北大研究グル-プ
北大大学院医学研究科の押海裕之講師らの研究グル-プが、感染症のウイルスの増殖を抑えるタンパク質「インタ-フェロン」を活発に発生させる働きがある別のタンパク質が動物の細胞内に存在していることを確認した。このタンパク質を制御できれば自然な形で免疫機能を高め、感染症の症状の進行を防ぐ新薬の開発につながる可能性がある。 研究成果は米微生物学研究誌のセルホストアンドマイクロ-プ電子版に掲載された。押海講師らは、動物の細胞内でウイルスの侵入を感知して生成されるインタ-フェロンが、多く出る場合と、ほとんど出ない場合があることに注目。多く出ている時に働くタンパク質を突き止め、「リプレット」と名付けた。 実験で、遺伝子操作でリプレットの働きを止めたマウスを微量の水泡性口内炎ウイルスに感染させたところ、通常なら発生するインタ-フェロン発生のカギとなっていることが裏付けられた。感染12日後では、このマウスのグル-プは全体の75%が死んだが、通常のマウスは生存していた。 C型肝炎など感染症の治療ではインタ-フェロンを投与する方法が採られているが、不眠など副作用を起すことがある。押海 講師は「リプレットの制御方法を解明できれば、副作用の少ない新薬を開発できる可能性がある」として研究を深める構えだ。