九州大研究班が発表
統合失調症の患者にみられる感情や会話、社会性の喪失といった症状に関わっているとされるグルタミン酸の神経伝達異常に、アミノ酸の一種である「Lセリン」の脳内での不足が関係していることを、九州大の古屋茂樹教授らのグル-プがマウスを使った実験で24日までに突き止め、米生化学・分子生物学会誌(電子版)に発表した。 北大も加わった共同研究。古屋教授は脳内でLセリンを増やす方法の研究も進めており、統合失調症の発症メカニズムの一端を解明し、治療薬の開発に結び付く可能性も期待されている。 Lセリンは、グルタミン酸の神経伝達時に、刺激を受け取る受容体を活性化させるアミノ酸「Dセリン」の元となる物質。これまで統合失調症の患者について、血液中などのDセリンの含量低下が報告されてきた。 古屋教授らはLセリンの供給源に注目。遺伝子組み換えにより脳内でLセリンを生合成できないマウスを作成して解析したところ、脳内のLセリンは正常なマウスの15%程度、Dセリンは10%以下の含量まで低下し、グルタミン酸の受容体機能も低下したという。