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脱温暖化社会<欧州の試み>

2007-11-29 17:30:00 | 環境問題

商機拡大「普及進む省エネ住宅」

100_0381jpg01 ドイツ南部のエアランゲン市では、冬本番を前                           に、あちこちの住宅で改築工事が進んでいた。                            工事は、断熱材や太陽光パネルの設置が目玉。                          暖房用の灯油使用量を大きく削減する目的だ。

光熱費大幅減

「省エネ住宅だと分かれば、借り手がすぐ見つかるんです」。同市の                           住宅供給公社ゲボバウのカ-ルハインツ・カンプ社長はこう力説し、                          「他社との競争に勝つためにも改築は欠かせない」と続けた。同社の                          住宅8千戸のうち、すでに9割は省エネ住宅に生まれ変わった。改築                          後は灯油使用量が三分の一に減少し、光熱費の大幅削減が可能に                          なるという。北海道と同様、欧州は冬の寒さが厳しく、暖房用に灯油                           を大量消費する。その際に排出される二酸化炭素(CO)による温暖                          化促進が大問題となり、欧州連合(EU)は2003年、「エネルギ-パ                          ス」制度を導入した。ドイツで住宅改築が進む背景にも、この制度の                           存在がある。エネルギ-パスは、住宅やビルなどで一年間に使用され                          る一平方メ-トル当たりの灯油使用量を証明書(パス)に明記し、賃貸                         や売買の際に提示義務付ける仕組みだ。ドイツは現在、パス取得を新                         築住宅に限っているが、09年からは既設住宅も対象になる予定で、                          それを見越して工事を施す業者が増えている。

100_0381 カンプ社長は「一戸当たりの改築費用は平均6万                          ユ-ロ(約960万円)もかかる」と明かす。それでも                          投資を惜しまないのは、改築によって住宅の価値が                         高まり、5割程度の賃貸値上げができるからだ。                           しかも、20代~30代を中心に温暖化問題への関心                        は極めて高く、入居者からの改築要望も途切れない。「住宅革命」                        は、他のEU加盟国でも急ピッチで進んでいる。オランダやデンマ-クな                         ども、住宅の売買や賃貸に関し、ドイツと同様の仕組みを導入。一方、                          イタリアやスペインのバルセロナ市は、新築住宅での太陽光発電パネ                         ルの設置義務付けに踏み切った。北欧諸国では高断熱・高気密の「無                         暖房住宅」が実用化され、普及が進んでいる。

車を共同利用

温暖化対策を軸に、新技術や新サ-ビスが広がっていくのは、住                            宅部門に限らない。独ハンブルグ市のレンタルカ-会社グリ-ンウ                            ィ-ルズは、市民が自動車を共同利用する事業に取り組む。車は                            すべて小型の低燃費車。これがガソリン消費削減の方法として注                            目され、会員2万人を超えた。ビルガ・ホルム社長(43)は「車は温                            暖化の主因とされるからこそ、環境対策に取り込まないと商売にな                            らなくなった」と強調する。EUは5月、風力や太陽光発電など新エネ                            ルギ-事業に限っても、2013年までに加盟国全体で百二十億ユ-                           ロ(約一兆九千億円)もの巨費が投資されるとの見通しを公表した。                           欧州では、環境対策に消極的な企業には融資しない、という金融                            機関も登場。温暖化対策への高い関心を背景に、欧州企業は続々                           と「環境」へかじを切っている。

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