医療機関と国が二重審査
さまざまな細胞になることができる万能細胞「iPS細胞」や「胚性幹細胞(ES細胞)」を人間の治療に使う臨床研究の際に、医療機関の倫理審査委員会と国による審査というダブルチェックを受けるなどの手続きを盛り込んだ指針案を厚生労働省が30日、公表した。指針案によると、iPS細胞は当面、提供した本人への使用に限定する。厚労省は人間の胚の利用に関する基準をつくる予定で、ES細胞はそれまでは使えない。厚労省は、大人の体にもある「体性幹細胞」を治療に使う場合について「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」を定めているが、この指針にiPS細胞やES細胞などに関する規定を新に盛り込む。対象は体性幹細胞、iPS細胞、ES細胞のほか、これらから作製した幹細胞や体細胞。分化した体細胞からiPS細胞を経由せずに直接作製した別の体細胞や幹細胞を含む。最近、マウスの尾の細胞から神経細胞を作製した例や皮膚細胞から軟骨のような細胞を作った例が報告されている。治療は、病気やけがで失われた臓器や組織の再生が目的で、初めて人間に使う幹細胞の場合は、生命を脅かす重い病気などに限定。ほかの治療と比べ効果が優れていると予測されることなどを条件にし、腫瘍ができないかどうかなど安全性に特に配慮をするよう求めた。