父は弁護士だった
大正時代に免許を持ったので日本で98番目の弁護士だった
父が東京で開業をしている時姉が生まれ関東大震災に会い生まれ故郷の大分に戻った
東京で父は内村鑑三先生に出会い弟子になって聖書の研究を始めた
家族を養うために弁護士を務め、ライフワークとしての聖書研究は死ぬ時まで続いていた
そういう背景の中で、父は「民事裁判」を専門とする弁護士になっていた
高校生になって生意気盛りのチャ子ちゃん先生はある時父に
「どうして刑事事件はやらない?」
と聞いたところ
「人には殺す方も殺される方にもそれぞれがあ理由があり、その原因をきちんと知らべていると、殺した側にすべての罪があるわけではない、それを見極め罪の判断を下すのは人間には無理だからね、民事は双方の意見をじっくりかみ砕いてお互いに理解できるまで持っていける、そして互いが協調し合えるようになれば平和だよね」
この言葉がいつも私の胸の中で響く
今回のロシアとウクライナの問題に対しても、日本の真珠湾攻撃のように、日本が先制攻撃をせざるを得ない状態に、追い込まれたことと同じではないか
被害者に見えたアメリカが実は加害者だった
これと同じかもしれない
双方の国の歴史やかかわり方を、今いろんな角度で調べてみると、この先の様子も見えてくる
中国が自国の革命で長い歴史ある文化を壊したけれど、ロシアは自国の文化を大切にしてほしい
私達は文学ではドストエフスキー、トルストイやツルゲーネフ、音楽もチャイコフスキーやストラヴインスキー、ラフマニノフ、ハチャとリアンなどの芸術に触れて育った
日本の文化を大事に思うなら他国の文化も大切だ
まだ若い雑誌記者だったころ、フランスのデザイナーが着物の形を変えたいという企業の勧めで日本に来て、着物の仕立てに布を一ミリも捨てない、という事実に
「完璧な美がここにある、これを壊すことは日本文化を冒涜することになる」といった言葉も以来胸にある
争いは片方だけが一方的に悪いのではない、これは日本人が一番理解できる「慈愛」の心だとおもうけどーー