鍼灸治療を行うには国家資格が必要です。鍼治療には「はり師」、灸治療には「きゅう師」のそれぞれの国家資格が必要です。
似ている国家資格としては「あん摩マッサージ指圧師」「柔道整復師」があります。マッサージという言葉はよく耳にすると思いますが、治療としてのマッサージを名乗るためには「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格が必要です。
※国家資格を取得していないと「治療」という名称は使用できません。来院する人のことを「患者」と言うのにも国家資格が必要です。「整体」「リフレソクロジー」「カイロプラクティック」等の名前がついた店舗がありますが、これらは国家資格が必要ではありません。「〇〇セラピー」「認定セラピスト」等というような名称もありますが、多くはその団体独自の資格ですので、気になる方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。
鍼灸治療を受けることができる場所は概ね下記の3種類で、必要な資格は以下の通りです。
1.「鍼灸治療院」→鍼灸のみで施術→「はり師」+「きゅう師」の国家資格が必要。
2.「鍼灸マッサージ(指圧)治療院」→鍼灸・マッサージで施術→「はり師」+「きゅう師」+「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格が必要。
3.「鍼灸整骨院」柔道整復に関する施術が基本、症状によっては鍼灸で施術→「はり師」+「きゅう師」+(あん摩マッサージ指圧師←無くても良いのですが、この資格も一緒に取る方もいます)+「柔道整復師」の国家資格が必要。
当院は1に該当します。
1.「鍼灸治療院」と2.「鍼灸マッサージ(あん摩/指圧)治療院」は保険診療が可能ですが、保険による治療を受けるには医師の同意書が必要です。また、治療院によって保険が使えたり使えなかったりします。
3.「鍼灸整骨院」は原則保険診療が使えますが、対象となる症状は骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷のみ。それ以外は自費となります。整骨の病名で診療を受けた場合、鍼灸治療を併用すると鍼灸治療は自費となるので注意が必要です。
治療スタイルは各治療院によって大幅に異なるため一概には言えませんが、1と2はどちらかというと東洋医学的な考えに基づいて施術を行うところが多いと思われます。
3はどちらかというと西洋医学的な考えに基づき、スポット的に鍼灸を用いることが多いようです。(私は柔道整復師の資格を持っていないので詳しくは分かりませんが、整骨院で働いていた時の印象です。)
今困っている症状以外も含め、長期戦で体質そのものを調整していきたい方には1か2がいいと思います。
※国家資格を取得しているからと言って、全ての国家資格保有者が治療に必要な知識・技術があるとは限りません。国家資格を持っていなくても、症状を改善させる力を持っている方がいることも事実です。但し、国家資格を取得するために3年間基礎的な医療全般を学んだ人とそうでない人の差はかなりあります。私自身、整体師として働いていた頃に知識・技術の無さを痛感したことが、国家資格を取得しようと思った理由の一つでした。実際に鍼灸専門学校では、決して独学では学びきれない質と量の知識をしっかりと学習することができたと感じています。現行の日本の制度ではこの辺りが非常に曖昧で、分かりづらくなっています。国家資格の有無を含めて、自分の体を安心して任せられる施術者かどうか、しっかりと確認した上で予約を検討されるのが良いかと思います。
その2に続く…