価格高騰 エコにも貢献 ビニ-ル二重 地熱の研究着々
原油価格か゛高止まりする中、道内の農家で灯油や重油など化石燃料を使わない栽培方法が広がっている。ビニ-ルハウスを二重にして太陽光の暖かさだけで栽培する方法などがあり、成育は若干遅くなるが野菜に甘みが増すと好評だ。建材メ-カ-は灯油を使わず地熱を利用した栽培方法の開発も進めており、「地球にも、農家の財布にもやさしい」と実用化を期待する声か大きい。
ハウス13棟でホウレンソウやカリフラワ-などを栽培する伊達市農協野菜生産部会の副会長大滝貢さん(46)。「周りでも、暖房を使わない野菜栽培が増えてます」と話す。3月下旬、外気が氷点下1~同4度でも、ビニ-ルを二重にかけたハウス内は、暖房がなくても3~4度、1日平均で10度を保てる。大滝さんは、寒さに弱いトマトを栽培する3棟では専用の灯油スト-ブを使っており、栽培を始める3月中旬から2ヵ月間、室内を14度ほどに保つ1棟あたり2千㍑の灯油が必要になる。燃料費(1㍑73円換算)は1棟で約15万円に上るが、ホウレンソウなどの無加温栽培では灯油代がかからない。道立花・野菜技術センタ-(滝川市)によると、無加温栽培は8年ほど前から道内で始まった。12月上旬に種まきし翌春に出荷する「縮みホウレンソウ」にも導入され、近年、渡島管内や噴火湾周辺に広がっている。胆振管内むかわ町ではレタスにも導入している。ただ、ビニ-ルを二重にするなどの作業に手間がかかる上、厳寒地での栽培はまだ、難しい面もある。一方、建材メ-カ-積水化学北海道(岩見沢)は道内の大学などと化石燃料を使わない農業用の暖房器具を共同研究している。ポリ塩化ビニ-ル管を地中に埋め、管に取り込んだ外気を地熱で暖めてハウスに送る方法だ。道東で行った試験では、氷点下30度の外気が0・8度に上昇。逆に夏季の外気32度を19度に冷やした実績もあり、実用化に期待が高まっている。管の埋設など初期工事に数百万円かかり、コスト削減が課題だ。石油情報センタ-によると、道内の3月の灯油価格は1㍑79円と前年同月比で11円高い。今後も長期的には高止まりする見通しで、農家の間に無加温栽培がさらに広がるとみられる。
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