コメ収穫に広がる喜び=野沢 紗智さん(25)=安平町
明るい茶髪。白いフワフワの耳当て。作業服のつなぎは、鮮やかなピンク色。胆振管内安平町の野沢紗智さん(25)は、そんな恰好で畑に出る。いまの季節は毎朝7時半すぎから、ビニ-ルハウスを建てたり、種をまいたり。64馬力のトラクタ-に乗り、土起こしもする。昨年4月、札幌からふるさとの安平町にUタ-ンし、恋人で3代目農家の杉淵正人さん(33)の農地で働き始めた。杉淵さんを手伝いたかったのはもちろんだが、何より農業がやりたかったからだ。サラリ-マン家庭に生まれ、高校卒業後に札幌へ。事務、接客と仕事を変えながらの都合生活。違和感も少しずつためていた。買って食べる野菜のまずさ、ややこしい人間関係-。勤め先の飲食店で客だった同郷の杉淵さんと出会い、交際が始まった。話すうちに故郷の新鮮な空気や、のどかさが懐かしくなった。「私も農業やりたい」。自分から頼んだ。つけづめ外し、化粧を落として、土に足を踏み入れた。春先、温度管理に気を配っていたイネが発芽したときは感動した。夏は、雑草取りに苦しんだ。実りの秋。収穫したコメを母に持っていくと、ほめてくれた。「自分が育てた作物を食べ、喜ぶ人がいるんだとうれしかった」と野沢さん。「マジで農業やるの-。ウチは絶対にムリ」。そう言っていた札幌の友人たちか゛、最近「手伝ってみたい」と興味を持ち始めた。ノギャル仲間はこれから増える。そう確信している。
大切な食べ物は自分デ=藤河 陽子さん(28)=伊達市
頂上に、まだうっすらと雪をかぶる有珠山。農場たつか-むは、そのふもと、胆振館内壮瞥町にある。藤河陽子さん(28)か働き始めてから、半年が過ぎた。毎日、伊達市の実家から通い、農作業と、従業員の食事の調理を担当している。幼いころからアトピ-に悩まされた。一昨年、玄米や野菜などを中心とした食事法と出会い、実践したら、ほぼ克服できた。食べ物の大切さを知った。でも、それを作り出す農業の担いテが少ないと聞き、「それなら自分がやろう」と思い立った。近所のス-パ-で、たつか-むの野菜を偶然見かけ、応募した。今年初めてハウスでトマトやナスの種をまき、苗まで成長した。日々大きくなっていくのを見守るのが、こんなに楽しいとは-。家は建築関連の自営業。高校卒業後、埼玉や京都などで販売やアルバイトなどをしたが、「いま思えば自分に明確な目標がなかった」。たつか-むでは農薬を一切使わず、無化学肥料で栽培する。従業員には障害者も多く、それぞれの力や個性に合わせて働いている。無理がない、ごく自然な生活。居心地がいいと初めて感じた。これまで縁がなかった農業。「これからもずっと続けていきたい」と藤河さんは言う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます