東洋医学は季節による身体への影響を重視します。
東洋医学が体系作られた中国と日本とでは気候が異なるため、解釈がことなる部分があるのですが、その1つが「長夏」です。
「春・夏・長夏・秋・冬」と、私たち日本人にとって馴染みのある四季に1つ加わった考え方をします。
中国(黄河周辺地域)では夏から秋にかけて湿度が高い気候のため、夏と秋の間に「長夏」が入ります。
一方日本では、主に梅雨の時期が湿度が高く「春・長夏・夏・秋・冬」と考えます。長夏は秋雨前線や台風の影響を受ける秋の始まりの頃にも当てはまります。
「長夏」=「湿度が高い気候」と考えてもらえるといいと思います。今回は梅雨の時期に絞って養生の方法をお伝えできたらと思います。
湿度は私たちの身体にさまざまな影響を及ぼします。
頭痛・めまい・倦怠感・むくみ・胃腸症状・皮膚症状・関節痛など、体への影響はもちろん、気分が沈んだりやる気が出なかったり、精神面への影響もあります。
これは湿気が体内に入った後に滞って排出しづらくなり、余分な水分が多い状態になるためです。この水分の代謝は胃や腸が担っているため、体質として胃腸が弱い日本人には上記の症状がより現れやすいのです。
これらの症状が出ないようにするためには、毎日少しでも汗をかくことが大切になります。
・天候が良い時に散歩をする。できれば30分ほどが理想。時間がない時は早歩きで発汗しやすくする。
・天候が悪い時は、室内でできるストレッチや体操をする。
・週に2、3回は湯船につかる。
すでに湿気の影響を受けて上記の対策が難しい場合は、
・手足を大きく動かす。1分ほどの短い時間でいいので、こまめに繰り返す。
・起き上がるのも辛い状態の場合は、仰向けで手足をバタバタさせて動かす。
・腹式呼吸を数回繰り返す。できる限りゆっくり吐いて、吐ききったら鼻から自然に入る分を吸う。
以上の対策には、胃腸の動きを良くする共通点があります。胃腸の働きが改善すれば、水分代謝の機能も良くなり、体を動かそうという気力が生まれやすくなります。
また、冷たいもの・油っぽいもの・甘いもの・酒類は胃腸の働きを弱めますので、摂りすぎに注意しましょう。
今年から日本気象協会が「熱中症ゼロへ」プロジェクトの一環として、「暑熱順化前線」を公開するようになりました。
暑熱順化とは、夏が来る前に体を暑さに慣れさせることです。上記の対策は暑熱順化にも有効です。
先日発表された気象庁の長期予報によると、今年の夏は例年以上に暑さが厳しいとのこと。
できることから対策を始めて、梅雨と猛暑を乗り切りたいですね。
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