裳部屋や床山を見学して文楽のレクチャーを受けた
文楽を初めて見る人そうではない人も大感激、道具の一つ一つが本物だといって大興奮
開演30分前でぼつぼつお客様も席についているのでと、最後のほうの説明には声を潜める勘市さん。それに倣ってレクチャーを受けている面々もスリッパの音をたてないように気を遣う、こういうところが日本人らしい気働きなのだなあと感心するチャ子ちゃん先生
立て役は10キロの重さの人形を遣う、しかも指三本。肩から腕にかけては力をいれるが、肘から手首は全く力を入れないで10キロの人形を持つ、持つだけではなく動かし、仕草をするのだ。自分は指三本だけど、相手の人形は全身を動かす。だから足を動かす人、手を動かす人三位一体の人形遣いなのだと感じ入る
チャ子ちゃん先生の文楽歴は長い、ことは自分自身が着物をより美しく着たいので、いろんな着物の着付けを取材していた時「文楽人形の着付けを見てみたい」と思い立ち吉田簑助さんにお願いしたら快く東京公演の前々日から2日間の撮影を快諾してくれた。今から40年近く前のこと
人形遣いは自分の役の人形の着付けは必ず自分自身の手でする。半襟をつける、襟合わせをする、町娘、お姫様、未亡人、若妻、年老いた女
道行の時、祝言の時などなど細かく着付けを変えていく、そこに魂を入れると人形はその役を演じて動き出す。着物のもつ奥深さにこのときばかりは「恐れ入りました」という感じで簑助師匠の針運びに見入った
その後簑助師匠は病を患ったので今では貴重な資料となって私の手元にある
「次に生まれても人形遣いになる」という簑助師匠。言葉通り病後からはさらに人形が体の一部になっていて動きの美しさは絶品。これを見逃したくないので毎回舞台を見に行く。いまは弟子の勘市さんにチケットのお世話を頼んでいて、新しく見る方たちのレクチャーもお願いしている。そして時々師匠のお顔を見に楽屋を訪ねると、その時のお役の人形を遣って「こんにちは」とお迎えしてくださる
文楽の方々はお行儀がいいし義理堅い
お忙しいと思うので電話は控えメールにしているがいち早くお返事をいただく、おもてなし、お気遣いの大切さを知っているのは、きっと義理人情の情の世界をいつも演じているからであろうか。床本の言葉の美しさにいつも酔いしいれる
次回の東京公演は「義経千本桜」の通し狂言、5月9日から 良いお席準備できます
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