最近「フレイル」という言葉をよく聞くようになりました。
フレイルとは、「健康な状態」と「要介護状態」の間であり、高齢になって心身の活力(筋力・認知機能・社会とのつながりなど)が低下した状態をいいます。
全国約70カ所の自治体の調査によると、新型コロナウイルスの影響でフレイルが悪化しているそうです。
ふくらはぎや体幹の筋肉量の減少、滑舌の悪化が主な症状として挙げられますが、滑舌の悪化を含む口腔機能の衰えのことを「オーラルフレイル」といいます。筋力などの身体機能の低下より先に始まることもあり、コロナ禍で社会参加など他者との交流が減ったことにより話す機会が減ったことが大きな要因とされています。
オーラルフレイル(口腔機能の衰え)のサインとして、以下のものが挙げられます。
※『きょうの健康4月号』参照
・誤嚥する、またはむせる
・最近食べるのが遅くなった
・話が聞き取りづらいと言われるようになった
・舌や頬をよく噛む
・食べこぼす
・「ブクブク」とうがいをすると食べかすがよく出る
・舌が汚れる
上記の症状が一つでも該当する場合は歯科医院の受診が勧められる状況とのこと。
オーラルフレイルがある人は、ない人と比べて4年後の死亡リスクが2.09倍、要介護状態になるリスクが2.35倍に高くなるそうです。
高齢でなくても気になる方がいるかもしれませんが、早めの対応をすることで予防できるので、できることから対策をしていきたいですね。
対策としては、口や舌を鍛えること。
1.唇を閉じて、舌先を片側の頬の内側に強く押し付ける。
2.舌に力を入れたまま、上唇の裏側と通って、反対側の頬まで動かしていく。
3.さらに下唇の内側を通って最初の位置まで下を動かしていく。
要は舌をぐるっと大きく動かす動作をするということです。
右回り3回、左回り3回を1セットで行います。
これを行うことで口や舌の筋肉を鍛えることができるだけでなく、唾液の分泌量も増えて、免疫機能の維持の効果も得られます。
これらの運動をすることも大切ですが、人と長時間会話することが難しい今、電話で親しい人と会話することも対策の一つとして良いと思います。
☆ちなみに、上記のサインのうち、舌や頬をよく噛む・舌が汚れるに関しては、東洋医学では胃腸機能の衰えとして判断します。それらに対する治療もできますので、興味のある方はご相談ください。
今回オーラルフレイルのことを書こうと思ったのは、数ヶ月ぶりに父と電話で話したことがきっかけでした。
父はネットは一切使えず、少しメールのやり取りができる程度。メールしても返信がないことがほとんどで、たまに電話しても出ないこともあり、帰省できなくなった今、つい連絡が途絶えがちになっていました。
久しぶりに電話で話したところ、滑舌が悪くなっていることに気づきました。この10年で2回、軽度の脳梗塞を発症しているので、呂律不良は以前からありましたが、明らかに悪化しており、何度も聞き返しながら会話をしました。
父は一人暮らし。持病がいくつかあるため通院はしているようですが、自分のことは話したがらないので健康状態を確認することもままなりません。過疎化が進んでいる地域で暮らしているため、近所の人と会話する機会も少ない状況。娘である私が電話しなければ声を発することなく過ごす日がほとんどなのだと思います。
オーラルフレイルのことが気にはなりましたが、人のアドバイスに耳を傾けるタイプでもないので、話が聞き取りづらくなっていることだけ伝えておきました。タイミングを見計らって話をしてみるつもりですが、まずはもう少しこまめに電話をするようにしようと思います。
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