寒い季節も緑を提供
私がよく冬の北海道で思い浮かべるのは、白一色の雪景色の中で、雪を被り、どっしりと構えるイチイ。北海道ではオンコと呼ばれていますが、それは愛称です。標準和名のイチイは、603年に聖徳太子が制定した冠位十二階の最高の位「正一位」の官人が持っているしゃくが、この木から作られたことに由来しています。イチイは、庭はもちろん、公共施設や神社や寺社、道路の中央分離帯など、北海道のあちこちに植えられています。寒さに強く、ほかの多くの木が葉を落としている季節に絶えず緑を提供してくれる、北国に住む私したちにはありがたい樹木です。イチイは洋風の庭に合わないのでは、と言う方がいます。しかしイチイ属の樹木は常緑で、樹形が美しく、刈り込みに強く、比較的耐寒性や耐陰性もあるため、ヨ-ロッパでも多く使われています。特に、英国では生垣やトピアリ-の仕立て樹の定番です。花新聞236号では、洋風の庭にもなじむ仕立て方などを紹介しています。深緑の葉と白い雪のコントラスを眺めながら、あらためてイチイの魅力を見つめてみませんか。(花新聞ほっかいどう)