08年調査 多胎妊娠は大幅減
不妊治療で双子以上を妊娠する多胎妊娠を防ぐため、体外受精で子宮に移植する受精卵を1個にとどめる方法が2008年は全体の60%を超え、07年よりも13ポイント増えたとの調査結果を、国立成育医療センタ-の斉藤英和医長がまとめた。
妊娠率は、体外受精後いったん凍結した受精卵の場合、移植個数が1個の方が複数個よりも少し高いなど、移植個数による差はほとんどないと判明。多胎妊娠は、08年6~7%と、07年より大幅に減少しており、1個の移植でも十分妊娠が可能だ。09年以降はさらに割合が増えているだろう。患者に多胎のリスクをより理解してもらうことも大切だ」と話している。多胎妊娠は妊婦にも胎児にも危険が大きいとして、日本産科婦人科学会は08年4月、移植する受精卵は原則1個と決めた。斉藤医長は、学会に登録された全国約600の不妊治療施設の治療動向を調査した。体外受精した受精卵を凍結せずすぐに移植する方法は07年は約6万例、凍結受精卵の移植は約4万例。凍結しない方法では、移植する受精卵が1個の割合は07年は47%だったが08年は60%に、凍結受精卵では55%から68%に上昇した。妊娠率は、凍結受精卵では07年は1個の場合は33%、複数個は31%、08年はそれぞれ34%、29%と1個の方が高く、差が拡大した。質の良い受精卵を選び、自然に近い女性のホルモン周期で移植できるためとみられる。凍結しない方法では07年は1個は21%、複数個は27%、08年はそれぞれ22%と23%だった。