胴抜き仕立て
正確には胴裏をつけない、八掛だけを着物の裏に付けるという仕立て、別名人形仕立てともいう
人形衣装の考案をしていた時、人形の着物の仕立てが色々あることを教えてもらった
人形、とくに「市松人形」私たちは子供のころ「おぼこ人形」と呼んでいた。「かわいい」という言葉に「おぼこっぽい」という言葉を使う大人もいた、その市松人形は着せ替えになっていて、私たちはその人形の着せ替えをしながらきものの着方を学習したのだとお今思う
ほとんどの家庭で女の子のいる家には市松人形があった
その人形を大人になって改めて触ったとき、「どう抜き仕立てであった」ことに気が付いた
裾に「𧘱綿」(ふきわた)という真綿を入れて重みをつけ、帯をまく胴体はきものの布を減らして(どう抜き)にして金襴緞子の華やかで帯を結ぶ、なるほど「胴裏」というたった一枚の布がつていることで、胴が膨れ全体像が崩れていくのかと、たとえ子供の持つ人形であっても「美」を優先するために工夫が凝らされていることに驚いた
この胴抜き仕立ては人にも使える、と意気揚々姑に話したら
袷と単衣の間の季節に着るといいのよ、かーるくいわれて
「昔からこういう仕立てはあるんですか?」
「ありますね、季節に合わせて着物を着ればそういう形の追及は自然にするわよね」
なるほど
鬼の首を取ったみたいに意気込んで話したけど、毎日着物で生活していた女たちの知恵は半端ではない
ということで、ただ今の季節チャ子ちゃん先生の着物ライフには「胴抜き着物」がご活躍
これって結構仕立てがむつかしいらしく、やりたくないという方も最近は多いし、知らない方もいる
まえに透紗の着物の仕立てを若い方に依頼したら、裏返しに縫ってきた
裏に色の強い糸が出ていて、それが表に透けて見える織り方で、地味なほうが表になるそれが粋
先人たちの美意識はきものに結集していたのだなあと今更ながら驚嘆
さて本日も胴抜き、26度まで気温はあがるらしい
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