土に返せる
ピ-トモスは、土壌中の植物の茎や地下茎が数千年単位でゆっくりと分解されて繊維質が残ったもので、保水性があり微生物がすみつきやすい。ピ-トモスによる生物脱臭はドイツなど欧州が先進地で当初は豚舎で活用されていた。日本では1980年代に水処理最大手の栗田工業(東京)と東京工業大学が共同研究を開始した。栗田工業は、国内主生産地で耐久性にも優れた石狩川のピ-トモスを採用。88年には最初生物脱臭装置が完成し、下水処理場や食品工場で利用されてきた。脱臭装置には人工の線維質も使われるが、栗田工業は顧客にピ-トモスを推薦している。開発本部の日名清也さん(49)は「人工線維の多くは石油資源から作られるがピ-トモスは腐って土に戻る。自然に返すことができるんです」と話す。
土壌か改良のピ-トモスは近年、家庭で行う生ごみ堆肥化への活用が進む。特に知られているのが、「暖ボ-ルコンポスト」。電動生ごみ処理機や生ごみ堆肥化容器(土の上に置くコンポスト)と比べ、費用が安く室内にも置けるため、庭のない家庭やマンション、北海道など積雪寒冷地でも取り組みやすいとして人気が増している。ホ-ムセンタ-などで入手できるピ-トモスと、もみ殻の薫炭などを混ぜて段ボ-ルに入れ、生ごみを投入してこまめにかき混ぜると、ピ-トモスにすみつく微生物の働きて゛生ごみが分解される。段ボ-ルの大きさにもよるが、3ヵ月で約30㌔の生ごみを堆肥としてリサイクルできる。北海道農材工業によると、ごみ減量化など環境意識の高まりとともに「7~8年前から全国的に生ごみ堆肥化へのピ-トモス活用が増えてきた」という。道内でも自治体や消費者団体による講習会が開かれ、普及が進んでいる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます